女性誌『CLASSY.』の着回し設定がなぜ貧困女子や棋士?謎を編集長に聞く

女性誌『CLASSY.』の着回し設定がなぜ貧困女子や棋士?謎を編集長に聞く

『CLASSY.:着回しDiary』2018年10月号

 女性ファッション誌の人気特集といえば、着回しコーデ! 数ある雑誌の中で、ひときわ異彩を放っているのが『CLASSY.』の「着回しDiary」です。コンサバなOL向けのファッション誌であるにも関わらず、主人公は刑事や棋士など、珍しい職業が中心。

 最近は人気コミックをオマージュした悪女キャラも話題で、毎回「こう来るか!」という設定に胸が高鳴ります。そんな『CLASSY.』編集長の中村亮氏に、「着回しDiary」裏側について突撃インタビューしてきました!

◆棋士、刑事、置いてけぼり過ぎる設定たち

 裏側に迫る前に、『CLASSY.』のトンデモ設定をいくつかご紹介します!

●棋士設定「今日は初めて獲得したタイトルの防衛戦」(2018年10月号)

●刑事設定「青島刑事と一緒に聞き込み捜査が続く」(2019年9月号)

●超貧乏娘「どん兵衛をすすりながらLINEのやりとり」(2017年4月号)

 いかがでしょう? 「こんな職業の読者なんているの!?」と思ってしまう設定ばかりですよね!

◆ありきたりな着回しストーリーに飽きて、現在の攻めたスタイルに!

 まずは、『CLASSY.:着回しDiary』が今のようなスタイルになった理由について教えてもらいました。

「いわゆる“普通のOL”設定のストーリーに飽きたことがきっかけです。『学生時代の仲間と女子会』『気になる彼とデート(ハート)』『今日は勝負のプレゼン!』……など、毎月代わり映えしないシーンが並ぶ物語を作っていて、だんだん面白くなくなりました。作り手側がそう思って作ったものを、読者が『面白い!』と感じるわけがないので、『作っていて楽しいもの』を追い求めていった結果、今のスタイルに行きつきました」と、中村編集長。

 やみくもに奇をてらった職業に設定しているわけではなく、毎回の企画で着まわす服から着想を得た職業を選んでいるそう。

「例えば、パンツの着回しであれば、アクティブでいつも動きやすいパンツスタイル中心の職業から刑事にいきつきました。カーディガンの着回しの場合は、いつもカーディガンを着ているイメージで美術教師と棋士が候補に挙がりました。どちらが面白い写真に仕上がるか考えて、最終的に棋士の設定に。

 カジュアルアイテムの設定であれば、いつもラフな格好をしている職業は何か考えていき、自転車に乗っているUber Eatsの配達員が思い浮かびました」

「エッ、なぜこの職業!?」と思う設定でも、実はちゃんと意味があったんですね。では、この設定はどのような方が考えているのでしょう。どこからか「おじさんの編集部員が考えている」という噂も耳に入ってきて、ぜひともその真相を確かめたい。この噂は本当なのか、ツッコんで聞いてみました。

「『CLASSY.』では各企画を、編集者とライターがコンビで相談しながら考えています。ライターは30代の女性がほとんどですが、編集者は30〜40代で女性もいれば男性もいます。完全なおじさんである私が口を出すこともあります。なので、着回しDiaryはおじさんの編集部員が考えている『こともある』とは言えます」

 女性だけでなく男性の意見も反映されているからこそ、設定やストーリーに面白みが増すのですね。

◆名作コミックをオマージュした、キメ台詞さく裂の悪女に騒然

 2019年5月号では名作コミック『NANA』をオマージュしたストーリーが話題に!気になるカレを奪略しようと目論む主人公の悪女っぷりにイラっとしつつも、ストーリーから目が離せない読者が続出しました。

「わざとだよ?」「案外ちょろかったな♪」など、小悪魔な台詞に気になるカレはノックアウト。

「もともとスニーカーを着回すというテーマは決まっていて、『NANA』の名シーンである<終電に遅れそうで階段を急いで上っていたらヒールが脱げて、一緒にいた気になるカレに「わざとだよ?」…から始まるストーリーにしたいという担当ライターの案を採用しました。彼女のいる男を落とすために、その日限りでヒールを捨て、翌日からスニーカーしか履かない悪女の主人公にしようと」

◆細部まで作り込んだ設定に脱帽

「着回しDiary」の主人公は、リアルな読者層とはかけ離れています。荒唐無稽な設定だからこそ、闇雲にふざけていると思われないためにも、ディテールにこだわりたいと語る中村編集長。

「主人公が棋士のときは、将棋ファンの人なら誰でも知っている『聖地』のような居酒屋でロケをしました。ほとんどの読者は気づかないでしょうが、わかる人が見てニヤリとしてくれると嬉しいです」

 棋士の「着回しDiary」では、主人公のライバルとして「羽布名人」という、誰もが知る名人のそっくりさんを無許可で登場させたのだとか(笑)。

「表参道駅にその企画のポスターが貼られ、それを見た将棋ファンが写真を撮ってツイートし、将棋ファンの間で軽くバズりました。その結果、羽生名人の奥様の畠田理恵さんがリツイートしてくださって。嬉しいやら、申し訳ないやら複雑な気持ちになりました」

 また、「着回しDiary」にサプライズで登場する男性ゲストにも注目。女刑事が主人公の回では、前園真聖さんがバーテンダー役を演じています。バーテンダーなのに禁酒中で、実は情報屋という設定がじわじわきます。

 今や『CLASSY.』の看板企画ともいえる「着回しDiary」。設定が気になりすぎて、初見では洋服が頭に入ってきませんが、次はどんな主役が登場するのか、今から楽しみです。ぜひ、主人公の台詞や細部のディテールにまで注目して、じっくり読み込んでみましょう。

<文・取材/Lisa>

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