彼と初めての旅行。“日本一の珍スポット”のあとに連れて行かれたのは…

彼と初めての旅行。“日本一の珍スポット”のあとに連れて行かれたのは…

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 夏休みのダイゴ味といえば、なんといっても彼と2人きりの旅行。

 岡部凜花さん(仮名・25歳・アパレル)も、付き合って3ヶ月の同じ年の彼氏と初めての夏旅行に胸をはずませていました。

「彼は旅行好きらしくて、『驚かせたいから行き先とか全部まかせてもらっていい?』と言ってくれました。サプライズ旅行なんてなんてロマンチック! と、行き先は知らないまま旅行当日を迎えました」

 行き先はリゾート地? それとも温泉? 彼がどんな旅行を考えてくれたのかわくわくしながら、旅行はスタート。新幹線で向かった先は愛知県でした。レンタカーに乗り換え着いた目的地で、彼が見せてくれた景色は……。

◆「日本随一の珍スポットだ」とドヤ顔の彼…

「桃太郎と鬼の像でした……愛知県犬山市にある『桃太郎神社』というところで、境内に桃太郎の登場人物の古びた像がたくさん居るんですけど、正直なぜここに連れてこられたのか意味がわかりませんでした。旅行先で一緒にソフトクリームを食べるのを夢見てたんですけど、桃太郎のきびだんごしか売ってませんでした」

 戸惑いを隠せない岡部さんに、彼は「日本随一の珍スポットだ」とドヤ顔で言い放ったそうです。そう、彼はB級スポットマニアだったのです。

「彼は、すごく嬉しそうに桃太郎神社の像を撮影しまくっていました。『これが伝説の鬼の珍宝だよ!』と熱く説明してくれるのですが、全然興味が持てなくて……」

 斜め上行くサプライズ旅行に、岡部さんはガッカリ。せっかく足がキレイに見えるショートパンツの夏旅行コーデで気合を入れてきたのに、スマホに保存されていく思い出の写真は、桃太郎と彼の2ショットなど、ときめきとは程遠いものばかりです。

「さらに驚いたのが、その日の宿です。桃太郎の時点で、もはや温泉などは期待していませんでしたが、ホテルですらなく、格安宿泊施設のユースホステルだったんです。

 夕飯は広間で他の宿泊客と一緒に、広い食堂で食べたのですが、どこかの中学校の団体が夏合宿に来ていてすごくうるさくって。2人きりの旅行なのに、気分は台無しでした」

◆珍スポット巡りをしてよかったこともあった

 そして翌朝、彼がレンタカーで連れて行ってくれたのは、「関ヶ原ウォーランド」というまたしても像が並ぶ珍スポットだったそうです。

「また像!? と思いましたが昨日の桃太郎で私も覚悟が決まって、パーク内にこれでもかと並ぶ戦国武将たちの像の写真を撮って時間をやりすごしました。

 彼は大はしゃぎで『この像は桃太郎神社と同じ作者が作ってるから!』と解説してくれて、まあ、彼が心底楽しいならそれでいいかと思うようになりました」

 リゾートも、美味しいグルメも叶わなかった岡部さんの初めての彼との夏旅行でしたが、珍スポット巡りをしてよかったこともあったとか。

「2日間の旅行を通して、彼とは根本的に、好きなものや価値観が違うなってことがわかったんです。だけど、それで彼を嫌いになったわけじゃないし、楽しそうな彼を見るのは好きでした。

 なので、これからは温泉やグルメは全部女友達と行こうって決めました。宿がユースホステルでいいという彼を温泉に連れて行っても心底は楽しめないのかなって」

 互いの価値観の違いを認めつつ、寄り添い合っていこうと決めた岡部さん。珍スポットという、まず女子同士では出向かない場所に連れて行かれたからこそ、自分も“旅行=リゾート”という1つの価値観しか持っていなかったことに気づいたようです。

 カップルとはいえ、他人同士。趣味などを理解し合えなくても、お互いを尊重し合う気持ちさえあれば、長続きするのかもしれませんね。

―シリーズ 夏の恋愛エピソード vol.10―

<文/満知缶子 イラスト/鈴木詩子>

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