ダブル不倫の代償「お互いにバレて、すべてを失うまで」

ダブル不倫の代償「お互いにバレて、すべてを失うまで」

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 携帯電話とメールが登場して以来、すっかりカジュアルになった不倫。でも、ひとたびバレたらどんな修羅場が待っているのでしょうか?

 ダブル不倫をしている女性・藤村綾さんの場合、その代償は大きなものでした。前編に続き、以下は藤村さんの独白録です。

◆不倫が奥さんにばれて修羅場に…

 あたしと男の関係は誰も気づいていないと思っていた。慎重に行動をしてきたつもりだった。でも、女はするどい。2年くらい経ったころ、奥さんが男の行動を怪しむようになった。

 一番の理由は、奥さんを抱かなくなったからだ。男はあたしと身体を重ねる前は、週に1度はしていたという。

「嫁さんを抱けなくなった。抱いても勃たなくなった」と。

 奥さんは「どうしてなの? あたしじゃダメなの?」と泣いて混乱したらしく、そのことがきっかけになって、男は常時監視をされ始めた。

 電話がしょっちゅうかかってくる。メールも頻繁にくる。一緒にいるときに限って電話がかかってくるので、盗聴器がついているのかと疑ったほどだ。

 そんな危険にさらされていても、逢ってホテルに行った。あたしはなんとなく嫌な気がした。

 男が、奥さんは多分不倫をしていることを知っている、と初めて口にしたのだ。そして、うつむきながら申し訳なさそうに言葉を継いだ。

「しばらく距離を置こう」

 あたしは耳をふさいだ。「嫌だ、なにを言っているの! 絶対に嫌だ!!」。男の言葉をさえぎって、まくし立てた。

 と、そのとき、男のiPhoneにメールが届いた。奥さんが男のスマホを同期させ、位置情報を検索したのだ。そして、次の瞬間、あたしのケータイに電話がかかってきた。知らない電話番号。

 男に見せると、「嫁さんからだ」と、いやに冷静な口調で言った。電話には出るな、と男に言われた通り、出なかった。奥さんはあたしの電話番号を盗み見ていたのだろう。

 怪しいと思っていた矢先に位置情報を検索したらラブホテルだった。奥さんはいてもたってもいられずにあたしに電話をかけてきた。完全にばれている。

◆「出ていけ!」夫に離婚され、すべて失った

 その日も、いつものように抱き合った。だけど、いつもとは違う拷問のようなセックスだった。

 奥さんの立場になって考えるとぞっとした。いつも情事の後、あたしは男との出来事を小説のようにして、男にメールで送っていた。奥さんはそれをすべて読んだのだ。

 だからあたしたちが逢う日もだいたい把握していたし、すべてお見通しだったわけだ。男はすべてを奥さんに話し、もう逢わないと約束していたという。

 実のところ、あたしもメールを旦那に見られてしまった。「出ていけ!」と罵声を浴びせられ、娘だけ連れて何も持たずに家を出たあげく離婚した。

 あたしは、男も自分の家族も一気に失った。

◆浅はかな自分が腹立たしかった

その後、一度だけきちんと話しがしたくて男と会った。

「俺がすべて悪い。申し訳ない」

 外は雨が降っていた。あたしは車の屋根にぶつかる雨音よりも大きな声で泣きわめいた。この男を殺してあたしも死のうと思い、カバンの中にナイフを忍ばせておいた。身体中の血液が下に降りる感覚がして目の前が真っ白になる。

 あたしは男の胸を何度も叩き、ナイフを取り出そうとしたとき、白い小さな紙を見つけて手に取った。映画の半券だった。

「娘と昨日、観てきたんだ……」

 きいてもいないのに小さな声で男が言った。あたしはハッと我に返った。この人は「おとうさん」だったんだなと。

 夫であり父であるこの男を、あたしだけが奪う権利などない。浅はかな自分がひどく腹ただしかった。あたしと逢った日、奥さんは必ず公園に行って泣いていたそうだ。それもあたしの“小説”を読んだからだ。

 最後は綺麗に別れたかった。あたしは顔を涙と鼻水でぐちゃぐちゃにしながら、何度も男を抱きしめた。出会ってからすでに3年も経っていた。

◆それなのに、まだ別れられない…

 もう、奥さんのいる男なんか好きにならない。すっかり疲れ果てていた。離婚をして家族も家も男も失ったあたしにいつまでも光は見えなかった。

 目の前の仕事を淡々とこなし、時間が解決してくれると信じて毎日を過ごした。だけれど、思い出は美化されるばかりで、涙腺が壊れたかと思うほど涙がたくさん溢れ出た。

 何度も電話番号のメモリーは消した。けれど、メールは消すに消せなくて、ほとぼりがさめて冷静になってから、実は今でも時おり逢っている。ひどい話だ。

「愛している」「好き」なんていう言葉は今のあたしたちにはなくて、たまに逢って肌と心を重ねるだけの関係だ。

 不倫は周りを見えなくし、誰かを傷つける不貞行為だ。

 奥さんがパンツを洗う人。あたしは脱がす人。と、昔なにかのドラマで言っていた。

 あたしは脱がすほうがいいとずっと思っていた。でも、やはり、洗うほうがいいに決まっている。婚姻の事実はとても強くてとても偉大だからだ。

 不倫に苦しむのも自分で招いた結果だ、と思いながら今日も生きていく。

<TEXT/藤村綾>

【藤村綾】

あらゆるタイプの風俗で働き、現在もデリヘル嬢として日々人間観察中。各媒体に記事を寄稿。『俺の旅』(ミリオン出版)に「ピンクの小部屋」連載、「ヌキなび東海」に連載中。趣味は読書・写真。愛知県在住。

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