炎上すると病むかキレるか…SNSの怖さと魔力【北条かや × yuzuka】

炎上すると病むかキレるか…SNSの怖さと魔力【北条かや × yuzuka】

写真はイメージです



 今年4月に5冊目の著書『インターネットで死ぬということ』を上梓した著述家・北条かやさんと、精神科や美容外科の元看護師で現役風俗嬢であるライターyuzuka(ユズカ)さんの対談。

 第4回は、「炎上&バッシング」と「SNSが内包する闇」について語っていただきました。

◆なぜ「炎上」で、病むか逆上してしまうのか

――yuzukaさんが北条さんのご著書『インターネットで死ぬということ』というタイトルに共感した理由を教えていただけますか。

yuzuka(以下、yu):ネットでお仕事をいただけるようになった私としては、かやさんと同じく「ネット上の自分が死ぬことは、リアルな自分も死ぬこと」なんです。ネットで「yuzuka」と入力した後に「炎上」という予測変換がキーワードとして出るようになったら、もうお仕事はいただけないんじゃないか、という不安にさいなまれたこともあります。

 いつの間にか「ネットの中の“yuzuka像”を崩されたら生きていけない!」という思いに縛られてしまうんです。

 かやさんのように炎上に向き合った結果、病んでしまう人もいれば、立ち向かうことでさらに炎上を大きくして“炎上芸人”的な扱いを受けてしまう人もいる。

 そういう人たちを見ていると、気にしないことが一番だと頭では分かるんですけど、当事者になるとやっぱり気になってしまうんですよね。

北条かや(以下、北条):一度、大きな炎上を経験すると反省できるんですけど、経験するまでは反省するポイントがないのがSNSなんです。しかもツイッターは独自な魔力がありますからね。10年ぐらいハマッて気づいたんですけど、自分の不幸話にたくさんのリツイート数がつくと、脳内麻薬がドバドバと分泌されて、癒される気がするんです。

 実際、4年ほど前はメンヘラっぽいコメントのリツイート数が伸びるのがうれしかったですし。それが自分のある一面を正確に表したツイートでもあったので、ペンネームの北条かやとして吐き出しているうちに肥大化してしまった……。

 残念な話ですが、あれは素の自分でもあるので、「あれはウソです」とも言えないんです。

――本名とペンネームの話が出ましたが、北条さんのペンネームがご自身の心の中で占める割合はどのぐらいですか?

北条:今は9割がペンネームの北条かやで、1割が本名です。北条かやが暴走しそうになると、1割の自分が止める感じです。本名の自分が1割もなくなっていたときに自殺未遂をしてしまったので、2割か3割ぐらいには増やしたいなぁと思っています。

――心の9割がペンネームで構成されているとは驚きです。yuzukaさんは?

yu:私はyuzukaが8割、本名が2割です。ネットでお仕事をもらって対価として原稿料をいただき、人前に「yuzukaです」と名乗り出る機会が増えると、どうしてもそっちの人格が勝ってしまうんです。その価値観に対して、「本当の私はこうじゃない」と自分に言っている自分もいます。

 ツイッターも若干、2ちゃんねる化していて、匿名的な批判が増えていますから、バランス調整が大切だとは分かっているんですけどね。

◆ツイッターは殺伐とした空間

北条:私はツイッターのユーザーが増えて、みんなが裏アカを持つのが当たり前になって、2ちゃんねる化していた時期に炎上して、「こんなにツイッターは殺伐とした空間なんだ」と思ったんです。今はさらに攻撃もしやすいし、されやすい環境にもなっているんでしょうね。

――yuzukaさんはバッシングされた経験はありますか?

yu:あります。普段は無視するんですけど、一度だけ「肉便器」と言われて、ものすごく頭にきて、初めて切り返したことがあるんです。「お前は肉便器を掃除する便所のブラシだ!」って。

北条:うまいこと言いましたね(笑)。

yu:私もそう思ったんですけど、こういうやり取りを思い出してしゃべると自分のネガティブな面が浮き彫りになりますね。

北条:それぐらいネガティブな闇を抱えていないと、ツイッターでフォロワーは増えないんですよね。そもそも仕事やプライベートが充実していて幸せな人は、ツイッターをしないですし。

yu:存在自体を知らない女性もいますよね。「あの鳥のマークの?」みたいな(笑)。同じライターで、合コンコンサルタントのマドカ・ジャスミンちゃんとお茶をしたときも、「ツイッターでフォロワー数が増える人間は闇が深い」という結論に到達したんです。

 そのことを実感もしているし、私は常にyuzukaというコンテンツを意識しながら文章を書いてはいますけど、たまに男性から攻撃されることがあるので、ネットとのつき合い方を変えるようにしました。

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 炎上とバッシング経験者の2人は現在、どのようなスタンスでネットと向き合っているのか――。次回、最終回に続きます。

―北条かや×yuzuka対談 vol.4―

<構成/内埜さくら 撮影/難波雄史>

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