低い時給に枕営業も!?「バレエダンサーの闇」に迫る映画3選

低い時給に枕営業も!?「バレエダンサーの闇」に迫る映画3選

『フレッシュ・アンド・ボーン』より



 こんにちは、映画で美活する映画美容ライターの此花さくやです。

 見応えのあるバレエ映画が今年は豊作。現在公開中のジョニデ娘主演作『ザ・ダンサー』やドキュメンタリー作品『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣』に続き、10月28日には『ポリーナ、私を踊る』が公開されます。そして、筆者が最近ハマったのがAmazonプライム・ビデオにて独占配信中の『フレッシュ・アンド・ボーン』。

 どの作品も、少女漫画風の可愛らしいスポ根モノではなく、かなりダークなストーリーなんです。それでは、これらの作品に描かれている“バレエダンサーの闇”を探ってみましょう!

◆バレエダンサーになるには1,000万円以上かかる!?

 バレエにお金がかかるというのは通説。ボリショイ・バレエ団を目指す若いダンサー、ポリーナの成長を描く『ポリーナ、私を踊る』では、母親が「お金がかかるからポリーナはプリマになれないわ」とボヤくシーンがあります。

 また、19歳にしてロイヤル・バレエ団の史上最年少男性プリンシパルとなったセルゲイ・ポルーニンの素顔に迫ったドキュメンタリー『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣』では、セルゲイのバレエ代を捻出するために父親と祖母が外国へ出稼ぎに行く様子が。

 では、プロのバレエダンサーになるには一体いくらかかるのでしょうか?

 タイム誌のweb版によると、アメリカでは3歳からバレエを始めて18歳になるまでの間、バレエスクール、サマープログラム、トゥシューズ、タイツ&レオタードのコストはあわせて約1,125万円(1ドル=112円換算)かかるのだとか。

 しかし、これにはバレエスクールやコンクールへの交通費が含まれていません。世界を目指すなら県外や海外のコンクールに出場するでしょう。もちろん、住む地域や国によってコストは違いますが、プロになるまでに莫大な金額がかかるのは間違いなさそう……。

 では、プロになったバレエダンサーは必ず稼げるのでしょうか?

◆劇場の受付よりも時給が低い!?

 英テレグラフ紙のweb版「ザ・テレグラフ」によると、2014年にロイヤル・バレエ団の本拠地であるロイヤル・オペラ・ハウスがフリーランスダンサーのリハーサルに支払った時給は、約1,346円(1ポンド=147円換算)。

 一方、同劇場の切符売り場の受付の時給は約1,575円。諸説がありますが、平均的な群舞ダンサーの年収は約169万円〜296万円だといわれています(1ドル=112円換算)。

 もちろん、大金持ちになったバレエダンサーもいます。ソ連が生んだ天才バレエダンサーのミハイル・バリシニコフは資産が50億円を超えるといわれていますが、振付家、芸術監督からハリウッド俳優まで幅広く活動したからこそ。

 また、ボリショイ・バレエ団のプリマを20年以上、アメリカン・バレエ・シアター(ABT)を16年務めたニーナ・アナニアシヴィリは1つの公演につき約338万円を支払われていたのだとか。

 プリンシパルとしてトップに上り詰め長年活躍し続ければ、大変なお金持ちになれるようですが、スタートアップの時点では一般のサラリーマン未満のお給料のようですね。本当に厳しい世界!

◆ダンサーによる枕営業の噂も

 さらに驚くのは、海外ドラマ『フレッシュ・アンド・ボーン』ではプリマ(プリンシパル)が枕営業をほのめかされるシーンがあるんです!

 本作は架空のバレエ団を舞台にしているのでこのエピソードはあくまでフィクション。しかし、数年前にはこんなニュースが。

 2013年、ボリショイ・バレエ団の元ソリスト(プリンシパルの次に順ずる、準主役級)のアナスタシア・ボロチコワが、群舞やソリストたちがスポンサーとセックスすることを強要されていたと暴露しました。

 アナスタシアは2003年に「太りすぎている」ことを理由にボリショイ・バレエ団を解雇されて以来同バレエ団を批判して続けており、同バレエ団の総裁はこの訴えを一蹴していることから、真実は明らかになってはいません。

 実際にバレエ団でセクハラが横行しているかは謎ですが、次に紹介するバレエストーリーは、本物のバレエダンサーたちが出演し、挫折や葛藤といった人生の負の部分をリアルに表現しています。

◆ダークだけど勇気がもらえるバレエ映画/ドラマ3選

1. 公開中『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣』

 体中に刻まれたタトゥーと無精ひげが異彩を放つセルゲイ・ポルーニン。ロイヤル・バレエ史上最年少プリンシパルになるも、2年後に突然退団して世界を驚かせた彼の人生を綴ったドキュメンタリー。

「生まれてきた目的や運命はあるのか?」――天才を育てるために家族が払った犠牲こそが、セルゲイを苦しめます。自分らしく生きようと自分の才能に反逆し続ける彼の姿に心が引き裂かれそうに。最後に彼がくだす決断とは……?

2. Amazonプライム・ビデオにて独占配信中『フレッシュ・アンド・ボーン』

 主人公のクレア(サラ・ヘイ)は故郷を逃げるようにしてNYの名門バレエ団に入団。彼女の才能を見抜いた芸術監督は新作の主役に抜擢します。しかし、そこに待ち受けていたのは、ダンサー仲間の嫉妬やスポンサーへの接待。その上、クレアには誰にも言えない秘密が……。

 近親相姦、DV、セクハラ、パワハラ、自傷行為、ドラッグ、人身売買……ここまでかというぐらい人間の闇が描かれています。それぞれが抱える葛藤をなんとかバレエに昇華しようとするダンサーたちの生き様が見もの。

3. 10月28日公開『ポリーナ、私を踊る』

 ボリショイ・バレエ団への入団を小さなころから夢みて頑張ってきた少女ポリーナ(アナスタシア・シェフツォワ)。労働階級の両親の期待を一身に背負ったポリーナはボリショイ・バレエ団への入団を目の前にしてコンテンポラリーダンスと出会い、南フランスのダンスカンパニーに入団してしまいます。そして突然の怪我により、彼女が思い描いたいた未来が狂い始めて……。

 人がもつ“脆さ”はときとして強さに生まれ変わる。そんなメッセージが感じられてパワーがもらえる作品です。ジュリエット・ビノシュが演じる振付家リリアが踊るダンスも必見です!

 肉体と精神の芸術を極限まで追求するバレエ。美しいバレエシーンを堪能するだけではなく、過酷な世界で闘い続ける勇気と情熱を感じてくださいね。

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<TEXT/此花さくや>

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