菅田将暉を超えるスター誕生なるか?『3年A組』は若手の熱演が楽しい

菅田将暉を超えるスター誕生なるか?『3年A組』は若手の熱演が楽しい

(写真:3年A組公式Twitterより)



『3年B組金八先生』『GTO』『ごくせん』『35歳の高校生』。いずれも経験の浅い若手俳優が生徒役に多く起用され、のちに彼らはそれぞれブレイク。今では「豪華なキャスティングだった」と懐かしくも貴重なドラマとして語られるほどになっています。

 現在放送中の『3年A組―今から皆さんは、人質です―』(日本テレビ系)はその系譜に連なるもの。

 先日、好調な視聴率で第一部を終えた同ドラマは、衝撃的なストーリーやその展開の早さ、心に刺さる熱い言葉などで話題ですが、私はまだ無名の、もしくは一部でしか知られていない若手俳優たちの競演が大きな見どころだと思っています。

◆鈴木仁・片寄涼太・今田美桜らの熱い涙

 わかりやすいのが、各話のクライマックスで菅田将暉演じる主人公・柊一颯が出した課題の“答え”に該当する人物として、スポットライトがあたり自分と向き合うことになった生徒たち。

 ヒロインの茅野さくら役を演じる永野芽郁は、朝ドラ『半分、青い。』(NHK総合/2018年度上半期)で既に名が知れていて言わずもがなですが、第1話で見事な泣きの演技で口火を切り、第2話では宇佐美香帆役・川栄李奈(彼女も売れっ子だけど)が柊を威嚇する声はビリビリと空気が震えるようで、手で前髪をくしゃくしゃにしながらボロボロと泣く様子がまたお見事。

 続く第3話の里見海斗役は、昨年『花のち晴れ〜花男 Next Season〜』(TBS系/2018年)で学園を牛耳る「C5」の1人を演じた鈴木仁。

 第4話で甲斐隼人役を演じたGENERATIONS from EXILE TRIBEのメンバーで最近は俳優業にも進出している片寄涼太とともに若干拙くはあったけれど、鈴木仁が自虐的に顔を歪ませる様子には雰囲気があったし、片寄涼太の暴れて吠えての熱演も良かったです。フレッシュで応援したくなってしまったよ。

 そして、第5話で諏訪唯月役を演じたのが、『花のち晴れ』で「C5」の紅一点を担い人気に火が付いた今田美桜。柊に威勢よく噛み付いて涙を流して、第一部をしっかり締めてくれた感が。

 各話で彼らが教室の中央に出されてただ演技バトルになるのではなく、教師を演じる菅田将暉が役の上だけでなく役者としても導き手となって、生徒役である俳優たちの底力を引き出しているようにも見えました。とてもいいものを見た気分。

◆堀田真由・神尾楓珠・佐久本宝のメインに負けない演技

 各話が展開する中でいい演技を見せてくれた生徒たちも。

 第3話では里見のほかに容疑者となった熊沢花恋役の堀田真由、真壁翔役の神尾楓珠が活躍。

 朝ドラ『わろてんか』(NHK総合/2017年度下半期)で主人公の妹を演じた堀田真由は、好意を抱く真壁にも疑われてわなわなと震える様子が良かったし、『監獄のお姫さま』(TBS系/2017年)に主人公の息子役で出演した神尾楓珠も穏やかながら芯の強さも感じるメリハリのある演技。

 第4話で甲斐の友人・石倉光多役を演じた佐久本宝(さくもと たから)は、映画『怒り』(2016年)で第40回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した実力派。家庭の事情を秘密にしていた甲斐に対して、悔し涙を流して鼻水をだらりと垂らし、なぜ教えてくれなかったのかと訴える姿は鬼気迫っていて圧巻でした。

◆若林時英・富田望生・上白石萌歌らの存在感

 また、今のところはストーリーに直接関わっていない生徒たちもいい味を出しています。目立つところでは、兵頭新役の若林時英が、前クールの『中学聖日記』(TBS系/2018年)も良かったけれど、今回もまたお調子者が板についてキレッキレ。

 映画『ソロモンの偽証』(2015年)からぽっちゃり女子を好演し続ける魚住華役・富田望生は、ベテラン女優も顔負けのコメディエンヌぶりを発揮。物語全体にピンと張りつめた緊張感を絶妙に緩めてくれて和みます。

『やけに弁の立つ弁護士が学校でほえる』(NHK総合/2018年)で自殺未遂を起こす少女を演じた森七菜は、第3話で課題をクリアできず殺されることになった5人の内の1人・堀部瑠奈役を演じ、その恐がりっぷりは真に迫っていてこちらまでゾッとしてしまいました。

『アンナチュラル』(TBS系/2018年)でネットによる事件を起こす高校生を演じた瀬尾雄大役・望月歩も存在感アリ。第5話で教室に残ることに異を唱えたときは、彼の一声で場の空気が変化。反対派の声が続々と上がったのも無理はないと感じる説得力でした。

 そして最後に、ドラマのキーパーソン・景山澪奈役の上白石萌歌は学園のスターらしく凛として風格あるたたずまい。昨年話題になった『義母と娘のブルース』(TBS系/2018年)のどこかどんくさい女子高校生とは一線を画し、さくらが「エモい」と言う通り、すらりとした立ち姿も陰のある横顔も美しくて見惚れてしまいます。

 良くも悪くも若手俳優たちの一生懸命な演技には魅力があって胸を打たれてしまいます。必死に怒って泣いて笑って、彼らが演じる人物からそのまま愚かなまでに若々しい熱さを感じるところが好きだよ、このドラマは。青くて甘酸っぱくて、テレビドラマ界の明るい未来を感じます。

 さて、『35歳の高校生』で生徒の1人を演じ、その後大ブレイクを果たした菅田将暉のようなスター俳優になれるのか。まずは『3年A組―今から皆さんは、人質です―』での彼らの好演を手に汗握って見守るべし。

<文/林らいみ>

【林らいみ】

フリーライター。大学院で日本近世史を研究した硬派の歴女。舞台・映画・ドラマが好物。観たい舞台があれば万難を排して劇場に馳せ参じ、好き勝手言っている。たま〜に歴史系記事を書く。

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