能町みね子&サムソン高橋が語る<幻冬舎・見城社長と百田尚樹とトランプ>

能町みね子&サムソン高橋が語る<幻冬舎・見城社長と百田尚樹とトランプ>

左から、サムソン高橋さんと能町みね子さん

 契約結婚を前提に夫婦(仮)として一緒に生活している、コラムニストでありイラストレーターの能町みね子さんと、ゲイライターのサムソン高橋さん。

 社会に対して鋭い観察眼を持つおふたりに、ここ最近世間を騒がせている様々なニュースや出来事についての見解を自由にトークしてもらう、当対談。好評だった前編に続いて、後編をお届けします。

◆幻冬舎・見城社長を嫌いなわけ

 すでに広く知られていますが、作家の津原泰水氏が、幻冬舎から出版された百田尚樹氏の著書『日本国紀』に問題があると指摘したことで、幻冬舎から刊行予定だった文庫が出版中止にされたと5月13日にTwitterで告白。すると幻冬舎の見城徹社長が、幻冬舎からの出版に反対だったことや、実売部数まで暴露ツイートを投稿。

 作家の花村萬月氏、高橋源一郎氏はじめ、見城社長への批判の声はどんどん広まり、ネット上で大騒動に。見城社長はTwitter発信を停止すると宣言し、5月23日謝罪コメントを公式サイトに出しました。

能町:見城徹は、大嫌いになるできごとが個人的にありました。

サムソン:でも幻冬舎から本出してるよね?

能町:私の担当編集者はいい人なんです。幻冬舎じゃない会社にいてくれたらいいのにって思うくらい。

サムソン:何でそこまで嫌いなのか、理由はここでは言ってはいけないの?

能町:本当は言いたいけど、半端なこと言うと、訴えるとか言って脅してきそうだから言わない。

サムソン:見城徹って元角川書店の編集者で角川春樹(角川書店前社長)の秘蔵っ子みたいな感じなんでしょ。ハルキストなんだよね。

能町:はあ(笑)。

サムソン:だからテイストとしては、角川春樹と一緒なんだよね。ワンマンっていう。

能町:上に媚び、下を威圧する人ですよ。

サムソン:仕事の嗅覚はすごく優れてる人なんだろうなっていうのはわかるんですよ。

能町:売れるものは作るよね。

サムソン:春樹も嗅覚は凄かったらしいじゃないですか。(角川映画で)薬師丸ひろ子を見出したりさ。

◆角川春樹―見城徹―箕輪厚介

能町:10年以上前のAERA(1999年8月16日号)が話題になってたんだけど、当時見城徹が幻冬舎の仕事ができない社員に対して怒鳴ってゴミ箱を振り上げて、投げつけるのかと思ったら頭に被せた、という記事があって。お前はゴミだってことなのかな。すごいよね。今それをしてるかは知りませんけど。

サムソン:すご〜い、イメージ通り! まだパワハラとかが問題にならなかった時代ね。角川春樹の秘蔵っ子が見城徹なら、この見城さんにも秘蔵っ子がいるじゃない。

能町:箕輪厚介ね。

サムソン:3代続く一定した気持ち悪さね。

能町:でも、箕輪厚介はちょっとテイストが違うよね。パワハラとかはあんまりしなさそう。

サムソン:単純に気持ち悪いだけ?

能町:バカなだけというか……熱意のあるバカ、みたいな。

サムソン:(著書の)『死ぬこと以外かすり傷』みたいな。

能町:でも、死ぬこと以外はかすり傷って言ってるけど、実際にかすり傷を負ったら超痛がっちゃうタイプ。

――能町さんはTwitterで、「死ぬこと以外かすり傷」という言葉の元ネタを探って大元までたどり着かれてましたね。

能町:箕輪厚介、私のことをブロックしてきたから、かすり傷がすごく痛かったんでしょうね。

◆見城徹と村上龍/村上春樹、そして銀色夏生

サムソン:見城さんが仕事できるなって思ったのは、村上龍を文章を読まずに写真だけ見て口説いたっていう話(※詳しくは見城徹『編集者という病』集英社)。それで龍は感動して……。

能町:それはちょっと龍がチョロすぎじゃない(笑)? でも、芸能プロ的な働き方だよね。

サムソン:村上春樹は、見城徹に対して激怒していて、俺の半径50m以内に近づくなって言ったとかいう伝説があるよね。

能町:本当かどうかしらないけどね(笑)。

サムソン:春樹本人は、見城徹に褒められたことしか記憶にないっていうようなことを後に書いてるんだけど(『村上さんのところ』新潮社)、ドロドロしたことがあったに決まってる! でも見城さんがすごいのは、銀色夏生を見出した人なんだって。

能町:え〜そうなの。

サムソン:こいついいな、って思って口説きに行ったら銀色夏生が一言もしゃべらないでずっと黙ったままだったんだって。それで匙を投げて腹を立てて帰ってきたんだけど、これだけ自分とコミュニケーションが取れない異世界の人なんだから、レイアウトも構成も全部この人にやらせて本を出したら面白いんじゃないかって、作らせたらしいのよ。そういう話を聞いて商才はあるんだなって。

能町:まあ、あるんでしょうね。

◆見城社長のTwitter「いいね」欄が面白かった

サムソン:見城徹のTwitterはもうちょっと面白くなるかと思ってたのにやめちゃって残念。

能町:ファボ欄が面白かったんだよ。

サムソン:見城さんが「いいね」をつけた人のリストがね。

能町:そうそう、自分を褒めるツイートばっかり「いいね」してたの、見ててすごい恥ずかしかった。

サムソン:他の人からも「いいね」が見られるの知らないんじゃないかしら。

能町:たぶんそう。

サムソン:Twitter でエロ動画しか「いいね」してない人とかも、他の人からも見られるの知らないんじゃないかなって。Twitterでイケメンのゲイの「いいね」を見るとネトウヨのリストになってたりとかもするのよ。

能町:わかっちゃうの怖いね。

サムソン:「いいね」は気をつけた方がいい、結論はこれね!

能町:全然本筋に触れてませんけど(笑)。もともとは、百田尚樹の『日本国紀』がWikipediaとかからのパクリだったことを津原泰水が指摘したから、津原泰水の単行本が幻冬舎から出なくなったんでしょ?

サムソン:そうなんだ。

能町:私、百田尚樹が週刊文春で連載しているときに、普通に百田尚樹をディスる記事を文春の連載に書いたんですけど、やっぱりちょっと修正させられましたよ。文春ですら……。

サムソン:まあ仕方ないかもしれないね。

能町:ただ、書かないでくれとまでは言われなかった。私はTwitter上では百田尚樹と1回も絡んだことないのに、彼は私のことをブロックしてるんですよ。たぶんあの記事を読んだからじゃないかな。きっとチェックしてるんですよ、臆病者だから。

サムソン:ちっちゃいね。

――Newsweek日本版が、「百田尚樹現象モンスターはなぜ愛されるのか」という特集をして話題になりました。

サムソン:百田尚樹現象って、是か非か問われると是ではないんだけど、ここまでみんなでもてなしちゃうのは気持ち悪いわ。

能町:持ち上げること自体がね。

サムソン:だってこの人ゲテモノじゃん。ゲテモノ枠になんでいちいち世論が動くの?

能町:トランプみたいなものでしょ? 大統領になるわけがないキャラの人が大統領になった、みたいな。

サムソン:私最近ネットフリックスの『ル・ポールのドラァグ・レース』を気が狂ったように観てるじゃないですか。あれ2008年〜2009年に始まってるんだけど、当初からトランプがおちょくられる役でちょこちょこ出てくるのよ。トランプは昔からアメリカじゃこういう扱いだったんだなって。

能町:そういうことなんでしょうね。

◆百田尚樹が今立候補したら当選する

能町:日本で今、百田が立候補したら当選するよね。

サムソン:長谷川(豊)さんがあれだけヤバいのに維新の公認候補になるくらいだから百田なんて絶対当選する。

能町:長谷川豊はその後に公認取り消されてるけどね。でも地方だったら百田はトップ当選しちゃうよ。

サムソン:大阪は(横山)ノックが府知事やってたんですから、そりゃ何でもあるよ。

能町:東京も小池百合子だしな……。

――小池都知事といえば、東京オリンピックの暑さ対策で頭にかぶるタイプの傘を発表しましたが……。

能町:あれ、シニア向け雑誌の後ろの方によく載ってるやつですよね。

サムソン:550円くらいの。

能町:いくらで売るのかな? 1万円ぐらいするかもしれないよ。あの傘のモデルの人はどうやって選ばれたのかね。目が死んでたけど。

サムソン:もちろん公務員なんでしょうね。

◆トランプ大統領来日して相撲観戦

 トランプ米大統領夫妻が5月26日、安倍晋三首相夫妻と両国国技館で、大相撲夏場所の千秋楽を観戦。優勝した朝乃山の取組から計5番を観たあと、取組後の表彰式で土俵に上がり、幕内優勝力士に特製の「米国大統領杯」をトランプ自ら授与しました。

サムソン:トランプの相撲観戦についてはいいの?

能町:結局、何だったんだ? っていう……。事前に首相側が升席を1000席買い占めたとか謎の情報が出回ってて、それが普通にスポーツ紙とかに出てた。一般客に売らずに升席の4分の1を買い占めてるって話で、しかも升席で見ることは安倍晋三が提案したらしくて、ふざけんなよって感じだったんだけど、いざやってみたら升席は普通に一般客で埋まってるし、あの報道はデマだったの? って。

サムソン:みね子がスポーツ紙の情報に惑わされてしまった感じなの?

能町:でも、ネットニュースならともかく、スポーツ紙はそこそこ確度高いことを書くはずじゃないですか。

 1000席買い取った首相側がその券をばらまいて、関係者で客席を埋めたんじゃないかっていう陰謀説まで出たんだけど、この報道の渦中に(AV男優の)しみけんさんに、「千秋楽の正面の席持っているんですけど、どうなるんですかね」って言われてびっくりして。持ってる人いるじゃん、って。結局しみけんさんは普通に見れてたはず。

サムソン:はあちゅうと2人で?

能町:知らないよ(笑)。でも、今回の「4分の1買い取った説」は本当に謎なんですよね。

サムソン:全部、安倍政権が悪いってことよね。

能町:うん。……うんって言っちゃったけど(笑)。別に「トランプは両国国技館に来るな」とまでは思わなかったけど、今まではフランス大統領もダイアナ妃も、だいたい2階の貴賓席で見てたから。それなのに相撲のことをよく知らない安倍ちゃんが「下の方が迫力ありますよ」みたいなテキトーなことを言うからあんな大変なことになったんですよ。最初から2階で見てくれれば何の問題もなかったんです。

 そもそも、貴賓席が一番見やすいんですよ。真下の砂かぶり席だったらともかく、升席と2階席ではそこまで変わらないし、2階席最前列のほうが大相撲というものを俯瞰で見渡せる。升席はどちらかといえばみんなでワイワイ酒を飲んで楽しむお祭り席だから。相撲そのもののファンは、2階席に行く人がけっこう多いですよ。

サムソン:安倍ちゃんもトランプも相撲のことよくわかってないから……。

能町:さほど見に来たこともないくせに、下の方が迫力あるとか言って。升席はその席の様子も含めて大相撲を味わう席であって、そこに椅子を並べるなんて日本文化の破壊ですよ。あの席は升だからいいんですよ。

◆あんな見せられ方をしたトランプも気の毒

――トランプが終始つまらなそうだったのも印象的でした。

能町:超つまんなそうだった……。午前中に30℃の気温の中でゴルフやってから来たから、もう疲れちゃったんだと思うんですよ。相撲についても事前にどれだけ説明を受けていたか怪しいもんだし、通訳にも限界があるから目の前で何が起こってるのか理解できなかったんだと思う。

 私も、何の説明もなくアメフト見せられても困るもん。だからあんな見せられ方をしたトランプも気の毒。もしトランプがまた相撲を観に来るんだったら、2階の貴賓席で観ることをお勧めします。あと最後の5番で来るのはやめてほしい!進行が狂うから!中入りか、幕内の休憩時間に来なきゃダメ!

サムソン:今回、千秋楽だったじゃない? 千秋楽の5番っていうのはタイミング的にどうなの?

能町:今回は特に、優勝も決まっちゃってたし、結果的にあんまり白熱した取り組みもなかった。せめて幕内の後半戦は全部見ないとつまんないよね。あと、武蔵川親方(元:武蔵丸)が通訳につくんじゃないかって説もあったんだよね。もしまた来るなら、英語が話せる武蔵丸さんが通訳をしたらいいんじゃないですか。

サムソン:ルックス的にもいいよね。

能町:アキラ好みかもね。

サムソン:いや、武蔵丸はちょっと顔がデコラティブすぎるのよ〜私には。

能町:あ、そうなの!?

<文/満知缶子 写真/山田耕司>

【満知缶子】

ミーハーなライター。主に芸能ネタ、ときどき恋愛エピソードも。

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