高齢出産で妊娠中に起きやすい「合併症2つ」│医師に聞く

高齢出産で妊娠中に起きやすい「合併症2つ」│医師に聞く

写真はイメージです(以下同)

 過去3回にわたり、高齢妊娠・出産について、産婦人科医の富坂美織先生にお話を伺いました。今回は、高齢で妊娠した場合の妊娠中と出産時のリスクについて教えていただきます(以下、コメントは全て富坂先生)。

◆高齢出産にともなう妊娠中の合併症

 まずは、高齢出産の妊娠中のリスクについて話を聞きました。

「高齢出産の場合は、妊娠中に合併症を発症しやすくなります。特に知っておいてほしいのは、『妊娠高血圧症候群』と、『妊娠糖尿病』です。

『妊娠高血圧症候群』は妊娠20週目以降で血圧が上がり、タンパク尿を伴うこともあります。妊婦さんの約20人に1人がかかる、比較的よくみる病気です。重症になると、けいれん発作や脳出血、赤ちゃんの状態悪化が起こることもあり、母子ともに大変な状態となる場合もあるため、注意が必要です。

 治療は、安静、入院、薬物療法ですが、赤ちゃんの成熟が十分であれば、基本、赤ちゃんを出産して妊娠を終わらせることで、お母さんの状態はよくなります。高齢妊婦の他、肥満があったり、もともと糖尿病などにかかっている、多胎妊娠、初産婦の人などはリスクが高いので気をつけましょう。

『妊娠糖尿病』は、妊娠前は問題がなかったのに、妊娠中に高血糖となる病気です。全妊婦さんの7〜9%がかかります。妊娠中は血糖値の厳重なコントロールが必要なため、しっかり妊婦健診を受けることが大切です。出産後は正常に戻ることもありますが、将来的に糖尿病にかかりやすくなるため、フォローアップも大切です」

◆年齢とともに上がるリスク

 他にもまだリスクはあると続けます。

「妊婦さんの年齢とともに、染色体異常の確率も上がります。例えば、ダウン症候群をみると、妊婦さんの年齢が20歳では約1500人に1人の割合ですが、30歳になると約1000人に1人、35歳だと約400人に1人、40歳では約100人に1人、45歳になると約30人に1人の割合になります。

 また年齢とともに、染色体異常のリスクが上がることに伴い、流産率も上昇します。流産とは、妊娠22週未満の妊娠中断をいいます。高齢になると卵子の老化もあり、受精卵の染色体異常の確率が上昇しますが、これが主な原因となって、流産率が上がることが知られています。

 流産をすると妊婦さんは、自分を責めてしまいます。ですが実際のところ、お母さんの働きすぎや動かしすぎが原因で流産することは、ほとんどありません。初期流産の原因は受精卵側の染色体の異常が主な原因なので、自分の行動を責める必要はありません。

 高齢出産時のリスクについては、連載の初回で、お産の時には、子宮の入り口の伸展が不足してしまいがちだったり、陣痛が弱かったり、お産までの時間が長引きやすく、妊婦さんも疲労しやすいので、帝王切開となる頻度も増加することをお話しました」

 だからこそ、「バースプラン」にはこだわりすぎないほうがいいと言います。

◆不妊治療後のお産は頑張りすぎに注意

「『バースプラン』とは、妊婦さんの希望するお産のスタイルをあらかじめ聞き、医学的に適応できる範囲で実施するというものです。

 高齢出産と不妊治療はほぼセットであることも。「妊娠する過程が自然ではなかったからこそお産は自然分娩を」と願う高年初産婦の方も多いのですが、現実的には不妊治療後のお産は医療の技術を借りる必要があることが多いもの。頑張りすぎずに自分と赤ちゃんを最優先してください」

 リスクを把握して備えることこそが高齢出産におけるキーワードと言えそうです。次回は、「助産院と産婦人科医院の違い」と、高齢出産の産後のリスクについてお伝えします。

―高齢出産の基礎知識・第4回―

【富坂美織(とみさか・みおり)】

産婦人科医、医学博士。順天堂大学医学部卒業、東京大学医学部研修医、愛育病院産婦人科医を経て、ハーバード大学大学院へ留学。卒業後、マッキンゼーにて、コンサルティング業務に携わる。山王病院などを経て、現在は不妊治療が専門。順天堂大学医学部産婦人科教室非常勤講師。著書は『「2人」で知っておきたい 妊娠・出産・不妊のリアル』(ダイヤモンド社)、『ハーバード、マッキンゼーで知った一流に見せる仕事術』(大和書房)ほか。

<文/内埜さくら>

【内埜さくら】

恋愛ライター。これまでのインタビュー人数は3500人以上。無料の恋愛相談は年間200人以上の男女が利用、リピーターも多い(現在休止中。準備中のため近日中にブログにて開始を告知予定)。コメンテーターとして『ZIP!』(日本テレビ)、『スッキリ!!』(日本テレビ)、『バラいろダンディ』『5時に夢中!』(MX-TV)などのテレビやラジオ、雑誌に多数出演。

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