美男子アートがブームの兆し?震えるほど美しい男たち

美男子アートがブームの兆し?震えるほど美しい男たち

「化身(カーン)」2011年(ケント紙、色鉛筆  470×240mm)



 美しい男を描いた絵というと、少女マンガなどのイラストが真っ先に思い浮かびます。それはそれでもちろん美しいのだけれど、「美男子アート」というジャンルが世の中にあるのをご存じでしょうか?

 日本画や油絵など、いわゆる美術大学で習うような本格的な絵で、美しい男たちが描かれているのです……! これがもう、震えるほど萌えます。

 銀座モダンアートという画廊で「美しい男展」という、名前の通り美しい男ばっかりの展覧会が2回も開催されるなど、認知度を増しています(3回目も同画廊で11月19日〜24日に開催が決まったそう)。

 今回は、その「美しい男」を描くアーティストの中から、特に私の心を撃ち抜いた、甲秀樹さんと山下千里さんを紹介させてください。

◆写実的な画風に惹かれる 甲秀樹さんの美男子アート

 甲秀樹さんは、すごく写実的な画風が魅力です。ちょっと素朴で純粋そうな青年なのに、めちゃくちゃ妖艶なんです……ああ美しい!



 甲さんは『甲秀樹 人体デッサン 男性ポーズ集 (TH ART SERIES)』などという本も出していて、かゆいところに手が届くかたなのです。これは絵師でも絵師じゃなくても欲しい……!(買いました)

 ご本人に「美しい男アート」の魅力について聞いてみました。

「平面、立体と『男性(人体)の美しさ』を感じさせる作品は多くありますが、それをどのように捉え、感じ取るか、それは皆さんそれぞれの思いによるところと思います。私は日々、自身にのみ表現できる作品、つまり、男性を写実的に描き、また造ることを通して丁寧に“男性の美しさ”を制作したいと考えています。

 作品の魅力あるいは、評価については、鑑賞される皆様に委ねられるところですが、結果的には、ただ自身の心を映す鏡として『作品』が生まれているように思うことがあります。自身の作品の『魅力』について語るのは大変難しいのですが、そのように感じています。私は『作品自体から感じられる情念があれば、それがアートにほかならない』と生徒に話しています。魅力とはそうしたことを指すのかもしれません」

【甲秀樹さんとは】

少年や青年を中心とした絵画制作を始めて以来、個展の開催やグループ展に参加。人形作家としても注目され、リアリズムに徹した作品が好評を博している。近著に『甲秀樹 作品集 〜青い旋律』(2016年)がある。主宰する「甲秀樹 絵楽塾」は、男性モデルを活用して人体デッサンを学ぶ教室で、女性に人気。twitter:@kairakujuku

◆性別を超えた美しさ 山下千里さんの美男子アート

 山下千里さんは、日本画家さんです。日本画ってあまり馴染みがなかったのですが、繊細な色づかいが繊細な美しい男になんとマッチしていることでしょうか。

 もう美しすぎて、日本画のビジュアル系と呼びたい……! 少女と見まごう男性が、不敵な笑みを浮かべて、口からなにかを出している……ファンタジーにも思える幻想的な作品です。

 山下さんは、こう語ります。

「『毒喰はゞ』に描いた男性は、どちらかというと細くしなやかな、中性的な容姿をしています。しかし女性的とも言い切れない妖しい美しさ、毒々しさもはらんでいるかと思います。

 私は女性も男性も描きますが、生き方に芯の通った人間というのは性別に関わらずとても魅力的で美しいものだと思っており、そういった『どちらかに定まらなくとも、確かに自分を持っている』存在として、人間そのものが美しくあってほしいと思っております。そういった観点で『美人』という言葉の定義に含める男性画、女性にも気軽に楽しんで頂けるようなアートを制作したいと思います」

【山下千里さんとは】

東京都生まれ。筑波大学芸術専門学群美術専攻日本画領域卒業、筑波大学人間総合科学研究科美術専攻日本画領域在籍。妖しく美しい魅力を持った人間や、生き物たちを描く。夜とクラゲと深海が好き

 お2人に影響を受けた作家を聞いてみたところ、甲さんはオーストリアの画家エゴン・シーレを、山下さんは画家の山本タカトさんと漫画家の丸尾末広さんを挙げていました。エゴン・シーレは映画にもなっているので、気になる方は見てみるとよいかも!

 丸尾末広さんはホラーマンガ家さんなので意外といえば意外ですが、どの作家さんの作品もめちゃくちゃ色っぽいです。

 美しい男や、美しい男たちのむつまじい姿を堪能して、「おっさんずラブ」ロスを癒しましょう!

<文/和久井香菜子>

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