村上虹郎「森達也監督は面白い」。早見あかりの恐怖体験ほか撮影秘話を明かす

村上虹郎「森達也監督は面白い」。早見あかりの恐怖体験ほか撮影秘話を明かす

村上虹郎さん



「モテキ」「孤独のグルメ」などエッジの効いた人気作を生み出してきた、テレビ東京の深夜ドラマ枠「ドラマ24」。その姿勢を受け継ぎながらも、さらに挑戦的な作品を放送する「ドラマ25」において現在放送されているのが、「デッドストック 〜未知への挑戦〜」(金曜・深夜0:52〜1:23)です。

“虚実入り混じる新感覚ホラードラマ”と銘打たれている本作。2016年にテレ東京が社屋を移転した際に発見された大量の番組素材テープが眠る旧社屋の倉庫が舞台ですが、社屋が移転したことも、大量の怪しげな番組素材テープが発見されたことも本当なんです。

 その大量のテープを整理する部署“未確認素材センター”(これは実在しません)に配属された主人公、新人ADの常田大陸(りく)を演じているのが、村上虹郎さん(20歳)。

 初の本格ホラー、そして最終話でドキュメンタリー監督の森達也さん(『FAKE』他)が監督するという異色の深夜ドラマに出演した彼に、撮影の裏話、今年で3年目になる俳優という仕事に対する率直な思いを聞きました。

◆早見あかりが市松人形で恐怖体験

――本作は市松人形やこっくりさんなど定番のホラーものが多く登場しますが、ネットでも描写がリアルで怖いと評判です。撮影中に怖い体験をしたことはありましたか?

村上虹郎さん(以下、村):僕自身は怖がりなのですが、鈍感なのかあまり感じなかったんです。でも、早見さんは人形をだっこしていた側の首が次の日回らなくなった、と言っていました。(権野元)監督は、トンネルで撮影した時に音だけ録れて映像が映ってなかったことがあったみたいです。毎回ではないですが、そういうことがありました。

――村上さんは怖がりなんですね。

村:はい。僕、けっこう引きずってしまうタイプなんです。「バイオハザード」のゲームとかでも怖いです(笑)。でも、ホラーを怖いと感じられない人って、それを面白いと思えないわけじゃないですか。だから、「怖い=面白い」だと思うんです。

このドラマの場合は怖がりじゃない人にとっても面白いと思います。6、7話くらいまではホラーの話が中心なのですが、8話からテイストが大きく変わるんです。

◆森達也監督による最終話はジャンル外

――たしかに8話で、大陸と暮らしているはずの母親が、実は死んでいた、という展開になり驚いた視聴者は多かったと思います。しかも、超能力者に殺されていた、という。

村:はい。10話(今夜、9/22夜放送)が実質的な最終回になると思います。最後の森さんが監督する11話はある意味、全然ジャンルが違う話になるので(笑)。

――それはすごそうですね(笑)。11話はどんな感じになるんですかね?

村:ドキュメンタリーを取り続けている森監督が、「今回はドラマを撮る」と言ったそうなんです。ただ、それはただのドラマじゃなかったです。

――森さんの回は脚本はあるんですか?

村:最初、脚本がないと思っていたのですが、ありました。ただ、そこから逸脱もしていきます。森監督も出演するのですが、森監督が一番しゃべっている(笑)。11話では清田さん(かつてスプーン曲げで一世を風靡し”清田くん”の愛称で知られる清田益章さん)に「スプーン曲げをしてください」ってお願いしに行くのですが、そこでいろんなドラマが起こります。

完全に清田さんにフォーカスした話になっているのである意味ドキュメンタリーなのですが、僕ら俳優は役でその場にいるので、ドラマの要素もある。ただ、清田さんは俳優ではなく“生”でそこにいるので、清田さんと絡む時は僕たちも“生”で挑まないといけない。だから、この回はジャンル外ですね。

――11話の森さんの印象はどうでしたか?

村:僕が言うのもおこがましいかもしれませんが、面白いです。森監督が何かを狙っているということはわかるのですが、何を考えているかわからない。すべてを語らない人なので。

実際、撮影した時も脚本からかなり脱線していました。まだ仕上がりを見ていないからわかりませんが、めちゃくちゃ面白いものになってると思います。

◆芝居の“刹那”を大事にするようになった

――早見あかりさんとは以前映画『忘れないと誓ったぼくがいた』(2015年)で共演されていますが、久々に共演されていかがでしたか?

村:お互いの舞台を観に行ったりしていたのであまり久しぶりという感じはしなかったですが、初めて共演した時はお互い10代だったので、20代になってしっかりしたな、と思います。早見さんはこの仕事が僕より長いので、もともとしっかりしていましたけど。

当時、僕はがっつりお芝居をするという意味では2作目だったので、お芝居のことも現場のこともわかってなかったから、スタッフさんたちからすごく怒られていました(笑)。

――どんなことで怒られていたんですか?

村:その作品で初めて、リハーサルと本番は同じことをやらないといけないと知ったんです。デビュー作が河P直美さんの作品(『2つ目の窓』2014年)だったのですが、河P組はそもそもリハがなく、本番のみ。本番でもテイクごとに同じ芝居をしていたらダメだと言われました。

「あなたはこの作品でこの瞬間を生きているんでしょ。だからテイクごとに同じことをするのはありえない。さっきから何テイクしても目線を送っているタイミングが同じやで」って。さっきのテイクで鳥が飛んでいたらその方向を見てもいいけど、今のテイクは同じところに鳥がいないんだから見ないでって。河P組なりのリアリティなんだと思います。どの現場でもどの俳優でもそれぞれのリアリティがあると思うので一概には言えないですが。

――デビューから3年、演技に対する向き合い方が変わりましたか?

村:舞台をやってから、変わった部分はあるかもしれません。岩松(了)さんの『シブヤから遠く離れて』(2016年)という舞台で初めて「ザ・舞台」というものを経験しました。舞台は同じ芝居を何度もできますが、映画やドラマは1テイクでOKが出たらその芝居は1回しかできない。とても刹那だと思います。

その刹那の中でも、その人が何を用意してきたか、どういう生き方をしてきたか、語らずとも滲み出るものはあると思うのですが。だからこそ、舞台を経験して、1回しかないその刹那を大事にしよう、より洗練されたものを残そう、と思えるようになりました。

◆日本の作品を世界に届けたい

――お母さんであるUAさんがエンディングの曲(「Moor」)を歌われていますね。声が似てると言われたことはありませんか?

村:あります。男女の違いはありますが、声の響き方、音の質が似てると思います。ちなみに、親父(俳優の村上淳)とは顎のつくりが似ていて、発音が苦手な言葉も一緒なんです。親父の舞台を見ていて、「ここ難しそうだな」と思ったりします(笑)。

――役者同士、わかるものなんですね(笑)。立て続けにいろいろな作品に出演されていてお忙しいと思いますが、休みの日は何をされているんですか?

村:何をやってるのかな……ちょっと前までは映画ばかり観ていました。古き良き名作とか、役者しばりでショーン・ペンの作品ばかり観たりとか。アル・パチーノと出ている『カリートの道』(1994年)はよかったですね。

最近だと、森監督の『FAKE』(2016年)や、長谷井宏紀監督の『ブランカとギター弾き』(2017年)。先日、ブランカのトークショーで母と一緒に長谷井監督と登壇したのですが、その時に監督といろいろお話ししました。

――長谷井監督は海外で活躍されていますが、今後、村上さんも海外の作品に出たいと思いますか?

村:海外の現場というのも経験してみたいですが、その前に、日本の映画をしっかり世界に届けたいな、と思います。いまは、何においても社会的な“しばり”が強いように感じます。しばりがあるからこその面白さもあると思いますが、ありすぎても、というのはあります。お芝居もしばりがある中でどれだけ爆発できるか。それがいまのテーマです。

<TEXT/女子SPA!編集部 PHOTO/山田耕司>

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