タピオカドリンク不買運動が中国で広がっている理由。ポカリ、吉野家も板挟みに

タピオカドリンク不買運動が中国で広がる 香港の抗議デモの影響が台湾関係に飛び火

記事まとめ

  • 中国で、台湾発祥のタピオカミルクティー不買運動が広がっているという
  • きっかけはタピオカドリンクスタンド一芳の「香港市民と団結しよう」という張り紙とも
  • 張り紙の写真はウェイボーで拡散され、中国のネットユーザーのブラックリスト入りか

タピオカドリンク不買運動が中国で広がっている理由。ポカリ、吉野家も板挟みに

タピオカドリンク不買運動が中国で広がっている理由。ポカリ、吉野家も板挟みに

(画像:一芳台湾水果茶 Instagramより)

 香港で続く中国政府への抗議デモの影響が、中国・台湾の関係にも飛び火。なぜか台湾発祥のタピオカミルクティー不買運動に発展し、大きな問題になっています。

◆中国で不買運動が始まったきっかけは店の張り紙の写真

『ザ・ガーディアン The Guardian』によると、この騒動の発端は日米欧にもチェーン展開する台湾発の人気タピオカドリンクスタンド、一芳(イーファン)の香港加盟店の一部が「逃亡犯条例(中国本土への犯罪容疑者引き渡しを可能にする条例)」の改正案に反対する香港市民の抗議デモを支持したことにあるといいます。

 タピオカドリンク店の外に張られた「Stand Together with Hongkongers(香港市民と団結しよう)」という張り紙の写真は、またたく間に中国最大のSNSウェイボーで拡散され、同社は「香港独立を支持する企業」として中国のネットユーザーたちからブラックリスト入り認定された模様。

「安心しろ。一芳には今後一切お金を落とさない。このクズが!」「冗談なのか、本気なのか。もし本気なら、もう一生お前のところではミルクティーを飲まない」といった批判が殺到し、中国内で同店のタピオカミルクティーの不買が呼びかけられました。

◆「中国にしっぽをふる気か!」台湾で不買運動

 すると今度は「一芳台湾水果茶」名義のウェイボーアカウントが、「一国二制度」を支持するなど香港デモに否定的なコメントを投稿し、台湾のネットユーザーが「中国にしっぽをふる気か!」と激怒。中国だけでなく、今度は自国台湾でもタピオカドリンクの不買運動が広まる最悪の状況に陥ったのです。

 ウェイボーの投稿には、「発端となった張り紙を書いたアルバイトをクビにしたこと」「デモに賛同した香港の加盟店を閉店したこと」なども書かれていましたが、『ザ・ガーディアン The Guardian』によると、一芳の香港ブランドマネージャーは「誰もクビになっていないし、どこも閉店していない」と語っているそう。

 一方、一芳の台湾本部は、同社が運営しているSNSはフェイスブックとインスタグラムだけでウェイボーのアカウントは持っておらず、問題の投稿はうちとは一切関係ないと主張。

 とはいえ、台湾の加盟店やネットユーザーはこの発言を疑問視。意見がぶれ過ぎで信用ならないと、ますます非難を浴びているようです。

◆本部は「中立宣言」するも香港&台湾加盟店は香港支持

 事態を収拾(しゅうしゅう)したい一芳の台湾本部は後日、「政治的な干渉はせず、ただフルーツティーを広めることに注力していきたい」と声明を発表。政治的中立の立場を強調しましたが、同時期に発表された台湾や香港の加盟店のコメントは、いずれも香港よりのものばかりでした。

『サウスチャイナ・モーニング・ポスト South China Morning Post』は、台湾にある7支店がフェイスブック上に共同発表した「私たちは一国二制度に反対する。独裁政府に立ち向かう勇気ある香港市民を全面的にサポートします」という声明文を紹介 。

 香港の加盟店も、「市内にある加盟店の運営は、香港市民が代表して行っていることを明確にしておきたい」「各店舗の政治的立場を尊重するとともに、香港は包括的で自由に開かれた場所であると信じています」と、本部の立場を無視したコメントを次々発表していると伝えています。

◆タピオカだけじゃない?日本企業も板挟みに

 同じく一部店舗が香港の抗議デモ支持を表明し、その後一転して「一国二制度」を支持した台湾のタピオカドリンクチェーンは、CoCo都可(ココトカ)、コイティー(50嵐)、ゴンチャ(貢茶)など、計13社にものぼるとか。

 どのチェーンも中国市場を失いたくないがために取った火消し作戦でしたが、結局、台湾国民からも香港市民からも不信感を買い、不買運動が拡大しただけでした。

 この背景には、中国、マカオ、香港、台湾は一つの国家に属するという中国大陸サイドが唱える「一つの中国政策」に、反対する蔡英文政権が台湾で発足して以来、中国・台湾の二国間の関係が悪化したことがあります。香港国内で高まる嫌中意識が、台湾にまで伝染したといえるでしょう。

 現在、日本から中国に留学中のAさん(20代女性)によれば、「ウェイボーで同時期に、香港側から大陸支持を表明したタピオカブランドがさらしあげられて、逆に中国側からは香港独立を支持するブランドがさらしあげられててもう何が何だか…カオス。」とのこと。

 ただ、ネットで検索してみたら話題になっていたという印象で、日常生活でタピオカミルクティー不買運動を見聞きすることはなかったそうです。

 また、同じく日本から中国への留学経験をもつBさん(30代女性)によれば「ウェイボーには“加盟店が勝手にやってることだから敏感な時期に煽るようなことはやめよう”といったコメントも結構ついてて、そういうことでよくない?って思いましたね。

 面白かったのは、結局同じ不買という行動をしているから“中国も台湾もひとつの家族”みたいに言われていて、本末転倒だったこと(笑)」とのことです。

 タピオカミルクティー以外にも香港と中国の政治的立場を巡って板挟みになった製品は多く、日本製品では7月に大塚製薬のポカリスエットが、香港政府・中国寄りとみられているテレビ局へのCM出稿を取りやめたところ、デモ参加者の愛用ドリンクとして大人気になり、結果、中国国内で不買運動が発生。

 逆に牛丼チェーンの吉野家は、フェイスブックへの広告投稿で香港警察をからかう表現があったため、火消しのため投稿者をクビにしたという情報が拡散され、香港で不買運動のダメージを受けています。

 混迷を極める不買運動の応酬。これ以上、広がらないことを祈りましょう。

Sources:「The Guardian」 「South China Morning Post」

<文/橘エコ>

【橘エコ】

アメリカ在住のアラフォー。 出版社勤務を経て、2004年に渡米。ゴシップ情報やアメリカ現地の様子を定点観測してはその実情を発信中。

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