卵子凍結って誰でもできるの?費用は?子供がほしい独女を救う夢の技術なの?

卵子凍結って誰でもできるの?費用は?子供がほしい独女を救う夢の技術なの?

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 アナタは将来の妊娠のために、卵子を保存する“卵子凍結保存”ってご存知ですか!?

 ここ数年で日本でも広く認められるようになり、2016年2月には“健康な独身女性が卵子凍結で出産”まで至った日本初の事例が報告されています。(※公式の報告としては初)

 前回はリアルな不妊治療事情を不妊治療専門の六本木レディースクリニックの医師、山中智哉先生に聞きましたが、今回は“卵子・精子の凍結保存”について聞いてみました!

◆卵子凍結の最近の状況

 アラフォー以上だと、卵巣機能の衰えや卵管の問題で妊娠しにくくなるようですが、卵子凍結はそんなアラフォー女性にとって夢のような技術だとか?

山中先生「元々は、例えば若年で癌にかかってしまった女性が、治療期間の投薬の影響で卵巣機能が低下してしまう前に、将来の妊娠のために健康な卵子を保存しておく技術でした。

 ですが、2013年に健康な未婚女性でも将来の妊娠に備えて、卵子を凍結保存できるガイドラインが日本生殖学会により決定しました。」

 ということは、要は誰でもできる(※ただし「40歳以上の採取は推奨しない」などの条件つき)ってことでしょうか。

山中先生「はい。違法というわけではないので、以前から誰でも可能ではあったのですが、『卵子の老化』や『卵子の数には限りがある』という話題が取り上げられるまでは、それほど注目はされていませんでした。

 最近はガイドラインも整備されて、マスコミでも取り上げられるようになったからか、卵子凍結する人は少しずつ増えているようですね。」

◆卵子凍結は約50万円くらい必要。卵子は多めに採って凍結

 採卵は1回で済むのでしょうか。

山中先生「受精卵と比較して卵子って凍結に弱いんです。例えば10個凍結して解凍したとして、受精卵なら9個くらい残りますが、卵子は2〜3個ほどしか生き残らない可能性があります。

 1度の採卵で採れる卵子の数は数個〜10個以上と、人により差がありますが、多めに凍結する方が良いと思います。」

 費用はどのくらいかかるのでしょうか。

山中先生「採卵前に行なう排卵誘発、採卵、卵子の凍結までいれてだいた50万円くらいと聞きます。多い方では1度に20〜30個採れますが、卵巣の機能によっては、もっと少ないこともあり、何回かに分けて採卵をすることもありますね。」

 高っ……、さすが先端技術! 山中先生のクリニックでは実施してないんですか?

山中先生「ウチでは実施していません。なぜなら例えば受精卵の凍結なら、数か月〜数年であることが多いですが、卵子の場合は極端な例、20代の女性が卵子凍結した場合は20年以上保存しとかないといけないわけなので、個人が経営しているクリニックでは手が出せない現状があります。

 長期的に経営が安定している大学病院や大きいクリニックの方が安心かもしれません。」

 なるほど、万が一の事態を考えると損害賠償とか色々大変そうですものね。

◆人工授精と体外受精の違いって?

 前回のお話で、妊娠の適齢期は20代ということで、クリニックに来る患者さんは、ほとんどがアラフォー以上のようですが。

山中先生「40代の夫婦では最初から体外受精を希望するケースも増えていますね。ですが体外受精は1回50万以上と費用もかさむため、2〜3万ほどでできる人工授精から試す方も多いです。」

 人工授精と体外受精との違いもままならないのですが……、そんなに金額が違うんですね。

山中先生「人工授精は“採取した精子を子宮に直接入れる”方法で、体外受精は“卵子と精子を採取して、体外で受精させる”方法ですね。

 名前は確かにまぎらわしいですよね。“人工”の方が“体外”っぽいというか(笑)。

 農園などで人為的に「めしべ」に「おしべ」をくっつける方法を「人工授粉」といったり、人工授精は馬とか牛とかの交配のための技術でもあるので、その言葉を人間の妊娠に対して使うので違和感があるのかもしれないですね…。」

◆精子凍結って!?

 最近、合コンで参加男性から「しばらく結婚できそうにないから、精子凍結を考えてるんだ。」と話を聞いて衝撃を受けました! 精子凍結も今流行っているのでしょうか?

山中先生「どうなのかな〜、精子は凍結にも強いので、有り得る話ではあるけれど…。ですが卵子と比較すると、精子の数や運動性は年齢の影響は小さいので、凍結維持の毎年の高い更新料を払ってまで、精子凍結する人はまだ少ないんじゃないかな!?

 睾丸の病気や、抗がん剤治療を受けないといけなくなった場合には、卵子凍結と同様に有効な手段ではあるけれど。それでも、流行っている……!? かどうかは分かりませんが、卵子凍結が話題になっているので、男性の中にも、そういう意識を持つ人が現れているのかもしれないですね。」

 なるほど、男性の生殖機能はやはり女性より加齢に強いんですね。いいなぁ……

山中先生「凍結ということでは、卵子より精子の方が昔から行なわれています。大学病院など一部の不妊治療クリニックでは、夫が無精子症など体外受精でも妊娠が難しいご夫婦に、ドナーからの提供精子による人工授精が行われています。その際、精子は使用されるまでは凍結保存がされています。

 日本では卵子の提供は認められていませんが、こういった形の精子提供は、学会に登録施設では認められています。」

 えっ……卵子はダメなのに精子の提供はOKって、差別じゃないですか!

山中先生:「差別というか、、、(汗)。卵子提供が行われている国もありますので、それぞれの国の倫理観や宗教的な背景などで、受け入れられる基準とそうでない基準があるのだと思いますよ。

 日本も昔は一夫多妻制でしたよね。言い方を変えると、その時代には、一人の男性の精子で複数の女性が妊娠するということが、社会に受け入れられていたともいえます。」

 卵子凍結ですが、未婚の時に実施しても、結婚してから自然妊娠に成功して、結局使わなかったパターンも多いようです。でも保険があるとないとじゃ、精神的な状況はだいぶ変わりそうですね。

 噂では海外では、違法な卵子ブローカーが暗躍しており、度々摘発・逮捕されています。日本人女性の卵子は高く売れるという都市伝説もあるようですが、真相はどうなのでしょうか……。

【取材協力】山中 智哉・・・医学博士、日本産科婦人科学会専門医、日本抗加齢医学会専門医

現在、『六本木レディースクリニック』にて、体外受精を中心とした不妊治療を専門に診療を行なっている。

<TEXT/ミフル>

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