麻をおしゃれに着るコツは?季節、素材、アイロン問題…

麻をおしゃれに着るコツは?季節、素材、アイロン問題…

リネンのノースリマキシワンピース



●連載「ファッション誌が答えてくれない相談」32 by小林直子●

◆Q.麻はいつまで着ていいのでしょうか?

 麻素材のシャツは春夏に売り出されることが多いように思うのですが、やはり夏のものなのでしょうか? また、今買えば、いつまで着ることができますか?

◆A.早く取り入れて早くやめるとおしゃれに見えます

 麻素材をいつからいつまで着たらいいのか、多くの方が疑問に思うようです。まずはそれに対して答える前に、麻素材とは何かということについて説明しましょう。

 麻と一口に言いましても、実はいろいろな種類があります。日本で麻として流通しているほとんどは亜麻科の亜麻であるリネンですが、そのほかに日本語で苧麻と呼ばれるラミーや、大麻と呼ばれるヘンプも麻の仲間として扱われます。

 しかし、亜麻とラミー、ヘンプ、すべて違う植物ですので、葉の形も、できあがる繊維も違います。それでも総称は麻ですし、衣服の素材としてヘンプもラミーも使われています。

 また、リネンにしても、必ずしもリネン100%の素材ばかりではなく、リネンとコットン、リネンとウール、リネンとビスコースなど混合素材も多く、麻と言ってもかなり広範囲な繊維を指すことになります。

◆季節の先取りはおしゃれに見える

 ではそんな麻素材、いつからいつまで着てもいいのかということですが、実際、別にいつ着ても構わないのです。コットンが1年じゅう着用されるように、麻も着たければ着ても構いません。リネンとウールを合わせるぐらいですから、それらを冬に着たところで何ら問題はありません。

 また、もともと日本の衣服は麻(大麻)でつくられていました。コットンが急速に栽培されるようになったのは江戸時代以降ですから、それまで庶民が着るものは麻素材が多かったのです。もちろん1年じゅう、麻を着ていたはずです。

 ただし、洋服が輸入されて以降、日本では麻イコール夏のものというイメージが強く張りつきました。それは多くの人々に浸透し、逸脱すると何かおかしいと感じる人もいますので、麻を秋冬に着るのは避けたほうがいいでしょう。

 では、夏らしいスタイルとは何でしょうか。例えば半袖やノースリーブのシャツやワンピースなど、形が夏向きのもの、また色が青みがかった白のものや(冬の白はクリーム色に近い白です)、夏を連想させるトロピカルな柄のものなどが夏らしいスタイルの麻の服と言えるでしょう。

 季節の先取りはいつでもおしゃれに見えますから、これらを本格的な夏の到来の前から着る分には問題ないばかりではなく、逆にお勧めです。

◆お盆を過ぎても、ダークな色合いならOK

 では、その夏らしい麻の服をいつまで着るかということですが、早く取り入れたら早くやめるほうが望ましいです。

 お盆を過ぎたころが1つの目安になりますが、日本の夏はその後もまだ続きますので、それ以降、麻を着たい場合は、青っぽい白はやめて、例えば秋をイメージするような濃い茶色やネイビーなど、ダークな色合いのものに変えていけばいいでしょう。

 そうすることによって、夏のイメージの強い麻素材も9月に入ってからも着ることができます。また色ではなく、前述したような、リネン混のウールなどは、真夏は暑くて着られませんので、秋以降が本番とも言えます。

◆麻100%でなければ、少しはアイロンが楽

 涼しく、汗もよく吸い、洗濯の乾きも早い麻素材ですが、欠点はしわになること。麻100%のパンツを買ったはいいけれども、着るたびにアイロンがけしなければならず、辟易したことのある人も多いことでしょう。

 アイロンがけが面倒だったり、しわが嫌な場合は、麻100%を避け、レーヨンやポリエステルとの混紡の麻にすれば、少しはしわを防げますが、完全に防げるというわけではありません。また、着ていて涼しい麻ですが、裏地がついてしまえば、もう涼しくはありませんから、裏がついた麻のジャケットやコートは、日本では着る期間がごく限られます。

 長い期間、着たいのならば、裏なしのジャケットやコートを選んだほうが無難です。

 麻は洗濯をしていくにつれ、くたっとした独特の風合いになります。このくたっとした感じは、麻に関しては、着なれた感じで問題ないとされていますので、気にする必要はありません。

 日本の暑い夏を快適に過ごすためにも、自分の目的、スタイルに合った、素敵な麻の服を着てみてはいかがでしょうか。

<TEXT/小林直子>

【小林直子】

ファッション・ブロガー。津田塾大学学芸学部国際関係学科卒、文化服装学院卒。東京コレクション参加ブランドのパターンナー、大手アパレル会社の企画室を経て独立。現在、湘南エリアを中心に独自に開発したメソッドによるファッション・レッスン、各種ワークショップを開催するなど活動中。新刊『わたし史上最高のおしゃれになる!』発売中。ブログ『誰も教えてくれなかったおしゃれのルール』

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