「逃げ恥」スタイリストに聞く“みくりコーデ”の秘密。ドラマが2倍楽しくなる

「逃げ恥」スタイリストに聞く“みくりコーデ”の秘密。ドラマが2倍楽しくなる

(画像:『逃げるは恥だが役に立つ』公式サイトより)

2016年に一大ブームを起こしたドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS)。その待望の新作が、『逃げるは恥だが役に立つ ガンバレ人類! 新春スペシャル!!』として1月2日に放送されます。みくり(新垣結衣)と平匡(星野源)の愛すべきコンビが4年ぶりに帰ってくるということで、楽しみにしている人も多いのではないでしょうか。

「逃げ恥」といえば“恋ダンス”や“ムズキュン”といったワードを思い出しますが、当時はみくりのナチュラルだけどかわいらしいファッションもSNSなどでよく話題に。とくに、エンディングで恋ダンスを踊るみくりが着ていたピンクのニットとデニムのコーデは印象的でしたよね。明るいカラーをさらりと着こなすセンス、見習いたいところです。

 そんなみくりのスタイリングを担当したのは、数多くのドラマやCMのスタイリングを手がけ、モデルや女優から厚い信頼を得る人気スタイリストの亘(わたり)つぐみさん。

 思わず真似してみたくなる“みくりコーデ”は、どのように考えられているのでしょうか? 亘さんに聞いてみました!

◆みくりの「ポジティブさ」を明るいカラーで表現

――そもそも、みくりのファッションはどのように設定されたんですか?

亘つぐみさん(以下、亘) 「『逃げ恥』は同名漫画が原作ですが、みくりは『派遣切りにあってお金はそんなにないけどおしゃれがそれなりに好きな子』という印象だったので、そこは変えずにいこうと。だから、H&Mなどのファストファッションをうまく取り入れつつ、かわいく見せられるコーディネートをすることにしたんです。お仕事が家事代行だからパンツスタイルが多いですけど、お出かけのときはスカートスタイルでおしゃれを楽しんでいる感じを出したりして」

――みくりは明るいカラーの服を着ていることが多いですよね。

亘「みくりは基本ポジティブな人ですから、そこを服からも伝えようと明るいカラーを選んでいます。新作では子供が生まれるので、その過程でブルーになっちゃうときがあるんですけど、そんなときでも嫌な感じにならないようにしたくて、やっぱり明るいカラーを使いました」

――なるほど。明るいカラー=派手ってイメージがありますけど、うまく着こなせば“派手さ”ではなく“ポジティブさ”を感じさせることができるんですね。みくりは決して派手なイメージはないですもんね。

亘「そうですね。ぜひ、『どこで派手さを抑えているんだろう』と見てみてください(笑)」

◆“シチュエーション”を考え抜いているからかわいい

――色選び以外で、スタイリングの際に気をつけていることは?

亘「ドラマで着る服というのは雑誌で着る服とは違って、 “演技があっての服”ですよね。だから、その人物のキャラクターをきちんと捉えたうえで、『このシチュエーションだったら何を着るのがいいか』というのをしっかり考えています。

 たとえば、いくらみくりがポジティブだからって悲しいシーンにピンクのフリフリを着せるわけにはいかないので、悲しみが伝わるよう落ちついた色味を選ぶとか。歩くシーンが多いときは、立ち姿がきれいに見えるシルエットの服を選ぶとか」

――やみくもに「このコーデがかわいいからこれにする」じゃダメなんですね。

亘「そう。かなり意図的にコーデしてるんです。たとえば、『お出かけのシーンだからキュートに見えるバッグにしよう』と選んだバッグってやっぱり目を引くので、その意図には気づかなくても、見た人は『あのバッグかわいいな』ってなると思うんですよ。そうすると、その人物もかわいく見えてきて、感情移入しやすくなったりしませんか?」

――確かに! 

亘「『服がかわいかったな』という印象を残しつつ、より登場人物のキャラクター性や魅力を映し出せるコーディネートをするってことですね。だから、ドラマにおける服って大事だと思うんです」

――その通りですね。このお話を聞いたうえでドラマを見たら、「この服このシーンにマッチしてる!」という視点も加わって楽しいかも。しかも、「こういうときにこういう服を着るとかわいく見えるんだな」という勉強にもなりますね。

亘「シチュエーション別のコーデの勉強にもなるし、カラーコーデの勉強にもなるし、着こなしや小物使いの勉強にもなると思いますよ」

◆新作もみくりテイストは健在!

――「逃げ恥」の新作は前作から4年経ってますが、ファッションで変化させた部分はありますか?

亘「基本的には変わってないですね。相変わらずハイブランドは着ていませんし。ブランドで言えば『FILL THE BILL(フィルザビル)』をよく着てます。みくりに合うので。全体的に前作よりもっとおしゃれをしていて、明るいカラーも盛りだくさんになってるかな」

――地味カラーのコーデに逃げがちな人は必見ですね。ところで亘さんは、1月7日に放送される『黒革の手帖』の新作(『黒革の手帖2021・新春スペシャルドラマ〜拐帯行〜』テレビ朝日)でも主演の武井咲さんのスタイリングをされているそうですね。あちらは「逃げ恥」とはテイストが全然違いますよね?

亘「はい。着物も洋服もとっても華やかなので、ぜひ見てほしいです。クラブのママのファッションなんて自分には縁がないと思うかもしれないけど、派手な中にも品を感じさせるようなスタイリングにしているので、同じ女性でも見とれてしまうと思いますよ」

◆『黒革の手帖』のブラックコーデも必見

――“品のある派手さ”って難しそうですね。

亘「そもそも武井さん演じる元子は品位があるんですよね。詐欺師なんだけどプライドを持って夜の仕事をしていて、ただ単に派手な女たちとは別格だから、男たちもコロッと騙されちゃう(笑)。その魅力を服でも表してます。あと、みくりは明るいカラーが見どころだけど、元子は黒が見どころ。喪服を着るシーンがあるんですけど、そのブラックコーデは圧巻ですよ」

――喪服も“品のある派手さ”に? すごいですね。

亘「喪服といえども『アライア』を着ているんですよ。ボディラインがキューッとなってて、それはもうカッコいいんです。あんな女性がいたら男性はイチコロですよ(笑)」

 お正月ドラマはストーリーと合わせてコーデも楽しみ、2021年の新春ファッションの参考にしてみてもよさそうです。

【亘つぐみ(わたり・つぐみ)】

東京生まれ。スタイリスト。「VOGUE」「ELLE」「HERS」etc…の雑誌、写真集、広告やCM、映画・ドラマ、ビジュアル制作・ディレクション、ファッションショー、ブランドプロデュースなど、その活動分野は多岐にわたる。著書『女らしさはけせない』では女性らしく輝き続ける方法を伝授。2021年春には自身がディレクションするボディウェアブランド「TW」がデビュー。Instagram:@tsugumiw、YouTube:Tsugumi W

<取材・文/持丸千乃>

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