秋ドラマのベスト俳優3。『今日俺』賀来賢人や『落語心中』からも…

秋ドラマのベスト俳優3。『今日俺』賀来賢人や『落語心中』からも…

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 暮れも押し迫った今日この頃、秋ドラマが続々と最終回を迎えました。

 今期は恋愛ドラマが豊作で、いつもより色気を感じる俳優さんが多かったように思います。あの人もこの人もカッコよかった! 忙しい一日を終えてからのひととき、うっとりできるいい秋でした。

 今期も素敵な演技で魅せてくれた俳優を、ドラマウォッチャー・林らいみが独断と偏見で選出。勝手に表彰しちゃいます。

◆名演賞 山崎育三郎『昭和元禄落語心中』

 まず、『昭和元禄落語心中』(NHK総合)で主人公の親友であり、ライバルでもある落語家・有楽亭助六を演じた山崎育三郎。

 ミュージカル界のプリンスとは打って変わって、その美声を封じた昭和の破天荒な落語家がとてもよくハマっていました。たとえ歌い出しても、もうこぶしのきいた演歌しか想像できないほど。べらんめえ口調でにやりと笑う様子は江戸っ子らしくて色気もあって、人気落語家としてのカリスマ性を感じることができました。

 もちろん、主人公を嫉妬させるほど実力のある落語家の役柄は決して簡単ではなかったはず。ですが、得意とする「笑わせる噺」はにぎやかで楽しげで見応えのあるものでした。もっといろんな役柄を演じる山崎育三郎を見てみたいものです。

◆名演賞 富澤たけし『大恋愛〜僕を忘れる君と』

 今期のドラマにも演技の達者なお笑い芸人が多数出演。『大恋愛〜僕を忘れる君と』(TBS系列)では、主人公の恋人・間宮が勤める引っ越し会社の先輩・木村を演じた富澤たけし(サンドウィッチマン)がいい味出してました。

 漫才をやっているときは気付かなかったのですが、低くて渋くていい声。仲間たちと一緒にいるとき、厳しくも温かくてどっしりと構えた様子がなんとも板についています。間宮の相談にのるときもニヒルでカッコよかった。二人の掛け合いではさすがにセリフの間や表情が絶妙で、こちらが期待した通りに笑わせてくれました。

◆敢闘賞 岡田将生『昭和元禄落語心中』

 最優秀名演賞の前に、今回敢闘賞を贈らせて頂きたいのが、『昭和元禄落語心中』(NHK総合)で主人公・八雲を若年期から老年期まで演じた岡田将生。これは難役でした。

 若いときはスッキリと美しくもどこか不安定に、年老いてからは落語界の重鎮らしい風格を漂わせて、孤独を抱えた気難しい人物を表情や声色を変えながらよく演じられていたなぁと思います。

 いくつもの落語の演目をプロの噺家として演じきったのはもちろん、見習いから真打ちまで演じ分けていたのもすごかったです。八雲が得意とする演目「死神」の最後のセリフ「ほら、消えた」は、老年期のすっかり円熟したしわがれ声が印象的でした。

◆最優秀名演賞 賀来賢人『今日から俺は!!』

 最優秀名演賞は『今日から俺は!!』(日本テレビ系列)の主人公・三橋を演じた賀来賢人。コミカルな演技って一歩間違えば浮いて見えるばかりですが、思い切りが良くてまぁ上手い。彼はこのドラマで、コメディでは間違いなく若手のトップに立ったはず。

 そもそも、あのアドリブの量と言ったら。おそらく頭をフル回転させながら飛んだり跳ねたり歌ったり、毎回どれだけエネルギーを使っているんだろうと、笑いながらもはや感心してしまいます。バラエティに富んだ“顔芸”とともに楽しませてもらいました。

 でも一番すごいと思うのは、セリフ回しのセンスの良さ。溜めてみたり、サラリと言い放ったり、絶妙なタイミングやトーンで発するから、見ていて気持ちがいい。だから、コミカルなシーンはもちろん面白いし、シリアスなシーンもしっかりキマるのだと思います。

 この秋、あなたを魅了したベストアクターも選んでみては?

<文/林らいみ>

【林らいみ】

フリーライター。大学院で日本近世史を研究した硬派の歴女。舞台・映画・ドラマが好物。観たい舞台があれば万難を排して劇場に馳せ参じ、好き勝手言っている。たま〜に歴史系記事を書く。

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