秋ドラマ名作ベスト3。戸田恵梨香&ムロツヨシが感動を呼びまくった『大恋愛』は何位?

秋ドラマ名作ベスト3。戸田恵梨香&ムロツヨシが感動を呼びまくった『大恋愛』は何位?

『大恋愛〜僕を忘れる君と』TBS公式サイトより http://www.tbs.co.jp/dairenai_tbs/



 今年もいよいよあとわずかとなった12月。2018年10月クールのドラマがすべて最終回を迎えました。

 そこで、今クールも僭越ながら、わたくしドラマウォッチャーの中村裕一が秋ドラマベスト3を選ばせていただきました。みなさんの評価はいかがでしょうか



◆第3位 見終わった後も深く考えさせる『獣になれない私たち』

 まず第3位は『獣になれない私たち』(日本テレビ系)。主演・新垣結衣、脚本・野木亜紀子の『逃げるは恥だが役に立つ』コンビによるオリジナルストーリーということで、前評判が非常に高かった作品ですが、平均視聴率は8.7%と、いわゆる視聴率的なヒットにはつながりませんでした。

 しかしながら、晶(新垣結衣)と恒星(松田龍平)の、互いに相手を思いやる機微や絶妙な距離感にはとてもリアリティがあったと思います。

 最終回、とうとう会社を辞めた晶と、長年手を染めていた不正会計と縁を切った恒星。いわば“獣”になって自由を得た2人ですが、当然、その先にはいばらの道が待っているわけで、決してありきたりのハッピーエンドではありません。

 ラストシーンで二人が見上げた鐘の音が聞こえた人、また聞こえなかった人は、どうしてそう思ったのか、それぞれその理由を自分に問いかけてみると面白いでしょう。祝福の音色か、それとも苦難の幕開けか。その意味ではリトマス試験紙のような、示唆に富んだ結末だったと言えます。

 好きなことを好きなときに好きなだけする、そんな“獣”になれたら人間どんなに楽でしょう。仕事や人間関係などの“檻”に囲まれた現代社会に生きる私たちの悲哀と、それでも前を向いて生きていくことへのささやかなエールが込められた心に残る作品です。

◆第2位 ひたすら能天気、でもどこか切ない青春賛歌『今日から俺は!!』

 2位は『今日から俺は!!』(日本テレビ系)。

 ’80年代から’90年代にかけて少年誌で連載された西森博之の人気ヤンキー漫画をドラマ化したこの作品。千葉県の高校を舞台に、三橋貴志(賀来賢人)と伊藤真司(伊藤健太郎)の二人のツッパリが繰り広げる騒動を描いていきます。

「ツッパリ」「ヤンキー」がもはや死語となってしまった今、その世界観が視聴者にどこまで受け入れられるか未知数でしたが、回を追うごとに視聴率も上昇。最終回では番組最高の12.6%を記録し、続編や映画化の声も飛び出すヒットになりました。

 当時の空気感を損なわず、ひたすら明るく、わかりやすく、でもどこか切ない青春賛歌に仕上がった結果、幅広い世代からの支持につながったのでしょう。でもそれは決して中身がないという意味ではありません。

 主人公コンビがどんなに痛めつけられても目の前に立ちふさがる敵に挑み続ける姿勢は最後までブレておらず、自分の生き方を貫くことの大切さが伝わってきました。

 このドラマの魅力は、なによりスタッフ・キャストが楽しんでいる雰囲気が伝わってくるところ。第6話ではムロツヨシ演じる椋木先生による『3年B組金八先生』パート2のオープニングのパロディまで飛び出す始末(できれば曲は『人として』が聴きたかった!)。

 そして小栗旬をはじめ、柳楽優弥、山田孝之、堤真一、山崎賢人など、ベテランから若手まで今の日本の映画・ドラマを支える俳優たちがチョイ役にも関わらずゲスト出演し華を添えました。

 個人的には主題歌『男の勲章』はもちろん(最終回では教師や保護者も出演するスペシャルバージョンを披露)、要所要所で流れるジャーニーの『セパレート・ウェイズ』風BGMがツボでした。

◆第1位 文句なしの感動ラブストーリー『大恋愛〜僕を忘れる君と』

 そして1位は『大恋愛〜僕を忘れる君と』(TBS系)。

 若年性アルツハイマーにおかされていく女医・北澤尚(戸田恵梨香)と小説家・間宮真司(ムロツヨシ)の10年にわたる愛の軌跡を描いた本作。

 全編にわたりどれも名シーンぞろいですが、特に良かったのが第5話。自ら別れを切り出した真司が9ヶ月ぶりに居酒屋で尚と再会し、不意に「結婚しよう」とプロポーズをするシーンがとても素敵でした。おそらくほぼすべての視聴者が「ここでプロポーズして欲しい!」と思ったタイミングでの告白に、激しく心を揺さぶられた人も多かったとでしょう。

 そして最終回、もはや記憶が戻ることはないと思われた尚が真司の名前を呼ぶ奇跡は、ドラマ史上でも指折りの忘れられない名シーンでした。数奇な運命によって導かれた男女の出会いから別れまでを描き切った大石静さんの脚本は見事だったと思います。

 また、どうしても尚と真司の二人に注目が集まりがちですが、主治医として尚を見守り続けた井原侑市役の松岡昌宏、イカツイ顔で心に刺さる名言を連発する真司の先輩・木村明男役のサンドウィッチマン・富澤たけし、そして尚と同じ若年性アルツハイマー患者の松尾公平役を演じた小池徹平の3人も、まとめて助演男優賞を差しあげたいほどの名演でした。

 ちなみに、今クールの平均視聴率ベスト3(※同タイトルでシリーズものとして続く刑事・医療ドラマは除く)は、1位が『リーガルV〜元弁護士・小鳥遊翔子〜』(テレビ朝日系)、2位が『下町ロケット』(TBS系)、3位が『SUITS/スーツ』(フジテレビ系)となっています。

 この秋のクールはスタート前の評判とは異なり、意外なドラマが人気を獲得し評価されたように思えます。フタを開けてみるまでわからない、それもまたテレビドラマの醍醐味(だいごみ)。来年も素敵なドラマに出会えることを期待して止みません。

<文/中村裕一>

【中村裕一】

Twitter⇒@Yuichitter

関連記事(外部サイト)