美女同士のキスで話題の『ミストレス』。女が女に心奪われるのはどんな時?

美女同士のキスで話題の『ミストレス』。女が女に心奪われるのはどんな時?

篠田麻里子(左)と大政絢(右) ※篠田麻里子公式Instagramより

 前回、大政絢と篠田麻里子の衝撃的なシーンを見せつけたドラマ『ミストレス〜女たちの秘密〜』(NHK、金曜夜10時〜)。男女関係・不倫事情を長年取材し著書多数のライター・亀山早苗さんが、人気のドラマを読み解きます。(以下、亀山さんの寄稿)

 自分では意識していなくても、きれいな女性に近づいてこられたら、ふっと心を奪われることはあるのだろうか。ドラマ『ミストレス〜女たちの秘密〜』で、肉食女性の水島樹里(大政絢)がレズビアンの玲(篠田麻里子)とキスするシーンが話題を呼んでいる。

 現実に、異性愛者である女性が同性に心惹かれ、関係をもってしまうことはあるのだろうか。

◆彼の女友だちに惹かれて……30代女性の体験談

「つきあっている彼の女友だちと関係を持ったことがあります」

 そう言うのはアヤカさん(38歳)だ。5年ほどつきあっている同い年の彼がいるが、あるとき彼が会社の同期と飲む会にアヤカさんを招いてくれた。「僕の彼女です」と紹介してくれ、場もいい雰囲気でアヤカさんもリラックスしてみんなと盛り上がった。

「トイレに立ったとき、あとを追いかけてきたのがマナちゃん。彼女は私がトイレから出てくるのを待っていたようで洗面所であれこれ話しかけてきました。『アヤカさん、ステキ。私、アヤカさんみたいな人大好き』って。同い年なのになんだか妹気質な子で、私も酔っていたせいもあって彼女をふと抱きしめてしまったんですよね。そのままふたりでキスしちゃって」

 そのときはその場のノリだと思っていた。ところが彼と一緒に彼の部屋に帰ったとき、マナさんの柔らかい唇を思い出してドキドキした。

「マナちゃんってどういう子なのと彼に聞いたら、公言はしていないけどどうやら彼女はレズビアンらしい、と。『アヤカみたいな女性が好きかもしれない』と彼に言われて。なんだか妙な気持ちがしたのを覚えています」

 もともと中学・高校は女子校だったアヤカさん、女性と手をつないだり抱き合ったりすることには抵抗がなかった。

 その後、マナさんからSNSを通じてメッセージが来るようになった。何度かやりとりしているうちに、ふたりとも歴女で幕末が大好きと判明。

「うちにいろんな資料があるから見に来ない? と彼女に言われて行くことにしたんです」

◆ついに関係を持ってしまうふたり

 アヤカさんはマナさんの家に行き、マナさんが作ってくれたパスタを食べ、趣味の話に花を咲かせた。

「彼女が作ってくれたシーフードのパスタがものすごくおいしくて。料理上手だし、インテリアのセンスもいいし、話もおもしろい。ふたりでワインを飲んで酔っ払って。本当に楽しかった」

 夜も更けてそろそろ帰ろうと思ったとき、マナさんに「私、アヤカさんが好きなの」と言われた。あのときのマナさんの柔らかい唇が目の前にある。アヤカさんは思わずキスをした。

「そこからふたりで抱き合って床に転がって……。気づいたら全裸になってた。彼女の愛撫で我を忘れるくらい感じてしまって」

 それは、彼とするときよりも快感が強かった。以来、彼女は彼と会うよりマナさんと会う頻度が高くなっていく。

◆「愛してる」と言われ、自分の気持ちに気づく

「毎日のように彼女と会っていました。ただ1ヶ月ほどたって彼女が『アヤカを愛してる。心も体も全部好き』と言われたとき、はっと我に返ったんです。

 私はマナちゃんを愛しているわけじゃない、と。恋愛感情があると思っていたけど、彼女が言う“愛してる”とは何かが違う。私は彼女とどうやって生きていこうとは考えられなかった。彼女は私との将来を考えていたのに……。私は快楽に溺れていただけ」

 それに気づいたアヤカさんは、マナさんに正直に打ち明けた。あなたのことは大好きだけど、恋愛感情とは違うと思う、ずっとともに歩んでいくという気持ちにはなれないと。

「マナちゃんは非常に傷ついたと思います。私は申し訳なくて、だけどやっぱり違和感を拭(ぬぐ)い去れなかった」

 マナさんが彼にすべてを告げてしまうかもしれないと思った。彼のことも失うかもしれない。それでもしかたがないとアヤカさんは覚悟した。

「ただ、マナちゃんはそのことを彼には言わなかった。最後に『本当に残念だし悲しいけど、しかたがないね』と言ってくれました。私は友だちでいたかったけど、彼女は恋愛感情が強すぎて友だちにはなれない、と」

◆すべてを知った彼の反応は

 その後、アヤカさんは彼にすべてを自分から打ち明けた。彼は静かに全部を聞いたあと、「それを聞いても僕はアヤカを好きだよ」と言ってくれた。

「こんなに懐の深い人だったんだと彼を見直しました。今、私は彼と一緒に住んでいます。結婚するかどうかはわからないけど、彼とともに歩んでいきたいという気持ちは強くなっています」

 アヤカさんはこの経験を通して、自分が異性愛者か同性愛者かと簡単に決めないほうがいいのかもしれないと感じている。一瞬であってもマナさんを強く好きだと思ったのは事実だし、もしかしたらそのまま恋愛へ移行する可能性もあったのではないかと考えているからだ。

「私はたまたまマナちゃんへの恋愛感情が続かなかっただけかもしれない。これからも女性とは恋をしないとは言い切れないんです。ひょっとしたら、誰でもそういうことがあるんじゃないでしょうか」

 相手が同性であれ異性であれ、それを特別視する必要などないと彼女は考えるようになった。本当に好きかどうかは必ずしも性別で決められるものではないのかもしれない。

<文/亀山早苗>

【亀山早苗】

フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数

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