アマゾンで働く子育てママたちから悲鳴。保育園費用サポートを求めてベゾスに直訴

アマゾンで働く子育てママたちから悲鳴。保育園費用サポートを求めてベゾスに直訴

記事画像

 アメリカのアマゾン本社で働くワーキングマザーグループ、通称“ママゾニアン”が、子育てサポートの充実を求めてCEOのジェフ・ベゾスに直訴し、注目を集めています。

◆ママゾニアンたちが要求する「バックアップ・チャイルドケア」って?

 ネット通販ジャイアントのアマゾン。順風満帆、向かうところ敵なし! シアトルの新社屋も素敵だと聞くし、本社勤めのエリート社員はさぞかし手厚い福利厚生を受け、なんの文句もなく働いているのだろうと思われていました。

 ところが、『ブルームバーグ Bloomberg』が入手した内部メモによると、アマゾン本社の役1800人のママゾニアンたちが同社の子育てサポートに不満を持ち、新たに「バックアップ・チャイルドケア」を要求。CEOのジェフ・ベゾスと交渉中だというのです。

「バックアップ・チャイルドケア」とは、子どもが病気で学校を休んでしまったときやベビーシッターが病欠してしまったとき、学校の休校時などに、臨時で頼むベビーシッター代やデイケア代などの費用を会社が援助する制度のこと。通常の子育てサポートでは足りない部分をバックアップ(補足)する役割を持ちます。

◆月額2000ドルも珍しくない!? アメリカの高額保育園事情

 さて、日本では保育園の数が足りず待機児童問題が騒がれていますが、アメリカでは足りてはいるのに保育園料がバカ高いため子どもを預けられず、働きに出ることができない母親が大勢いることが社会問題になっています。

 ゼロ歳児から小学校入学まで預かってくれるアメリカの施設には、おおざっぱに説明すると、日本の保育園的役割を持つ“デイケア”と、おむつが取れてある程度自分のことができるようになった3歳児以上の子どもを預かってくれる“プリスクール”があります。

 子どもを持つ友人たちに聞いてみると、デイケアやプリスクールは民間運営のことが多くかなり高額。毎月2000ドル(約22万1600円)かかるなんて話はめずらしくなく、そのため中流階級のカップルのほとんどが出産を機に「収入の少ない方の親(多くの場合は母親)が仕事を辞めて子どもの面倒を見よう」という結論に至ってしまうのです。

 よほどの高給取りか、義理の両親が子どもの面倒を“無料で”見てくれるという恵まれた環境でない限り、子育てしながら仕事を続けるのは難しいのがアメリカの現状です。

◆パタゴニアは出産後復職率100%、米アマゾンは働き方改革必至

『ヴォックス VOX』によると、米国内では今、「家族を大切にしてくれる会社=いい会社」という考えが徐々に広がっており、シリコンバレーを拠点とするグーグルやフェイスブック、アップルなどのIT企業の多くは、すでに話題の「バックアップ・チャイルドケア」を導入済み。

 スターバックスは昨年から店舗勤務のバリスタにも「バックアップ・チャイルドケア」を提供。もしもの場合、自宅で受けられるチャイルドケアなら1時間1ドルで、デイケアやプリスクールなどに預ける場合は1時間5ドルで受けられるようにしたといいます。

 また、アウトドアブランドの「パタゴニア」は社内に保育施設を置くことでワーキングマザーたちの出産後の復職率を100%にすることに成功。アメリカで出産後に育休を取ったり、一旦会社を辞めたりした女性たちが、元の職場に戻るのは全体の20〜35%だそうですから、すごい成果ですよね。

 一方、『ブルームバーグ Bloomberg』によると、米アマゾンの本社があるシアトルでIT系の仕事を持つ人やアマゾンへの就職が決まった人たちの間では「子どもたちのために家に写真を一枚家残しておけ、そうすれば君のことを忘れないから」という過酷な勤務状況を思わせるジョークがあるとか。

 実際に、ママゾニアンたちの多くが「子どもが病気になっても、早退することも休むこともしにくい企業風土がある」と各誌にコメントしていますし……。ベゾス氏はママゾニアンたちの要求を受け入れると同時に、大規模な「働き方改革」をしなければならないのかもしれませんね。

Sources:「Bloomberg」「Vox」

<文/アメリカ在住・橘エコ>

【橘エコ】
アメリカ在住のアラフォー。 出版社勤務を経て、2004年に渡米。
ゴシップ情報やアメリカ現地の様子を定点観測してはその実情を発信中。

関連記事(外部サイト)