恋も仕事も“しゃがれ声”に邪魔された女性。病院で知った意外な事実

恋も仕事も“しゃがれ声”に邪魔された女性。病院で知った意外な事実

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あなたは自分の声が好きですか? 今回は自身の声のコンプレックスに悩み、ある決断をした女性の話です。

 真田ゆきさん(仮名・30歳)は物心ついた時から、自分の声が好きではなかったといいます。また、声にコンプレックスがあるということも、周りから理解されづらかったのだそうです。

◆幼い頃からの声がれで、ついたあだ名は「のぶ代」

「中学生くらいの頃には、自分の声は周りとは違うな、と思っていました。女児なのに声が低く、しゃがれているんです。周りの女の子はみんな高くてか細い、かわいい声なのに、私だけは低く野太い声。そのせいで、ドラえもんの声(当時)に似ていると言われて、あだなは『のぶ代』でした(※声優の大山のぶ代さん)」

 国民的な人気キャラクターに似た声なんて素敵! と思いますが、思春期の真田さんは、そんな風に言われることも嫌だったそうです。

「合唱コンクールはいつもアルトパートで、それでも高い音程は出ません。自分の声が嫌いと話しても、友人たちは『え〜、ハスキーボイスかっこいいじゃん』『そんなこと誰も気にしていないよ』と言います。でも、誰よりも私が嫌だったんです。普通の女の子らしい、かわいい声で生まれたかった。友だちとカラオケに行っても、男性ボーカルの曲しか歌えなくて……男子と行くのが本当に嫌だった」

◆大学生になったら“酒豪いじり”でお酒を強要される

 思春期の女の子からしてみれば、ちょっとしたことでも、みんなと違うということがコンプレックスになったりします。真田さんは、その悩みを誰にも話さず、胸の内に抱え込んでしまったそう。

「大学生くらいになると、声だけを聞いて『え、声、酒ヤケ? 酒豪じゃん』などと会う人全員に言われるようになりました。私はお酒が弱く、本当にたくさん飲んだりできないのに……飲み会になると“酒豪いじり”されて、お酒を強要されることもしばしば。

 その頃からは、自分自身の見た目とのギャップにも苦しむようになりました。ハスキーボイスが似合うかっこいい女性ならよかったけど、私は身長150cmほどしかなく、見た目も周りからは小動物系と言われます。ぱっと見は女の子らしく見られるのに、しゃべるとそうじゃなくってそれをいじられるので、次第に声の方に合わせて、サバサバして面白いキャラクターを作っていってしまうようになりました」

◆社会人になったら、余計に声での苦労が増えた

 声というのは意外と、その人の第一印象を左右します。よく通る声はクリーンな印象を持たせますが、逆に声が聞き取りづらいだけで、残念な人認定されてしまうことも。

「社会人になってからは、公私問わず声の印象で悩まされました。朝イチの商談では、酒やけのような声に客先で妙な顔つきをされることもありましたし、電話口の声が聞き取りづらい、とクレームを受けたこともありました。

 相変わらずプライベートでも外見と声のギャップに悩まされ、フリーのうちは合コンに行く度に酒豪いじり、恋人ができると夜の営みの際に女性らしい声が出ないことに悩みました。趣味のソーシャルゲームでは、ボイスチャットをつなぐと『ネカマ(ネット上で女性のふりをする男性のこと)』と言われるし、声の印象での損があまりにも多すぎると感じていました。

◆病院を受診したら、驚きの事実が発覚

 30歳になって多少の貯金ができたこともあり、どうにか医学で声がれが治療できないかと考え始めました。

「ボイストレーニングや滑舌をよくする教室などもあったけれど、私は抜本的に声の高さを上げたかった。なので、都内で有名なボイスクリニックを探して、まずは受診してみることにしました」

 すると、受診先の病院で驚くべき事実が発覚したといいます。

「実際に診察してもらうと、私の声がれは『声帯結節』という一種のポリープで、保険利用で手術ができる、と言われたんです。自分の声枯れに理由があって、しかも治るということが分かった時は本当に嬉しかった。

 手術は声帯に電気メスを入れるもので、手術後1ヶ月近く、会話がまともにできないと。仕事は休まざるを得ないけれど、私は迷わず手術を受けることを決意しました。

 そして今年。外出自粛の期間に合わせて手術をして、私は“酒やけ女”からも“のぶ代”からも脱することができたんです」

◆手術で声が1オクターブ高くなった

 声枯れが治ってから、真田さんの生活はどう変わったのでしょうか。

「手術は成功して、1ヶ月後にはスムーズに1オクターブほど高い声が出せるようになりました。初対面の人に二日酔いを心配されることもなくなったし、歌を歌うこともすごく楽しい。何が変わったかと言われれば、自己満足の範囲かもしれません。それでも私は去年より、ずっと幸せだと言い切れます」

 自己満足でもいいんです。彼女が自分を心から愛せるようになったのなら、コンプレックスに向き合い続けた甲斐があったというものでしょう。

―私のコンプレックス―

<取材・文/ミクニシオリ イラスト/とあるアラ子>

【ミクニシオリ】

1992年生まれ・フリーライター。週刊誌を中心にアングラな性情報、最新出会い事情など寄稿。逆ナンや港区合コンなどの現場にも乗り込む。自身の経験人数活かしtwitterやWEBラジオ「airuca」でフォロワーの恋愛相談にも回答。カルチャーにも素養がある生粋のサブカル女子。@oohrin

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