生理前に胸が張る、体重がふえるのは異常? 生理前の不調を婦人科に聞く
2021年02月09日 15時02分 女子SPA!

写真はイメージです(以下同)
生理前に体調を崩してしまう女性は少なくありません。でも、その不調が生理のせいなのか病気なのか、大人の女性でも意外とわからないものですよね。
そこで、生理前・生理中に起きる不調について、上野皮フ科・婦人科クリニック(東京・台東区)の婦人科「思春期外来」に聞いてみました。『10代の[性の悩み] 白書』を上梓した同外来には、生理、妊娠、不妊など、様々な相談が寄せられるそう。
生理前の不調にも、意外に深刻なものあるので要注意です(以下、回答は上野皮膚科・婦人科クリニック「思春期外来」)。
◆生理前に胸が張って痛いのは病気?
胸に異常を感じると乳がんや乳腺炎などを疑ってしまうかもしれませんが、乳腺の発達を促す働きを持つ黄体ホルモン(プロゲステロン)が生理前に多く分泌されるためで、病気ではありません。安心してください。
逆にいえば、生理前に胸が張るのはしっかりと黄体ホルモンが分泌できているということ。このホルモンの影響を受けて、乳腺内の血管が拡張したり、乳腺組織が増えたりします。
基本的に生理がくれば治まるものですが、生理がきても痛みが消えなかったり、張りやしこりが残ったりしている場合は、病気の可能性もあります。乳腺科に相談しましょう。
◆生理前に体重が増える気がするけど大丈夫?
生理前は別名「黄体期」という妊娠準備期間。
黄体ホルモン(プロゲステロン)が多く分泌されることによって、一時的に身体の水分代謝が抑制されます。妊娠に向けて体内に水分を蓄えようとしてむくみやすくなることで、体重が増えやすいと感じている可能性が考えられます。
そのほかにも、PMS(月経前症候群)による食行動の変化が影響する場合もあります。
ダイエット中は日々の体重の変化に敏感になってしまうかもしれませんが、PMSの影響でストレスをためやすい時期ですので、生理前後で調整ができているのであれば、そこまで気にしなくてもよいと思いますよ。
◆生理前にイライラするのはPMSかも
生理前によく情緒が不安定という人がいますが、それはPMSである可能性ががあります。
生理に関連した身体的または精神的な症状を、PMS(月経前症候群)と呼びます。20代前半から閉経までに、2〜10%の確率で起こるとされていて、具体的な症状は次の通りです。
1. 気分の不安定
2. イライラしやすい、怒りやすい
3. 不安感・緊張感
4. うつ状態・自己評価の低下
5. 仕事・趣味などへの興味消失
6. 倦怠感・エネルギー低下
7. 集中力低下
8. 食行動変化(甘いものを食べたくなるなど)
9. 睡眠障害
10. そのほかの身体症状(乳房緊満感・体重増加・むくみ・頭痛・肩こりなど
◆生理前1週間ごろから症状が出る
これらの症状のうちいずれか、あるいは複数が、排卵後から生理開始前1週間頃に出現して、生理開始後数日の間になくなる場合はPMSが原因である可能性が高いです。
PMSが理由で情緒不安定になっているなと思ったら、無理をせずに身体を労り、バランスのいい食事や適度な運動、十分な睡眠など、健康的な生活を心がけましょう。
◆生理前にひどく気分が不安定になるPMDD
もうひとつは、PMDDです。
こちらは、PMS(月経前症候群)と違って聞き慣れないかもしれませんね。PMDD(月経前不快気分障害)とは、生理前の時期にとくに強く出る精神的症状を指します。
主だった症状は次の通りです。
1. 強いうつ症状
2. 悲しい気分になる、涙もろくなる
3. 気持ちを抑えられないほどイライラする
4. 強い不安を感じる
5. 極度に緊張する
◆まずは普段の生活を見直してみましょう
それぞれの症状がPMSよりも重いので、日常生活、人間関係に支障が出てしまうことが多いです。
PMSもPMDDも排卵後に分泌量が増加する黄体ホルモン(プロゲステロン)の過剰分泌をはじめとした、ホルモンバランスの乱れが主な原因として挙げられます。
規則正しい生活、休息、睡眠時間の確保、適度な運動など、生活習慣の見直しでよくなるケースもあるため、PMDDで悩んでいる人は婦人科医と相談しながら改善していきましょう。
<イラスト/山口正児 文/上野皮フ科・婦人科クリニック 女子SPA!編集部>
【上野皮フ科・婦人科クリニック】
皮膚科・小児皮膚科・形成外科・アレルギー科・美容皮膚科婦人科・婦人科検診を行っている。婦人科には、婦人科の受診が初めてだったり、恥ずかしかったり不安を感じたりする10代の女性を対象にした外来、思春期外来がある。そちらの担当女性医師によってまとめられた『10代の[性の悩み] 白書』を刊行。ほかに更年期外来などもある