夫の不倫を指摘したらDVが始まった。妻が決心した解決策とは…

夫の不倫を指摘したらDVが始まった。妻が決心した解決策とは…

画像はイメージです(以下同)



 千葉県野田市の小学4年、栗原心愛さんが自宅で死亡した事件で、父親についで母親も2月4日、傷害容疑で逮捕されました。母親も夫からDVを受けており、一度離婚したのに復縁してしまったのです。

 1992年から「離婚110番」を主宰する澁川良幸氏(離婚カウンセラー・夫婦問題アドバイザー)のところにも、DVについての相談は数多く寄せられるそうです。そこで、澁川さんの話をもとに、実例と解決までの経緯を聞きました。

◆夫の不倫に気づいたことから、DVが始まる

「半年間、夫のDVを我慢してきましたが、蹴る殴るの暴力で足を骨折してしまって……身の危険を感じて弁護士に相談しました」

 と語るのは、アクセサリーショップで働く森本あさみさん(仮名・38歳)。

 都内の閑静な住宅地に住む森川さんは結婚15年目。不動産業を営む夫(47歳)と、13歳と9歳の2人の娘と暮らすパート主婦です。

「夫の帰宅が深夜に及んだり、時には朝帰りになったため、浮気を疑いました。LINEを調べたら、夫がパーソナルトレーナーと不倫していたことがわかって。しかも不倫相手がチェーン展開を考えていて、夫もそれに協力していたんです」

 娘たちのことを考えて浮気をやめてほしいと夫に頼みますが、夫は逆ギレして、殴る蹴るのDVを繰り返すようになったのです。それだけでなく、酒気を帯びて深夜帰宅した夫は、寝ていた森川さんをたたき起こしてバスルームに引きずり、無理やり性行為をするといいます。

「夫に強要されると、心身共にぐったりしてしまって、パートを休んでしまうこともありました」

◆「警察に届けを」と弁護士に言われて、ハッとした

 それでも、「夫のDVはいっときのこと。浮気に飽きれば、きっと元の夫に戻る」と、森川さんは信じていたのです。

「半年間我慢しましたが、限界を感じてDV問題に詳しい弁護士に相談しました。するとすぐに、警察に被害届を出すことを勧められて、びっくりしたんです。『先生、警察に届けていいんでしょうか?』と尋ねると、『もちろんですよ』と。

 その時は、娘の将来のことや経済的なことを考えて離婚するつもりはありませんでした。だから警察に届けると、家族に迷惑がかかるかもしれないと心配したんです」

 ですが、弁護士は重ねて森川さんを促したそうです。

「先生は私に『夫のDVは、被害者のあなた自身はもちろん、娘さんたちも傷つけますよ。だから早いうちに、警察に被害届を出しましょう』と私を説得したんです」

 娘たちも浮気やDVに気づいているかもしれない。気づいていても、両親には何も言えないから二重に傷ついてしまうと、弁護士に諭された森川さん。もちろん、すぐ警察が動いてくれるとは限りませんが、森川さんの場合は効果的でした。

「警察に届けると、夫のDVはおさまりました。でも夫婦間に冷たい風が吹き、しかも相変わらず浮気も続いて、夫の帰宅が午前様になりました。とうとう長女が夫に他の女がいることに気づき始めたんです」

 森川さんはもう一度弁護士に相談して、離婚を決意。慰謝料と養育費をできるだけ多く取れるように、弁護士に相談中だそうです。

◆「夫は変わる」と期待してはいけない

 2018年に警察に寄せられた、配偶者からの暴力についての相談は8421件。前年より23.5%も増え、うち8割は女性が被害者です。

 でもこれは氷山の一角。精神的DVも含む被害者のうち「警察に通報・相談した」のはたった2.2%です(内閣府・男女間における暴力に関する調査・平成29年)。

「離婚110番」の渋川良幸氏は、森川さんのケースについてこう話します。

「夫が豹変したのは、浮気のせいだと森川さんは思い込んでいました。浮気をやめればDVもしなくなって元の夫に戻ると。でも、これは大きな間違いです。

 他の被害者に共通するのは『何かの節目によって、相手が変わる』と信じ込んでしまうことです。例えば、引っ越し、転職、出産、親と死別したなどの理由です。でもいつか元に戻ると信じるのは危険なことです。

 さらに被害が加速していきますから、取り返しがつかなくなる前に、警察に届けましょう」

◆「警察」という言葉が浮かばない被害者の心

 警察に行くことを、森川さんが想定していなかったことも、被害者に共通することだと指摘します。

「周囲は『どうして警察に相談しないの?』と首を傾げるでしょうが、DV被害者の心理として、自分が被害者であるということを一時的に忘れてしまう、時には判断がつかなくなってしまうこともあるのです。

 被害女性の複雑な心境も描いたドラマとして記憶に新しいのは『ナオミとカナコ』(フジテレビ系。16年放映)。DV被害者の揺れ動く心理を、カナコ役の内田有紀が見事に演じていましたよね」(澁川さん)

 DV被害者は、周囲に理解されないとますます孤立してしまいます。身近に被害者がいる場合は、その複雑な心理も受け入れつつ、警察やDV専門機関への相談を勧めるべきなのでしょう。

<取材・文/夏目かをる>

【夏目かをる】

コラムニスト、作家。2万人のワーキングウーマン取材をもとに恋愛&婚活&結婚をテーマに執筆。難病克服後に医療ライターとしても活動。ブログ「恋するブログ☆〜恋、のような気分で♪」

関連記事(外部サイト)