社内中にビッシリ貼られた「社長の名言」に爆笑。トイレで名言バトルも

社内中にビッシリ貼られた「社長の名言」に爆笑。トイレで名言バトルも

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 一昔前の会社でよく見られた、社内に「我が社の社員はこうあるべき」という〇ヶ条や社長の言葉が貼り出されていたり、必ず始業前に社訓を読まされたり……という光景。数こそ減少したとはいえ、その文化は今もなお根強く残っています。

 その進化系(?)なのか、中には社長や上司の気に入った名言やオリジナルの言葉を社内の至るところに貼り出しているという会社もあるとか。

 精密機器メーカーに勤める武藤ユウキさん(仮名・34歳)の会社では、社内の壁やトイレ、来客用のコースターなどにも「社長の名言」がびっしりと記されているそうです。

◆クセが強すぎ……! 社長お気に入りの名言・迷言

「社長の個人的な趣味らしく、ほぼ毎日筆で自分の気に入った言葉を書いては、社員全員に『心の中で音読しろ』と指示をするんです。

 大抵は中高年が好きそうな、『やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば人は動かじ』(山本五十六)や『為せば成る、為さねば成らぬ。何事も成らぬは人の為さぬなりけり』(上杉鷹山)とか有名な名言が多いんですが、それが会社のロビーから部署の中まで何十枚も貼られていて、とにかく圧迫感がスゴイ。

 ただ、時々自分で考えた名言なのか、『猫だけは人を裏切らない』『美人は1年弱くらいで飽きる』などのオリジナルな名言がコースターや社内メールの文末に添付されていて。「いやいや、……社長に何があったんだよ!」と思わずツッコまざるを得ない迷言もめちゃくちゃ多いんです」

 二つ目の名言は「美人は3日で飽きる」をもじったのかもしれませんが、「1年弱で飽きる」なら割とその美人を堪能しきっているような……。

 ほかにも、「井の中の俺、大海を知らず。されど空の青さを知る」という社長の名言も。

「これは『井の中蛙(かわず)、大海を知らず』(荘子※『されど〜』以下はのちに日本人が付け足したものとされている)をもじっていて、『自分は狭い世界しか知らないかも知れない。しかしその分狭い分野を限りなく追及することの大切さは知っている』『だが決して慢心するな』ってことを言いたいらしいんですが、社員全員『“井の中の俺”って、落ちてんじゃん(笑)』『穴にハマって何言ってんの』と、なかなかすんなり名言が入ってこないので困っています」

 最近でも、トイレや給湯室の壁などに、

『人生の前半は親によって台無しにされ、後半は子によって台無しにされる』(クラレンス・ダロウ)

『美人でない女のほうが、美しい女よりも、男についてよく知っている』(キャサリン・ヘプバーン)

『アダムはりんごが欲しくて食べたのではない。禁じられたから食べたのだ』(マーク・トウェイン)

……など偉人の名言が貼られまくり、「社長のプライベートがだだ漏れ」「仕事関係なさすぎる」と社員らからツッコまれながらも、じわじわと迷言ファンも増えているとか。

◆社長VS社員たちの名言バトルが勃発!

 そんな名言LOVEな社長ですが、「名言や教訓を文字にして可視化することで、仕事のモチベーションに繋がる」という信条のもと、社員にも、「思いついたら貼り出すように」というメンドクサイお達しがでているようです。

「トイレの個室の壁にも習字紙に書かれた名言がベタベタと貼ってあるんですが、そこに社員がそれぞれ名言を付け足していくんですよ。

 たとえば社長が、『弱い者ほど相手を許すことができない。許すということは、強さの証だ』(ガンジー)という名言を貼り出していたら、その下に別の社員が、『自分で、すぐ自分を許せる人間は大した仕事をやらない』(宮崎駿)と付け足して、名言に名言で対抗する“名言バトル”が至るところで勃発してる。

 社長オリジナルの名言で、『自分の弱さを知れ。奢るな。ダメな人間と思うことで何事にも感謝できる』という張り紙があったんですが、そこに別の社員が『一番いけないのは、自分なんかダメだと思い込むことだよ』(のび太)と書き足したり……。

『精神的に向上心のない者は馬鹿だ』(夏目漱石)と社長が書いたときは、『……あまり強い言葉を遣うなよ。弱く見えるぞ』と漫画『BLEACH(ブリーチ)』の名言が加えられていたときは、さすがに吹きました(笑)」

 まるで昔の公衆トイレでよく見られた、「バカ←こいつがバカ←バカって言った奴がバカ(笑)」というような伝言(?)落書きのような光景。しかし、社長いわく「可視化することが目的」らしいので、名言バトルが勃発してもとくにおとがめはないのだとか。

 価値観の押し付けは時にうっとおしく感じますが、ユニークすぎる名言バトルはちょっと見てみたいような気がします。

―シリーズ 会社のヘンな「しきたり」 vol.8―

<文/赤山ひかる イラスト/鈴木詩子>

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