草なぎ剛「クズ男の人間っぽさが好き」。監督と語る『台風家族』

草なぎ剛「クズ男の人間っぽさが好き」。監督と語る『台風家族』

草なぎ剛「クズ男の人間っぽさが好き」。監督と語る『台風家族』の画像

「新しい地図」の草なぎ剛さんが、『中学生円山』(13)以来となる映画単独主演を務めた『台風家族』が公開中です。10年前に姿を消した両親の財産分与を行うために久しぶりに顔を合わせた兄弟たちのいざこざを、『箱入り息子の恋』(13)などの市井昌秀監督がブラックユーモアたっぷりにオリジナル脚本で撮りあげています。

『まく子』(19)に続いて、ダメ男を演じた草なぎさんと、「この役を草なぎさんにぜひ演じて欲しかった!」という市井監督を直撃しました。

◆その辺にいそうなクズ。こういう草なぎさんを見たかった(監督)

―― 一家の長男・小鉄は、監督から草なぎさんへのアテ書きだと聞きました。実際にお仕事をされてみて感じた、役者、草なぎ剛のすごさを教えてください。

市井昌秀監督(以下、市井)「僕は草なぎさんのドラマや映画をたくさん見てきました。小鉄は、本当にちっちゃなところにこだわる小狡さみたいなものがあるキャラクターです。その辺にいそうなクズというか。そういう日常に近いズルい男というのは、実はあまり演じられていない気がして。

 なのでアテ書きというか、こういう役を草なぎさんがやったら面白いんじゃないかと思って書かせていただいたんです。こういう草なぎさんを、僕が見たいと。実際にお仕事をしてみて、想像以上に小鉄というキャラクターを膨らませていただいたというか、はみ出してくれて、そのはみ出しがとてもステキで良かったです」

――草なぎさんは、このところクズ役が続いているイメージがあります。そうした役を振られることをどう感じていますか?

草なぎ剛さん(以下、草なぎ)「そうですね。変な親父みたいなのが多くて(笑)。人っていろんな面があって、たまたまそういうところが誇張されていたりしますが、人間ぽくて共感できますし、演じる分にはめちゃくちゃ面白いです。小鉄も、演じていて笑っちゃいそうになることが何度もありましたけど、仕事としてすごく楽しい役をいただけました。

 それに、そうした人間っぽさがあると、どこか微笑ましかったり、ほっとけない感じもしてくるものなので、そうした部分が出たらいいなと意識はしています」

◆強くて優しくて、旦那さんを愛してくれて。小鉄の奥さんは最高!(草なぎ)

――読者が女性なので教えてください。尾野真千子さん演じる小鉄の妻は、草なぎさんの目にどう映りましたか?

草なぎ「最高でしょう! あんなどうしようもない感じの小鉄の味方で居続けてくれる。しかも、実は小鉄よりも上手をいってそうだし」

――確かにそんな感じがありました。

草なぎ「でしょ。心強いし、ステキだと思います。一緒に生きていくパートナーですから。強くて優しくて、本当に旦那さんのことを愛してくれていて、自由にさせてくれているようで、実は手のひらの上でっていう。それって守ってくれているわけでもあるし。惚れるよね。それに、僕は真千子ちゃんの顔がすごく好きなので、言うことないです!」

――市井監督が書かれたオリジナルですが、草なぎさんは本作に何を感じましたか?

草なぎ「よくある家族なのかなとも思うんです。小さないざこざだったり、コンプレックスだったりとか。そういうもの全部ひっくるめて、じんわり伝わってくるものが良かったり、面白かったり、微笑ましかったり、最後はちょっとホロっとしたりできる作品かなと思います。

 自分が演じたからとかじゃなくて、僕はクライマックスのみんなの姿がすごく好きで。現実的に考えると、突っ込みどころが満載のところもあるんだけど、そういうんじゃなくて。最後に家族の本当の姿が現れているのかなって。僕も父ちゃん母ちゃんに会うたびに歳を取ったなと思ったりしているので、余計に響いたし、いい映画だなと思いました」

◆常に声をかけてもらえる自分でいたい(草なぎ)

――おふたりのお仕事は夢を売る職業でもあります。ポリシーなどがありましたら教えてください。

市井「自分に嘘はつかないことですかね。自分がやりたいことに真摯に向かい合って、やりたいことをやっていく」

草なぎ「自分が楽しんでいることだと思います。そうじゃないと観ている人も楽しくないと思う。だから常に楽しんでいたいというのが僕のポリシーかな」

――最後に、これから挑戦していきたいことを教えてください。

市井「作りたい映画を作っていく。もう少し細かく言うと、笑える映画を作りたいなといつも思っているんです。観ている人に楽しんでほしい。そうした作品を作り続けられたらと思います」

草なぎ「特にそういうのはなくて。声をかけていただけたらどこへでも行きます。これまでにも、こういう作品をやりたいとか、こういう役をやりたいといったことは思ったことがない。それって自分がいくら思っていてもできるものでもないし。だからこそ、この役は剛くんがいいんじゃないかなと思ってもらえたりするのはすごく有難いことだし、常に声をかけてもらえる自分でいたいなと思います」

(C) 2019「台風家族」フィルムパートナーズ

<文・写真/望月ふみ>

【望月ふみ】

70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆。現在はインタビューを中心に活動中。

関連記事(外部サイト)