水原希子を叩く世間の息苦しさ…少数のアンチが目立つだけ?

水原希子を叩く世間の息苦しさ…少数のアンチが目立つだけ?

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 女性は可愛く、か弱く、控え目であるべき――そんな「女らしさの“呪い”」で生きづらくなっていませんか?

 そう問いかけ、『結婚という呪いから逃げられる生き方 フランス女性に学ぶ』という本を上梓したのは、20年間フランスと日本に拠点を持ってきた皮膚科専門医の岩本麻奈さん。

「“○○らしさ”よりも“自分らしさ”」が持論の岩本さんですが、つい最近「らしさ」問題で物議をかもしたのが、モデルの水原希子です。

 10月19日、水原希子は「朝から涙が出る。今日はなんだか弱いな私」「自分らしく、正直に生きるってこんな大変なんだ。でも嘘は嫌だよ」「Hate(ヘイト)よりLoveの方が気持ちが良い」「そんなに嫌いにならないで」とツイートしたのです。

 彼女がアメリカ人と韓国人のハーフであることに対してヘイト発言を書き込むクズは論外ですが、一方で、「いや水原希子の言動が問題なんだ」という人たちもいます。

 写真でバストトップやヒップを出せば「ハリウッドかぶれ」「下品」と叩かれたり、オリジナルブランドの服がブッ飛びすぎだと批判されたり、反論するとますます炎上したり…。

 基本的には人気者の水原希子(インスタフォロワー480万人ですからね)ですが、一部に強烈なアンチがいるのはなぜなのでしょうか。女性の生き方について多数の著書がある岩本麻奈さんに伺いました(以下は岩本さんの話)。

◆水原希子を叩く人は、息苦しい国が好きなの?

 水原希子さん、個性的でいいじゃないですか。なぜ彼女が炎上するんですか?? 理由が理解できません。

 日本では、女性は「主張しない、でしゃばらない」のが良しとされますよね。たしかにタレントは人気商売だから、日本で活動するなら沿わなければいけない面もあるでしょう。うちの息子は、長期休みで帰国したおりに日本のテレビを見ては、「同じ顔した特徴のない女性タレントがたくさんいすぎて区別がつかない」と言います。

 そんな中で、水原さんのように「日本人らしさ」「女性らしさ」からハミ出すと叩かれる。そんな息苦しい国を、みんな望んでいるのでしょうか?

◆「女の子らしさ」が刷り込まれるとき

「らしさ」についての、印象深い動画があります。“Like a Girl(女の子のように)”という、P&Gの生理用品「Always」のキャンペーン動画です。

 いまも続いているキャンペーンで、特に2014年の動画は世界的な話題になりました(再生回数は現在6470万回、広告賞の最高峰・カンヌライオンズ2015を受賞)。

「Like a Girl(女の子のように)!」。ディレクターが男も女もいる大人の外国人グループに、まず「走って!」と声をかけます。グループのみんなは、男も女も内股でナヨナヨと走ります。次は「ボールを投げて!」。みんな肩を回さない力の抜けた投げ方で山なりのボールを放ります。

 次は5歳くらいの女の子たちに声をかけます。「Like a Girl!」。女の子たちは手足を振って懸命に走り、オーバースローで力強くシャドウピッチングをしたのです。Excellent ! すばらしいことです。

 そうした後に、出演者たちのインタビュー。異口同音に語るのは、「幼い時は自分と“女の子”が一致していた。それが思春期あたりを境として『女の子らしく』という意識が植え付けられて、変わってきた自分を感じる」と。

「A girl」が「Like a Girl」に変わる。ある日、全力を出すのをためらわせる時が来るのです。できないふりをする。周囲から期待される「らしさ」にとらわれて、かよわく全力を出しきれない演技をするようになります。人に嘘をつくのではなく、自分に嘘をついてしまう。

 このビデオを見て、私はただボロボロと涙が流れて収拾に困りました。自分自身と同性たちへの憐憫というか、表現しきれない感情に襲われたのです。

◆水原希子が「らしさ」をブチ壊すのが気に入らない?

 私は6月に教育の日仏比較本を出版したのですが、日本の書店の子育て本コーナーを見て、いまだに「男の子の育て方」「女の子の育て方」みたいな本がかなり出回っているのを知りました。

 でも、「ホメる」や「叱る」場面で、男の子と女の子でやり方を変えなきゃいけない理由も分からなければ、そうした方が良い根拠も薄弱です。フランスでは男女別のホメ方なんて聞いたこともありません(なんでもフランスが正しいとは申しませんが)。

 そして、「女の子らしく(Like a Girl)おとなしくしなさい」「でしゃばっちゃだめよ」と繰り返し言われているうちに、女の子はオウンリスクを避けて慎重に行動するようになります。

「能力や自分らしさを存分に発揮しても、可愛くない女だと言われる。それなら男性に従っている方がまだ楽だ」と思うようになるのです。――だって、そのように育てられてきたのですから。

 冒頭の水原希子さんの話に戻ると、彼女には、ナヨナヨと“できないふり”をする「女の子らしさ」がない。そこが、女の子はこうあるべきと思うステレオタイプな人々の神経を逆なでするのでしょう。

 ただ、ネットというのは、少数の批判が目立つだけで、実際は彼女に憧れる人が多いはずです(でなければメディアがこんなに起用しません)。

 みんなが存在を意識しない人はいますが、みんなから好かれる人は存在しません。彼女が個性的であるということは、彼女を大好きな人とともに、彼女を大嫌いな人も存在するということです。

「アンチがいるのは人気の証拠」ぐらいの気持ちで、そのまま突っ走ってほしいですね。

【岩本麻奈さん】

東京女子医科大学卒、皮膚科専門医。20年にわたってフランスと日本を行き来、3児の母でもある。著書に『パリのマダムに学ぶ生涯恋愛現役の秘訣』『フランスの教育・子育てから学ぶ 人生に消しゴムを使わない生き方』『結婚という呪いから逃げられる生き方 フランス女性に学ぶ』など

<TEXT/女子SPA!編集部>

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