女ひとりで失恋初詣。伊勢神宮で体験した、不思議なめぐりあわせ

女ひとりで失恋初詣。伊勢神宮で体験した、不思議なめぐりあわせ

記事画像



 皆さん、今年は誰かと初詣に行きますか?  神社やお寺で手を合わせていると、日常を超えた不思議な気持ちになったりするものですよね。

 今回、初詣でちょっと不思議な体験をした女性に話をきいてみました。

 普段とても出不精(でぶしょう)なC子さんは、10年前に自分でも説明できない衝動に駆られました。突如として「今年は霊験あらたかな場所で1人で年越しを迎えよう」と思い立ったのです。

◆ひとりで伊勢神宮に初詣に向かったら…

「私は何をするにも1人では無理な人間で、特に旅行なんて友達に誘われない限り絶対に行かない。『1人で行きたい』なんて有り得ないタイプだったんです。その考えが浮かんだこと自体が未だに不思議で仕方ありません」

 C子さんが選んだ行先は伊勢神宮でした。ちょうど彼氏と別れたばかりで新しい恋を望んでいた彼女は、雑誌やネットでパワースポットとして取り上げられていたのを目にして「ぜひともお伊勢参りをしたい!」とひとりで大盛り上がり。参拝ルートも調べ上げ、ウキウキした気持ちで大晦日に三重県へと向かいました。

「初めてのひとり旅ということもあって、前の日は眠れないほどの大興奮でした(笑)。初詣に行く時間までは、伊勢うどんを食べたり赤福を食べたり、伊勢グルメを満喫。夜は混雑を考えて早めにホテルを出て伊勢神宮へと向かいました」

 参拝の順番待ちの間に深夜0時が近づいて、ああ今年も終わるなぁと感慨深くなっていたその時、C子さんの携帯電話が震え出しました。出てみると、相手は実家の母親。そこで告げられたのは……。

◆危篤状態の祖母は、なんと三重県在住だった

「田舎のお祖母ちゃんが危篤だって、今病院の先生から連絡があったの!」

 C子さんは大あわて。まさかひとり旅の最中にお祖母ちゃんが亡くなりかけてるだなんて。C子さんの実家は北海道。両親は年末年始のこんな時間からすぐには動くことができない状況にありました。というのも…。

「結局私だけ先に病院に向かうことになったんですけど、なんと祖母が住んでいたのは伊勢神宮と同じ三重県。病院は鳥羽だったんです」

 C子さんのいる伊勢志摩は鳥羽からは車で30分ほど。タクシーを飛ばして病院に向かえば、まさにお祖母ちゃんは生きるか死ぬかの瀬戸際。

 実に10年以上ぶりの再会だったC子さんとお祖母ちゃんですが、子どもの時に優しくしてくれた思い出がぶわっとよみがえってきて号泣。C子さんは「お祖母ちゃ〜〜〜〜ん」とすがりついて、弱々しくなった細い手をずっと握っていたそうです。

◆臨終の瞬間に立ち会うことができたのはお祖母ちゃんの導き?

「私が到着してから1時間ほどで、お祖母ちゃんは亡くなってしまいました」

 一方、日本中に散り散りになっていたC子さんの両親を含めた親戚たちは誰も移動が間に合わず、臨終の瞬間に立ち合うことはできませんでした。

 唯一お祖母ちゃんを看取ったC子さんは、方々に連絡したり手続きをしたりと大わらわ。ひと段落ついて親戚たちが集まり出したのは、とうに年は明けているどころか、陽も沈み始めた元旦の夕方だったと言います。

「今思えば、お祖母ちゃんは誰にも看取られないかもしれないのが寂しかったんじゃないかな……。実は私には何も知らされてなかったんですけど、私が伊勢神宮に行くことを決めたあたりからお祖母ちゃんは意識がほとんど無かったらしいんです」

 滅多なことではひとりで出掛けないC子さんが重い腰を上げたのは、お祖母ちゃんの導きだったのかもしれないと感じているようです。頭では偶然とは分かりつつも、亡くなった人を悲しむ心の働きか、なんとなく縁や導きを感じるのもまた人というもの。

 ちなみに、この話からすでに10年近く経った現在に至るまで、C子さんは一度も旅行をしていないそうです。

―年末年始のトンデモエピソード vol.5―

<文/もちづき千代子 イラスト/ただりえこ>

【もちづき千代子】

フリーライター。日大芸術学部放送学科卒業後、映像エディター・メーカー広報・WEBサイト編集長を経て、2015年よりフリーライターとして活動を開始。度を超したぽっちゃり体型がチャームポイント。

関連記事(外部サイト)