樹木希林&内田裕也のような「激しすぎる夫婦」を描いた名作映画3選

樹木希林&内田裕也のような「激しすぎる夫婦」を描いた名作映画3選

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 年間300本以上の映画を観る、映画マスターの増田弘道です。映画業界に足を踏み入れて早35年。これまでに累計数千万本の映画を観てきた私が、女子SPA!読者の皆さんに向けて厳選した映画を紹介します。

 今年3月、「シェケナベイビーのユーヤ」こと、内田裕也さんが亡くなりました。昨年9月に亡くなったパートナーの樹木希林さんは生前、「私が死んだら内田裕也も一緒に連れて行くらしいと占い師に言われた」という旨の発言をしていたそうですが(週刊ポスト2019年5月3・10日号)、まさにその通りの展開に。

 この二人、昭和・平成史に残るインパクトの強い夫婦でした。不良的カリスマの「ロケンローラー」と劇団所属の若手実力派の女優が結婚したこと自体がその当時大きな話題を呼びましたが、その後も離婚・別居騒動にはじまり激しい夫婦喧嘩など、何かと世間を騒がせ、また時に和ませてくれましたね。

 今回は映画好きの私から、そんな内田裕也・樹木希林夫妻のような、激しい夫婦を描いた映画3選をご紹介します。

◆暗殺者夫婦の激しすぎる夫婦喧嘩『Mr.&Mrsスミス』

 2005年公開、ブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリーがW主演をつとめた『Mr.&Mrs. スミス』はかなり凄まじいものがありました。「事実は小説よりも奇なり」と言いますが、この二人が共演を機に急接近して実夫婦となり、その後ドロ沼離婚協議中となったのは有名な話ですよね。

 凄腕の暗殺者同士が相手の仕事を知らずに結婚、仕事のターゲットが被ってしまって初めてお互いの正体を知ってしまったため、48時間以内にどちらかがどちらかを始末しなければならないという事態に陥ります。

 やり手のプロ同士の戦いは次第にエスカレート、想像を絶する展開に。もしもユーヤ&希林の夫婦げんかを面白おかしくファンタジー的に描けば、この映画のようになるのかもしれません。

◆幸せの絶頂から壮絶な離婚バトルへ『ローズ家の戦争」

 1989年に発表され、キャスリーン・ターナーとマイケル・ダグラスが主演したブラックコメディ映画『ローズ家の戦争』。熱烈な恋愛の末結婚し、立派な豪邸に住み、2人の子宝にも恵まれて、まさに幸せの絶頂だったはずの夫婦。しかし結婚17年目に妻が夫に強烈なパンチ! ここから二人の壮絶な離婚戦争が始まります。

 ユーヤ&希林夫妻が同居していたら、まさにこんな夫婦喧嘩が繰り広げられていたでは!? キャスリーン・ターナー演じる妻の気の強さが痛快です。

◆まさに“あるがまま”の夫婦、ドキュメンタリー『レット・イット・ビー』

 ユーヤ&希林が結婚した当時、ジョン・レノンとオノ・ヨーコを思い浮かべた音楽ファンも多いはず。ジョン・レノンとオノ・ヨーコもある意味「激しい夫婦」には違いありません。暴力的とかそういった意味ではなく、パフォーマンス的にかなり過激です。

 その中でも有名なのは、ベトナム戦争中に彼らが行った平和活動のためのパフォーマンス「ベッド・イン」です。当初はジョンとヨーコがマスコミ陣の前で公開セックスをするのではということで、大いに盛り上がったのですが、実際には二人がベッドに入っての記者会見でした。

 いずれにせよお騒がせの二人だったのですが、その様子がうかがえるのが1970年に発表されたビートルズのドキュメンタリー映画『レット・イット・ビー』です。この作品は同名のアルバムのドキュメンタリーなのですが、そこにはジョンに寄り添い、レコーディングの現場に立ち会うオノ・ヨーコの姿があります。

 実は、この時フイルムに収められた未公開映像を『ロード・オブ・ザ・リング』を監督したピーター・ジャクソンが新たに編集して、2020年に50周年を迎えるにあたって新たに映画を製作することが決まっています。いわば、“Newレット・イット・ビー”なのですが、そこでもオノ・ヨーコの姿が見られるかも知れません。同時にジョン・レノンとオノ・ヨーコのラブストーリーをテーマにした新作映画をハリウッドのユニバーサル映画が製作中という話もあります。

 余談ですが、2018年のウェス・アンダーソン監督/ブライアン・クランストン主演声優のストップモーション・アニメーション映画『犬ヶ島』に、オノ・ヨーコが科学者ヨーコ・オノ役で声優を務めていたのには本当にビックリしました。ウェス・アンダーソン、どうやってオノ・ヨーコを口説いたんだ!?

◆銃弾を浴びて……最後まで激しい『俺たちに明日はない』

 一方で、ユーヤ&希林がダークサイドに陥り、非業な最後を遂げていたとしたら、それは1967年に発表された『俺たちに明日はない』の世界になっていたのでは(主人公のクライドとボニーは夫婦ではなく、あくまで事実婚のようなカップルですが)。

 この作品は1960年代の後半から70年代にかけて発表された、いわゆる“アメリカン・ニューシネマ”の代表作ですが、製作・主演を務めたウォーレン・ベイティと、フェイ・ダナウェイを一躍スターダムに押し上げた作品です。

 もしユーヤがウォーレン・べイティ演じるクライド・バロウのように本当の悪党で、希林さんがそれに付いていくフェイ・ダナウェイ演じるボニー・パーカーのような女性だったら……。銀行強盗を繰り返し、最後は隠れ家から出てきたところを待ち伏せしていた警察官に二人とも撃たれまくる有名な最期を迎えるのですが、どこまでも激しかったユーヤ&希林であれば、ひょっとしてあり得た結末かも知れません。

◇ ◇ ◇

 昨年末に発売された樹木希林さんの遺著『一切なりゆき 樹木希林のことば』 (文春新書)はベストセラーとなりましたが、国を問わず「激しい夫婦」は人々の心に強く刻み込まれているようです。

【増田弘道】

年間300本以上の映画を観る映画マスター。日本動画協会人材育成委員会委員長や大学でアニメ映画産業の講師も務める。一般映像作品数22万本超の動画配信サービス「ビデオマーケット」に所属。

<文/増田弘道>

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