生理痛・生理不順って不妊の原因になるの?ストレスとの関係は?

生理痛・生理不順って不妊の原因になるの?ストレスとの関係は?

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 アナタは将来お子様は欲しいですか?

 既に母親の方もいるかもしれませんが、まだの方は“子供はたくさん欲しい”“現実的には1〜2人が精一杯かな”など色々なライフプランがあるかと思います。なかには山口智子さんのように“産まない生き方”を選択する人もいると思いますが。

 前回に続き、今回は不妊治療専門の六本木レディースクリニックの医師、山中智哉先生に“生理痛・生理不順や現代病が不妊に与える影響”について話を伺いました。

◆生理痛・生理不順について

 私生理痛が激しいんですけど、不妊と関係ありますか?

山中先生「生理痛には個人差がありますので、痛み自体は不妊とはあまり関係ありません。ただし、強い生理痛がある場合には、何か原因がないかををちゃんと調べることが大事です。

 例えば、その痛みの原因が子宮筋腫や子宮内膜症のような婦人科疾患だった時には、ひどくなる前に早めに治療を行なった方がいい場合もあります。」

 生理不順についてはどうですか? 私もですが、周りにも多いです……。

山中先生「生理不順が起きる原因にはいくつかありますが、難しい機序はさておき、大切なことは『きちんと排卵をしているかどうか』ということになりますね。

 20〜40歳くらいの女性で生理不順がある場合、多くは排卵日が安定していないことが原因となっています。ただし、中には年齢が若くても、卵巣機能が低下して月経不順を起こしていることもありますので、一度、ホルモン検査など卵巣機能をよく調べるべきだと思います。」

 卵巣機能が低下してきている時の生理不順って、何か特徴はあるんですか?

山中先生「生理不順は、生理周期が長い場合と短い場合がありますが、卵巣機能が低下してくると、排卵までの期間が短くなる傾向がでてくるので、生理周期も短くなります。もちろん必ずしもそうとは言い切れませんが、年齢と共に生理周期が短くなってきたと仰られる方が多いですね」

 生理不順の原因に多嚢胞性卵巣(たのうほうせいらんそう)っていうことを聞いたことがあるのですが、どんな病気なんですか?

山中先生「細かい病態などは難しいので機会があればまたお話ししますが、20代から30代の方で比較的多くみられる排卵障害の原因のひとつです。

 卵巣機能が低下しているというよりは、ホルモンバランスが原因となって排卵をしにくくなっているのですが、程度が強い場合には半年や1年以上月経が来ないこともありますので、特に妊娠を考えている方は、きちんと排卵できるように治療が必要となります。」

 年齢が上がって閉経が近づいてくると、生理不順になってくるというのは何となく分かるのですが、そもそも妊娠って何歳頃までできるんでしょうか?

山中先生「閉経が訪れる時期は、だいたい45〜55歳頃になりますが、閉経になるぎりぎりまで妊娠できるわけではありません。閉経の5〜10年前あたりから妊娠しにくくなってくるという意見もありますし、個人差で考えると10年分も卵巣機能に差があるというのは非常に大きなことです。

 そういったことも含めて考えますと、中には50歳で妊娠される方もいらっしゃるかもしれませんが、それは非常にまれなケースで、一般的には45〜46歳あたりがひとつのリミットと考えられます。」

 生理痛・生理不順がある方は早めにちゃんと原因を調べることが大事ですね。

◆不妊の要因を知ること

 昔と比べて、不妊症の夫婦が増えてきている背景にいわゆる現代病も関係あるようです。

 現代病のひとつに「ストレス」ということがありますが、それって不妊の原因になることってあるんですか?

山中先生「ストレスというのは、身体に何か影響がある事が生じた時に起こる防御反応でもあるので、すべてが悪いということではありません。ただ、それが過度に生じた場合には、ホルモンバランスなどに悪影響を与えることはあります。

 例えば、海外に行ったりすると生理が止まったりする人もいますよね。これは、その人にとって慣れない環境がストレスを生み出して、ホルモンバランスを乱してしまったといえます。それと同様に、今は多くの女性が働くのが当たり前になりましたが、過度な仕事や睡眠不足などがストレスとなって、生理不順を引き起こしてしまうことはあります。」

 他に何か現代病に関係するようなことはありますか?

山中先生「大気汚染によってダイオキシンのような化学物質が増え、それが体内に入ることによって、ホルモン分泌を乱しているという意見もあります。環境ホルモンとか内分泌かく乱物質などと呼ばれていますね。」

 昔と比べると、グルテンフリーの食べ物などアレルギーについての関心が高まっているように思いますが、そういうアレルギーなども不妊症に関係がありますか?

山中先生「花粉症やハウスダスト、あと蕎麦や小麦粉など、よく知られているアレルギーもありますが、それ以外にもアレルギーの原因になるものはたくさんあります。そういった慢性的なアレルギーや炎症反応が続いている状態は、それがダイレクトに不妊症につながるとは言い切れませんが、妊娠には適した状態とはいえないと思います。」

 なるほど、妊娠しやすい身体作りには、ストレスフリーの健康的な生活が理想的なんですね……って都会で働いているとそういうワケにはいかないですが。

◆恋愛・セックスは…?

 ところで恋愛やセックスをすると女性ホルモンが活発になるなんて俗には言いますが……!?

山中先生「恋愛的な要素がどこまで女性ホルモンに関わってくるかは分かりませんが、セックスをすると女性ホルモンが出るという説を唱える人もいますね(※)。さらに射精された精子の成分には排卵を引き起こすための、ホルモンを誘導する作用があるとも私は読んだことがあります(※)。」

(※セックスと女性ホルモンの関係、射精された精子の成分と排卵のためのホルモン誘導作用には諸説あるようです。)

 なるほど、男が女を求めるように、精子は卵子を求めているのですね(笑)。

山中先生「あと性的な興奮が高い時の方が、そうでない時よりも精子数が増えるというデータがあります。俗な話で、不倫した時に限って妊娠しやすいというような話を聞いたことがありますが、その科学的根拠になるのかは私には分かりません(笑)。」

 男性は、窮地に立たされると本能的に、子孫を残す機能が高くなるって言いますもんね。

◆不妊治療のやめ時で苦しむことも

 近年の不妊治療を受ける夫婦の増加に伴い、始めてしまった不妊治療の“やめ時”が分からず、苦しんでいる夫婦も逆に多いと聞きます。『不妊治療のやめどき』(松本亜樹子 WAVE出版)という本がヒットしたのも記憶に新しいですね。

山中先生「海外のニュース記事で、不妊症の患者さんが治療に取り組むことを『addict』と表現しているのを読んだことがあります。日本語で言うと『中毒』とか『依存』という意味になりますので、日本だけでなく海外においても、『患者さんが治療を止められない』あるいは『結果がでていない状態で、どのように止めていいのかが分からない』ということが、ひとつの課題になっているのだなと思いました。

 不妊治療は費用や時間もかかることですし、治療そのものには中毒性や依存性というものはありません。ただ、妊娠という結果がでるまでは『もしかしたら次こそは』という気持ちが続いて、人によってはそれに歯止めが効かなくなるのかもしれませんね。

 既に子供がいる人ならまだしも、1人もいない方の場合は、不妊治療を止めるということは、『子供を持つことはもうできないかもしれない』という葛藤につながったり、今後の夫婦としての在り方についても考えなければならないことになりますので、簡単にはできない決断だと思います。」

―産婦人科医インタビュー vol.3―

【取材協力】

山中 智哉・・・医学博士、日本産科婦人科学会専門医、日本抗加齢医学会専門医

現在、『六本木レディースクリニック』にて、体外受精を中心とした不妊治療を専門に診療を行なっている。

<TEXT/ミフル>

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