「月経カップ」は米国で当たり前。ナプキンよりいいの?

「月経カップ」は米国で当たり前。ナプキンよりいいの?

月経カップ「スクーンカップ」



 最近になって、肌にやさしく繰り返し使うことができる「布ナプキン」が出回っているものの、日本の薬局やスーパーでは紙ナプキンが生理用品の棚のほぼ9割を占めています。実際、ここ3カ月のあいだで日本全国の薬局・スーパーで売れている生理用品の上位10位はすべて紙ナプキン(※)。それに次ぐ存在であるタンポンの使用率も依然として低いのが現状です。

 膣内に“異物”を挿入するということへの恐怖感や抵抗感ある、という女性も少なくないと思いますが、そもそも日本では生理自体がどこかタブー視され、生理用品の多様性が語られる機会が少ないように感じます。

 そんななか、昨年「スクーンカップ」という月経カップが日本の医療品医療機器等法(旧薬事法)に基づいて販売を開始。

 その企業の代表が日本人女性であることが話題になっています。アメリカ居住歴25年、オーガニックコットンの布ナプキンとベビー服のブランド「スクーン」の浅井さとこさんです。

 彼女に、生理用品や生理そのものに対する考え方に日米でどんな違いがあるのか、お話を伺いました。

◆アメリカで「月経カップ」は当たり前

 日本で生理用品というと、ナプキンかタンポンの2つしか選択肢はないと思っている方が大多数のはず。しかしアメリカでは、ナプキンとタンポンが主流の生理用品ではあれど、それに加えて月経カップという選択肢も当たり前になっています。

⇒【写真】はコチラ https://joshi-spa.jp/?attachment_id=723776

 月経カップとは、シリコン製のカップを膣内に挿入し、そのカップに経血を溜める生理用品。浅井さんによると、地域差はあるものの、特にアメリカの都市部において需要が毎月伸びているとのこと。

「使い捨ての生理用品でゴミが溢れ、さらに生理用品に使われている素材に対する健康面での不安から、昨今は月経カップへ移行する方が非常に多くなっています」(浅井さん、以下同じ)

 生理によるムレやかゆみ、痛みなどの不快感を覚えるのは世界共通。それに対し、「日本の場合は“辛抱”を美徳とする文化があるせいか、苦痛や不満を女性がガマンする傾向がありますよね。でも欧米では、不快感を取り除く方法があるのなら無理をすることはない、という考え方が一般的」と浅井さん。

「健康面や環境面、経済面、さらに実践的な面も踏まえて、アメリカ女性が月経カップという選択肢に至ることは自然なことだと思います」

◆月経カップは自分の体を知るきっかけになる

 アメリカでは生理についての話題も比較的オープンだそうで、「『月経カップを使ってよかった』『もっと早く使いたかった』という声があちこちから聞こえてくるので、試してみる時の心理的ハードルが低いのでしょうね」

 月経カップのような生理用品は日本ではハードルが高いように思えますが、日本でも感度の高い層を中心に急激に受け入れられつつあるようです。

「体の中に何かを入れることを最初は怖いと思うのは自然なことですが、それよりもムレなし、モレなし、ニオイなしという、使ってみて初めてわかる快適さや便利さが口コミで伝わって、試してみようと思う方が増えてきているのだと思います」

 また、月経カップの利用は自分の体のことをよく知ることにつながる、と浅井さんは言います。

「同じ生理でも経血の量は毎回少しずつ違ってくるもの。いつもは漏れないのに今回だけ漏れたのなら、膣内が変化したり、心理的なことが影響したりしたせいかもしれません。月経カップをはずしたときに、汚いものと思わず経血を観察することで病気の早期発見にも役立つと思います」

◆日本ではタブー視される女性器のこと、アメリカでは…

 下着にシートを貼るだけのナプキンとは異なり、膣内にカップを自分で挿入するという点で、月経カップを使うためには膣内の構造を理解する必要が出てきます。でも、日本の一般的な性教育では詳しく教えられていません。アメリカでは若い人のあいだでもっと理解が進んでいるのでしょうか。

「アメリカでも子宮や膣といった女性の体に関して、さらには中絶やレイプ、トランスジェンダーについて比較的自由に考えを表現することに対して、時代と共にずいぶんオープンになってきていると感じます。それに悩みや苦しみを自分一人で抱え込まないでいられるように、さまざまな支援グループや施設団体なども充実してきています」

◆生理休暇に対する日米の違いは?

 では、生理に対する職場での理解はどうなのか。日本では生理休暇を設ける職場が少しずつ増えてきていますが、それでも女性としては肩身が狭かったり、恥ずかしかったり、毎月生理休暇をとることははばかられるのではないでしょうか。

 しかし日本よりも生理に対してオープンなアメリカであれば、「職場によって状況は異なるかもしれませんが、生理の不快感や生理痛に対する職場での理解は得やすいかもしれない」と浅井さん。しかしその一方で、「生理を理由に仕事を休むとなると、男性と対等に仕事ができない人であるとみなされてしまう可能性があり、それを恐れて休暇をとらない女性は多いかもしれないですね」。

◆もっと体の声に耳を傾けて

 今回、生理や生理用品に対する日米での考え方の違いを聞いてわかったのは、自分の感じたことや思いを素直に言えるかどうか、が日本とアメリカでは異なるということ。

 日本では「みんなと同じじゃないといけない」とか「人と違うことがあると悪く見られる」といった、同調圧力が強いと浅井さんは感じるそうです。

「自分の内なる声に耳を傾けて、これまで自分を縛ってきた従来の考えからもっと自由になれるように意識を向けていけば、社会は変わっていくと思います。タブーとされているようなことでもオープンに表現できて、人と人が本当につながっていけるようになれば素敵です」

 毎月やってくる生理は確かに面倒なことかもしれないけれど、女性が自分の体と向き合う良い機会なのかもしれません。生理や生理用品について日本でも今後もっとオープンになり、さまざまある選択肢の中から、女性が自分の意思を持って選ぶことができるようになるといいですね。

※2017年3〜5月期の全国の薬局・スーパーなどにおける生理用品のシェア率(ウレコン調べ)。

<TEXT/佐藤まきこ>

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