カルーセル麻紀、ブラジルの女装ディーバと対面。スカーレット・ヨハンソン降板問題に喝

カルーセル麻紀、ブラジルの女装ディーバと対面。スカーレット・ヨハンソン降板問題に喝

左から、ディヴィーナ・ヴァレリアさん、カルーセル麻紀さん



 ブラジルのドラァグクイーンカルチャーの黎明期を支えたディーバたちが再集結し、再び舞台に立つ姿を追ったドキュメンタリー『ディヴァイン・ディーバ』が公開中です。

 キャストのひとりであり、歌手として国際的に活躍したキャリアを持つディヴィーナ・ヴァレリアさんが来日。40年前の来日で面識のあるカルーセル麻紀さんとブラジル大使館で再会し、ハリウッドを騒がせた問題にも言及しました。

◆いまの状況はおとぎ話のようだわ

――本編でも振り返っている60年代のブラジルは、軍事政権下で検閲も大変だったそうですね。今、こうしてブラジル大使館で取材を受けていることをどう感じますか?

ヴァレリア:このような状況、映画になって、大使館に呼ばれて、観客の方に喜んでいただいてといったことは、おとぎ話のようで夢みたいね。当時の私たちには想像も及ばなかったことです。

――本作はドラァグクイーン版『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』と謳われていますが……。

ヴァレリア:最初に言っておきたいのだけれど、私たちはドラァグクイーンではないわ。性的マイノリティにはトランスセクシャルとか、トランスジェンダーとか、いろいろな呼び方があるけど、みんな社会が決めている定義であって、私たちはただの人間。自分の信じている道を歩もうとしている人間にすぎないの。

麻紀:そうね。彼女も私もドラァグクイーンではないわ。みんな一緒にしたがるけどね。

――女子SPA!では、以前、カルーセル麻紀さんに、日活ロマンポルノ主演作『夜は私を濡らす』DVDリリースの際にも取材させていただきました。

麻紀:完全に女優として出た映画よ。30歳のときだから、今から40年以上前の作品。

ヴァレリア:今は時代が変わってきているけれど、当時は想像もできない大きな勝利だったんじゃないかしら。私も5年前に女性としてブラジル映画に出ているけれど、若かったころには考えられなかった。それを実現させたのは、麻紀さんの才能と美貌ゆえね。

◆私なんかより、みなさん苦労している(麻紀)

――麻紀さん、『ディヴァイン・ディーバ』の感想をお聞かせください。

麻紀:映画に出てくる60年代って、日本で考えたら、戦時中みたいなものよね。軍事政権下だから。だから私なんかより、みなさんすごく苦労していると思う。私もおかまとか指をさされはしたけれど、私なんかより、みなさん戦ったと思うわ。そして監督が彼女たちをとても理解していて、ディーバたちも、安心して撮られている。素顔も喧嘩も。素晴らしいと思うわ。

ヴァレリア:映像に使われるのは、フルメイクの美しい姿だけだと思ってたのよ。それがバックステージの様子がいっぱい使われていて驚いた。でも、そうした部分を使って映画になったからこそ、生身の私たちの姿に、人々の心を打つなにかがあったのだと思う。私たちは葛藤して、いろんな犠牲を払いながら、自分たちの夢を追い続けて自己実現を達成させた。そういう姿が伝わったのだと思う。

麻紀:私のドキュメンタリーでも、素顔や喧嘩が映ったりしているわ。

ヴァレリア:映画の仲間たちの中には、お母さんを悲しませないようにと、昼間は男性の姿をしていたとか、パートナーが死んでしまって悲しむ姿を見せたり、15日間だけ預かるはずだった叔母を、結局15年間も面倒を見た人もいる。みんな普通の人間なの。その人間味が伝わって、何も悪いことをしていないのに、なぜこんなに苦労してきたんだろうということを受けとめていただけたのだと思う。

◆トランスジェンダー役降板問題について

――LGBT、LGBTQといった表現が定着してきました。先日、ハリウッドでトランスジェンダーの役に内定していたスカーレット・ヨハンソンがLGBTコミュニティから非難され、降板しました。

麻紀:あれにはすごく腹が立った。スカーレットがやったらカッコいいでしょ。今、私のことを書いた小説が連載されてるんだけど、それが映画になってキレイな女優さんが演じてくれたら嬉しいわ。『リリーのすべて』(2015年)だって、男性のエディ・レッドメインがやったでしょ? ジュリー・アンドリュースの『ビクター/ビクトリア』(1982年)なんかも素晴らしかった。

ヴァレリア:もし私に役者として完全なストレートの男の役をやってほしいとオファーがあれば、わたしはやるわ。

麻紀:まあ、わたしはできないけどね。『ピューと吹く!ジャガー』(2008年)で、付け髭してやくざの親分をやったけど、みんな笑って大変だったわよ。

ヴァレリア:アハハハ。オファーがあればやるわ。演技でなりきってできると思う。だって芸術に性別はないもの。

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「考え方が同じ」と盛り上がり、空き時間にはフランス語で会話していたおふたり。部屋中にパワーが溢れていました。

<取材・文&写真/望月ふみ>

(C) UPSIDE DISTRIBUTION, IMP. BLUEMIND, 2017

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