給料よし&将来安泰の“優良物件男性”に呼び出され会ってみたら|辛酸なめ子

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【いまどきの男を知る会 ファイルNo.27 税務署男子の生態】

 先日、税務署から税理士さんを介して一本の電話がかかってきて一瞬緊張が走りましたが、よく伺ってみたら「よく記事を読んでいます。良かったら、確定申告の時期が始まる前にボランティアで電子申告であるe-Tax(イータックス)の便利さを広めてほしい」という話でホッとしました。

 せっかくなので税務署に伺い、税務署男子の生態とe-Taxの便利さを一緒に広められればと思い、取材させていただきました。

◆税務署男子Gさんに話を聞いてみた

 今回、税務署の職員さんとはじめて会話しましたが、警察官のように目つきが鋭い方々がいるのかと思っていたら、そこまで厳格ではなく自然体で柔和な人が多いのが意外でした。

 署内のサッカー大会の集合写真を見せていただきましたが、笑顔で楽しそうで商社の人と言っても通じるほど、意外なほど普通っぽいです。しかしどこかに国家公務員の余裕が漂っているような……。

 イータ君(e-TaxをPRするキャラクター)の柄の入ったネクタイを締めていたGさんにお話を伺いました。まじめそうで紳士的なメガネ男性です。高校を卒業し国家公務員採用3種(税務)試験を受けて入った生粋の税務署男子です。

◆給料よし&将来安泰で羨ましい…

「税金は国民の三大義務の一つなので、国の機関で働きながら学べるのが魅力的でした。高卒の場合、全寮制の研修所で約1年間研修を受けないとならなくて、それがちょっと大変でしたが……」

 会社法、商法、民法、会計、簿記などを学ぶ機関だそうです。税金への強い思いがないと乗り越えられません。でも、無事に国税調査官になれたら、お給料は一般の国家公務員より高めだとか。将来的には、勤続年数に応じて税理士試験の科目が免除になるのも魅力です。こんな手堅い進路が存在していたとは全然知りませんでした。

◆脱税は見逃さない!

「もともと税金に関わってきそうな社会の状況に興味がありました。最初にやっていたのは法人調査です。任意調査なので相手方の承諾を取ってお伺いさせていただき、電子記録なと調査します。調査する会社はくじ引きで選んでいるわけではなく、話題になっている業種だったり、順調にいってそうな会社です。儲かってなさそうな会社に行っても意味がないですからね」と、Gさん。

 意外とシビアな判断基準が。何年かに一度は税務調査が入るくらいが、社会的な成功の証なのかもしれません。そこで申告漏れがあったら、追徴課税になったり脱税が指摘されたりするんですね。

◆ウソ・ホント? 税務調査の都市伝説

 法人ではないですが、フリーの場合、昔は「笑っていいとも!」に出演したら儲かっているということで税務調査が入るという都市伝説がありましたが……

「それは都市伝説だと思いますが、一つの参考にさせていただくことはあると思います」

 逆に「しくじり先生」に出たら、当分調査は入らなさそうです。ところでblogやSNSでゴージャスな生活をアピールしていると、調査対象になったりするのでしょうか……?

「場合によってはチェックしています。華やかな生活をしていても適性に申告していただければ問題ありません。税の公平性を保つのは大切なことです」

◆少しでもワイロをもらったら速攻クビ

 一国民として、私たちが税金を納めて良かった、と思えることはありますでしょうか?

「今ですと、コロナ政策の給付金は全部税金でまかなわれているので、目に見える形で税金が役立っているとわかります」

 受け答えにまじめで誠実な人柄が表れているGさん。税務署職員は日頃の生き方にも規範が求められるようです。

「何か事件を起こしたら、民間の会社よりも厳しくて完全にクビになります。5000円でもチップをもらうと新聞沙汰に。犯罪を犯したらマスコミにかき立てられてしまいます。税金を扱うのできっちりしていないと。悪いことはできません。より一層倫理観を求められる仕事だと感じております」

 Gさんは「襟を正して生きていかなければならない」と自分に言い聞かせるようにおっしゃいました。金品の授受は基本NGだそうで、この日手土産を持ってきていたのですが、そのせいで失職したら申し訳ないので渡さずにしまったままに……。

◆税務署職員のぶっちゃけ恋愛事情

 ところで税務署職員はモテるのでしょうか? 収入など手堅いですが……。

「とくにそういったことはなかったです。税務署以外の人と交流する機会も少ないですからね。職場内結婚が多いです。あと初対面の人に職業を聞かれたとき、税務署とは言わないことも。探っているんじゃないかと思われますからね」

 と、おっしゃる謙虚なGさん。たしかに今回税務署の方との雑談で「最近会食は減っていますか?」と聞かれたとき調査の一環かと思ってドキッとしました。会話しているだけで人をドキドキさせる存在です。それが吊り橋効果的に恋愛感情と錯覚させることもありそうです。

 一見ソフトな雰囲気ながら内面はやはりまじめでストイックだった税務署男子。この原稿の、e-Tax関連の記述の事実確認のためファックスやメールをやりとりしたのですが、漏洩を防ぐため、データ送信前、在宅確認の電話を受けたり、本題に入る前に「テスト送信」のメールの送受信が必要だったり、かなり厳密で、彼らになら税金を任せても安心だと実感しました。

◆ところでe-Taxって知ってる?

 税務署内の一室には、「イータ君」という緑色のぬいぐるみが鎮座していました。e-TaxをPRするキャラクターで、一見マイナーですがイベントなどによく登場するので子どもへの認知度は高いそうです。

「e-Taxはどこからでもパソコンやスマホで原則24時間、好きな時に確定申告できます。今年はとくに密を避ける意味でもe-Taxがおすすめです。2月16日から始まる確定申告期間は税務署が混雑して並ぶことになってしまいますので……。でもe-Taxなら安心です」と副署長に薦められ、さっそくスマホで国税庁の専用サイトで疑似申告してみました。

◆今までの苦労はなんだったんだ!

 収入や各種控除の金額を入力してスムーズに進んでいきます。このサイトの良いところは、途中で中断しても保存を押せば入力した金額が消えないで残っていること。途中でわからなくなったら、その専用サイトに表示されている問い合わせ先に電話すると、丁寧に説明してくれるそうです。

 あとは最大の利点は、還付申告の場合、e-Taxで正しく確定申告すると還付金が返ってくるのが早い、ということ。書類で送ると税務署職員が人海戦術で入力しなければならず、その分還付金の入金が遅れてしまいます。マイナンバーカードと読取に対応したスマホがあれば税務署に行く必要はなく、持っていない人はIDとパスワードを発行してもらうため税務署の窓口に行く必要があるとのことでした。税務署が空いている1月頃までに発行しておけば密的にも安全です。

<文・イラスト/辛酸なめ子>

【辛酸なめ子】

東京都生まれ、埼玉育ち。漫画家、コラムニスト。著者は『辛酸なめ子と寺井広樹の「あの世の歩き方」』(マキノ出版)、『辛酸なめ子の現代社会学』(幻冬舎)、『女子校育ち』(筑摩書房)など多数。

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