26歳男子に告白された、42歳妻の決断。「恋の怖さを初めて知った」

26歳男子に告白された、42歳妻の決断。「恋の怖さを初めて知った」

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木村佳乃、吉田羊、仲里依紗が出演する連続ドラマ『恋する母たち』(TBS系、金曜午後10時〜)。話題の本作を、男女関係や不倫事情について長年取材し著書多数のライター・亀山早苗さんが読み解きます。(以下、亀山さんの寄稿)

◆年下クンとの不倫現場を夫に目撃されて

 ドラマ『恋する母たち』、吉田羊演じる林優子は、別れなければいけないと思いながらも、若い部下の赤坂剛(磯村勇斗)にどんどんはまっていく。だがある日、戻っていた実家から車で駆けつけた赤坂と自宅近くでキスをしているところを、夫シゲオ(矢作兼)に見られてしまう。シゲオは優子の手を引いて帰っていくが、決して彼女を叱りつけたりはしなかった。

 というのも、優子は以前にも不倫をしているのだ。そして息子の大介はシゲオの子ではなかった。そのあたりをさばさばとママ友に報告する吉田羊の演技が光る。こういう重い話を、大人はさらりと言うものである。そこに優子の自省と、それでも恋をしてしまうつらさが垣間見えた。

 それでも優子は決意する。赤坂と別れようと。彼を会議室に呼び出し、「もうどうにもならないのよ」「ありがとう、楽しかった」と、やはりさっぱりと告げる。だが、優子は本気で赤坂を好きになってしまったのだ。そんな簡単な言葉で気持ちを表現できるはずもない。

◆「僕は男が好きなんだ」息子のカミングアウト

 夫と息子はふたりで与論島に移住することになる。息子は、ろくに口もきかなかった母に初めて本音をさらした。

「おかあさんが嫌いなわけではない。僕は男が好きなんだ」と訥々(とつとつ)と。

 重大なカミングアウトを受け取った優子の対応がすばらしかった。

「男が男を、女が女を、男が女を。人を好きになるのはすばらしいことよ」

 そして息子が乗るバスを見送りながら、優子はハラハラと涙を流し、バスを追いかけそうになる。それは息子への愛情とともに、自分が失った赤坂への未練でもあり悔いでもあるだろう。彼女の心の痛みが伝わってくる。

◆「彼の未来をつぶすわけにはいかない」45歳女性の体験談

 若い男性と不倫関係になったとき、成熟した女性はみな思い悩む。

「彼の未来を私がつぶすわけにはいかない」

 16歳年下、当時26歳の男性とつきあい始めたとき、そんな思いで迷い悩んだというのはタエコさん(45歳)だ。

「彼とは会社は違うんですが、一時期、一緒にプロジェクトを組んだことがあるんです。本当によくがんばってくれたので、その仕事が終わってから食事に誘いました。あくまでも仕事でのお礼です。その日に彼から好きだと言われましたが、冗談に変換しました。彼が今後、私に会っても気まずくならないように」

 だが彼はめげなかった。好きだ、きれいだ、あなたみたいな素敵な年齢の重ね方をしてきた女性は見たことがない。どの言葉も彼女の心に刺さった。

◆「あなたへの恋が成就しないから熱が出たんだ」

 そしてある日、彼は「具合が悪い」と彼女にメッセージを寄越した。仕事帰りに言われた住所へ行くと、彼は確かに高熱を発して寝ていた。

「かわいそうで必死に看病しました。解熱剤などを買っていったので、おかゆを食べさせて薬を飲ませて。すると彼は『あなたへの恋が成就しないから熱が出たんだ』と。それでその気になっちゃったんですよ」

 ひょんなことから始まった関係だが、タエコさんも本気だった。だからこそ苦しかった。2歳年上の夫はやさしいし、中学生のひとり娘はかけがえのない存在だ。ふたりに知られたら生きていけないとさえ思った。それなのに彼への気持ちも止められない。

「離婚してほしい、結婚しようと彼は必死で口説いてくれました。でもその情熱が冷めたら、彼は同世代の子と結婚していくだろうし、もし情熱が冷めなかったら彼の人生は狂ってしまう。普通に結婚したほうがいいと何度も言いました。だけど彼はがむしゃらに迫ってきたんです」

◆彼が自宅近くまでやってきたことも

 2歳年上の夫、中学生のひとり娘とともにタエコさんが住む自宅近くまで、彼が突然やってきたこともある。

「焦りましたよ。週末に家族で出かけて夫の運転で帰宅したとき、自宅マンションの近くに彼の姿が見えたから。彼も車を見つめていました。ちょうど帰宅してから夕食をとろうと話していたので、私は家に入らず、『そうだ、明日の朝のヨーグルトがないんだった。買ってくるね』とそのまま電柱の陰に隠れていた彼に目配せして自宅とは反対方向へ歩いていったんです」

 距離をとって歩きながら、駅の向こう側の公園へと誘った。途中で娘から「プリンも買ってきて」とメッセージが入ったのを覚えているという。

「とにかく彼が思いあまって妙な行動に出ないようにするのに必死でした。私は離婚しない、だからあなたとはもうつきあえないと告げました。彼は『だんなさんと会って話し合う。慰謝料も払うから。娘さんと3人で暮らそう』って」

◆結婚生活と恋は別、そして恋はいつか終わる

 女性はわかっているのだ、結婚生活と恋は別だと。そして恋はいつか終わると。だから必死に防御するのだが、若い男はやすやすとそれを打ち破ってくる。

「楽しかったのは最初の半年くらい。あとの1年は別れる別れないで揉めてばかりいました。私は彼の恐れを知らない情熱に惹かれたんですが、その情熱に自分が滅ぼされるとも感じていました。そのときちょうど配置換えの話があったので受けたんです。今までとはまったく違う部署ですが、彼との接点はなくなる。彼はそれを聞いてショックを受けていました。『私は家族をとる』と静かに言うと、ようやく彼はわかってくれたんです」

 それでも彼への未練で、彼女は苦しんだ。何度も連絡をしようと思ったり、彼の会社の近くでまで行ったりした。だが別れは自分から口にしたのだ。責任をとらなければいけない。年下クンと大人の女性の恋は、女性から切るしかないのだ。たとえ「終わらせたくない恋」であっても、結婚生活を優先するなら、「これ以上はまずい」と思った時点で自分から自分の心をぶった切るしかない。

◆本気で恋することの怖さを初めて知った

「仕事と同じだと割り切って、淡々と自分の気持ちを処理していくしかなかった。ふっと気を抜くと涙がこぼれてしまう。話しかけられてもぼーっとしていることもありました」

 それから1年たち、ようやく身を切られるような痛みが減ってきたという。部署が変わったので彼の噂も聞かなくなった、

「彼は今、私のことをどう思っているのか。そういうことも考えないようにしています。本気で人を好きになることの怖さを初めて知りました」

 この決断をいつか後悔するかもしれない。その可能性も織りこんだ上での別れだ。もう後ろは振り返らないと彼女は決めているという。

<文/亀山早苗>

【亀山早苗】

フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数

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