吉高由里子『わたし、定時で帰ります。』視聴者の議論沸騰。あなたの働き方は…

吉高由里子『わたし、定時で帰ります。』視聴者の議論沸騰。あなたの働き方は…

(画像:『わたし、定時で帰ります。』TBS公式サイトより)

『わたし、定時で帰ります。』(TBS系列、火曜夜10時〜)が第1話からSNSをざわつかせています。

 仕事を効率よく終わらせて定時に帰ることをモットーとする主人公を中心に、働く人々の意識改革を描く同ドラマ。「共感でき過ぎて困る」「まるで私だ」「元上司と同じことを言っている」と自身の職場と照らし合わせて心をつかまれた人が続出しているようです。

 確かに、お仕事ドラマにありがちなドジッ子もしくは天才的なタイプに少々うんざりしていた昨今、吉高由里子演じる主人公・東山結衣にはとてもホッとしてしまいました。実に普通の人物だったから。そして、彼女を含めてどのキャラも生き生きとしていて、それぞれが吐くセリフにいちいちドキッとさせられるのです。

◆厳しすぎる上司の言い分

 例えば、「仕事は無理をしてでもやるもの」と始業時間30分前に出社させるなど、新人を厳しく指導する三谷(シシド・カフカ)。ですが、仕事ができず怒鳴られ続けた時代を暴露されたことから見方がガラリと変わります。

「私たち世代がどれほど真剣に仕事をしてきたか。(中略)仕事は人の2倍3倍、それを当然のこととして頑張ってきたんです」

「あなたみたいに自分のことしか考えていない人間が評価されて、私みたいに要領の悪い人間はいくらやっても何も誰にも評価されないんです」

「要領が悪い」は仕事ができないと烙印(らくいん)を押されてしまう理由のひとつ。劣等感に苛まれる彼女にとって、仕事のできる種田(向井理)に認められることはどんなに嬉しかったことでしょう。無断欠勤してベッドに潜り込んでいた彼女が、「三谷さんの仕事は丁寧」という種田の言葉に「本当ですか」と飛び起きてしまう気持ちもわかります。

◆新人たちの言い分

 一方、三谷が厳しく指導した新人・小泉(ついひじ杏奈)も三谷のパソコンのパスワードを勝手に変更して会社を辞めるという悪質な面はあるものの、三谷の言動はパワハラだと主張。労基署に話を持ち込んでもいいと自らの正当性を信じています。

「自分が新人の頃やらされたからって、なんで私たちまでやんなきゃなんないんですか?」

 結衣が指導する同じく新人の来栖(泉澤祐希)も小泉を擁護。

「人それぞれの働き方を考えようって時代なのに、10年前のスタンダードを強要されても」

 実際、SNS上では「新人の言っていることは正論」「三谷がおかしい」という声も多く、中には三谷に共感する視聴者を批判する人も。三谷派と新人派が生まれ、世代間の溝(みぞ)が浮き彫りになっているのです。

◆定時に帰る主人公の言い分

 そして、「私はこれ以上頑張りません。定時で帰ります」と宣言する結衣は、打ちひしがれる三谷に自らの新人時代を告白。

「言われたことは全部やりました。仕事ができないって思われたくなかったんですよね。月100時間以上残業して、休みもなくて。

 その頃毎日考えてました。病気か怪我でもしないかなぁ、そしたらしばらく休めるのになぁって。入社して半年で考えてた通りになりました」

 主人公の体験に自らを重ねた人は多かったようです(かく言う私もその一人)。彼女が定時で帰るようになったことを、いやがおうにも納得してしまう生々しい告白でした。

 心を開いた三谷に結衣が投げかけた言葉も素敵です。

「休んだって居場所はなくなりません」

「おふとんは正義ですよね」

 もちろん、一人一人の発言には賛成できる点もあればできない点もあります。でも、このドラマには聞きかじったような中途半端なことを言う人がいません。みんなそれぞれの正義に基づいて発言していることがわかります。

 職場を構成する人々の多様性を丁寧に反映したキャラクター作りが、視聴者の間で議論を巻き起こしているのでしょう。

 4月23日放送の第2回は「時短勤務とか甘いことは言いません」とやる気に満ちた主人公の先輩・賤ヶ岳(内田有紀)が育休から復帰。「自分のことしか考えない人なの?」と結衣をもっともらしく非難していた部長・福永(ユースケ・サンタマリア)も気になります。

 また、結衣の元婚約者でワーカホリックの種田(向井理)はどんな立ち回りを見せるのか。それぞれの価値観がより複雑に交錯することが予想されるこのドラマが楽しみです。

<文/林らいみ>

【林らいみ】

フリーライター。大学院で日本近世史を研究した硬派の歴女。舞台・映画・ドラマが好物。観たい舞台があれば万難を排して劇場に馳せ参じ、好き勝手言っている。たま〜に歴史系記事を書く。

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