「戦争×ロマンスコメディ」が新鮮!な間もなく公開の映画2選

「戦争×ロマンスコメディ」が新鮮!な間もなく公開の映画2選

『ブルーム・オブ・イエスタディ』より



 こんにちは。映画ライターの此花です。

 先日公開された『ダンケルク』など、戦争にまつわる映画が最近多く公開されていますが、バイオレンスが苦手な女子はたくさんいると思います。

 そこで今回は、戦争について考えさせられつつも、くすっと笑えるロマコメ映画を2本ご紹介します!

◆『オン・ザ・ミルキー・ロード』(9月15日 公開)

 戦争をしている架空の国を舞台にしたファンタジー。風変わりな男コスタ(エミール・クストリッツァ)は、いつも雨傘とハヤブサをお供にロバに乗って、ミルクを前線に配達しています。ある日、謎の美しい女性に一目ぼれ。その女性とはコスタを慕う隣家の娘ミレナ(スロボダ・ミチャロヴィッチ)がアフガニスタンに出征中の兄のために見つけてきた、謎の“花嫁”(モニカ・ベルッチ)でした。

 戦争が終わったのもつかの間、“花嫁”を狙う英国将校が軍隊を率いて村を襲撃。二人は命からがら逃げ出しますが、将校は彼らをどこまででも追い掛け回します……。

 この愛の寓話にはたくさんの動物が登場。音楽にあわせて踊るハヤブサ、コスタを乗せて戦地を駆け回るロバ、ミルクが大好きな蛇、一日中鏡を見ている鶏など、童話に出てくるような動物たちですが、実はそこには「戦争に明け暮れる人間のほうが動物よりもずっと動物的だ」いうメッセージが潜んでおり、人間性を皮肉っているような気がします。

 80年代に大旋風を巻き起こした映画『フラッシュダンス』(1983年)の主題歌をかけながらレオタード姿でジャンプする元体操選手のミレナ、狂いっぱなしの大時計の歯車に巻き込まれて怪我をするミレナの母親など、登場人物が奇妙奇天烈で、物語は牧歌的な雰囲気から始まりますが、コスタと花嫁の逃避行にはらはらドキドキしっぱなし。

 戦争が終わってもコスタと花嫁は逃げ続けなければいけない……そんな展開が“戦争が決して終わらない現実世界”を示唆しているようにもとれます。そのくせ、物語に散りばめられた幻想的なシーンにうっとりとしたり、どたばたコメディにくすっと笑ったりしながら、コスタと花嫁の純真な愛に希望を感じることができます。

 3つの実話をつなぎ合わせて作ったという壮大なファンタジーですが、とても温かい作品に仕上がっています。エミール・クストリッツァ監督の息子であるストリボール・クストリッツァが全編にわたり手がけるバルカン・ミュージックも素晴らしくドラマチックな結末は圧巻!

◆『ブルーム・オブ・イエスタディ』(9月30日 公開)

 ホロコースト(第二次世界大戦中のナチスによるユダヤ人大虐殺)研究に人生をかけているドイツ人研究者のトト(ラース・アイディンガー)。勤めている研究所で「アウシュヴィッツ会議」のプロジェクトリーダーとして頑張ってきたのに、感情的で偏狭な性格が災いしてリーダーから外されてしまいます。

 そんなときにフランスからやってきたのが、ユダヤ系のインターンであるザジ(アデル・エネル)。

 ホロコースト犠牲者の祖母をもつザジは、キュートな外見とは裏腹にとっぴょうしもない言動でトトを驚かせます。こんな女絶対ムリ! と思いながらも、彼女の不思議なパワーに次第に惹かれていくトト。そして恋に落ちる二人。実は二人の過去には驚きの共通点があり、それぞれが抱えているダークな秘密が明らかに……。

 ホロコーストにとりつかれた鬱病のトトと病的なまでに躁気質のザジが織りなす毒舌たっぷりの恋の応酬には、笑えるツボがたくさん! しかし、物語が進むにつれて観客をあっと言わせるプロットがいくつも仕掛けられていて、前半はブラックユーモアで後半は心理ドラマのような、オフビートなラブコメなんです。

 当事者ではない私たちは、ホロコーストを写真、文章、数字、被害者の言葉でしか知ることができません。しかし被害者と加害者には、言葉では語りきれないパーソナルなホロコースト体験があり、孫たちの世代へもその傷は受け継がれているのです。

 つまり、ホロコーストは決して完結しない……。そんななかでも一瞬咲く“花”があり、その花こそが未来を照らしてくれるのでは?――といった前向きなメッセージが込められています。

 第29回東京国際映画祭では東京グランプリ&WOWOW賞を受賞している話題の本作。ポラロイド写真のような艶やかな映像とサルコジ元フランス大統領夫人のカーラ・ブルーニの曲「ケルカン・マ・ディ 〜風のうわさ」が絶妙なハーモニーを奏でて美しい!

 さらに、ザジが見せるパリジェンヌファッションもとってもオシャレです。赤いコート、トレンチコート、花柄シャツ、だてメガネなど、秋のスタイリングの参考にしたいもの。

 戦争映画が苦手な方や、ハリウッド的ラブコメに飽きた方にオススメの2本です!

『オン・ザ・ミルキー・ロード』

9月15日(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー!

配給:ファントム・フィルム

(C)2016 LOVE AND WAR LLC

『ブルーム・オブ・イエスタディ』

9月30日(土)よりBunkamuraル・シネマほか全国順次公開!

配給:キノフィルムズ・木下グループ

(C)2016 Dor Film-West Produktionsgesellschaft mbH / FOUR MINUTES Filmproduktion GmbH / Dor Filmproduktion GmbH

<TEXT/此花さくや>

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