この冬食べたい、胃をいたわる「薬膳胃弱鍋」って?

この冬食べたい、胃をいたわる「薬膳胃弱鍋」って?

「ダブル発酵2色スープの『薬膳胃弱鍋』〜ピリ辛味噌と魚介出汁〜」

 これからの季節は、年末年始にむけて飲みすぎ食べすぎが増え、多忙でストレスも溜まりやすくなります。原因はわからないけど「胃がもたれる」「胃がムカつく」なんて人も。それは胃の機能が衰えている「胃弱」かもしれません。

 そこで「胃弱」の改善ポイントをムラタクリニックの村田洋子先生に聞いてきました。

◆「胃弱」の可能性が疑われる症状とは

 さて、「胃弱」とは読んで字のごとく、胃が弱っている状態のことですが、胃の不調と一口に言ってもさまざまですよね。では、どのような症状があると、胃弱の可能性があるのでしょうか。

「『胃が重い』『胃がもたれる』など、常に胃に不快感を持っているのであれば、胃弱の可能性がありますね。胃弱を訴える患者さんの中には、食事量が少ない方や、普段あまり運動をしない人が多いです。デスクワークの人やスマホを見て過ごす時間が長い人も注意が必要です」と村田先生。

 デスクワークや、スマホの長時間操作……現代人であれば、心当たりのある人も多そうです。また、とある医師に向けた調査※で胃弱は「原因が特定しにくく、薬剤で治療をしにくい」とも言われていますが、「さまざまな要因が絡み合って胃弱に繋がっているので、その原因を何か一つに絞ること自体が難しい」(村田先生、以下同)そうです。

◆自己判断で、胃弱を放っておくのは危険

「そもそも胃弱の人は、『昔から胃が弱い』と体質的なものとして考える人が多く、検査をしないまま過ごしてしまう場合があります。また、『仕事が忙しくなった』『苦手な上司がいる』など、原因を環境のせいにされがちなため、治療がすすまないケースもありますね」

 確かに慢性的に痛みを抱えていれば、「どうせ、いつものことだから」と済ませてしまうかもしれませんね。しかし、そこで自己完結しないでほしいと村田先生は続けます。

「胃弱な人は、ピロリ菌に感染していたり、最悪、癌の疑いもあるので、ぜひ検査をしてください」

 たかがと侮っていた違和感が実は重病のサインだということも。最悪の結果を招かないためにも、早い段階で医師にかかることが大切です。

◆日常生活の見直しでできる! 胃弱対策

 医師も治療に手こずると言われる「胃弱」ですが、やはり運動と食事に気を付けることが一番の対策だといいます。

「胃の働きをよくすることが重要なので、体操や運動で積極的に体を動かしてください。そして、寝る前の最低2時間は食事を摂らないようにして、脂っこいものや消化に悪いものは避けましょう。うどんや豆腐などの大豆製品や、胃の粘膜を保護してくれるLG21乳酸菌入りのヨーグルトも胃弱の人にはぜひ食べてほしい食材の一つです。薬膳や漢方なども、自分の体質に合わせて取り入れてみてもいいかもしれませんね。」

※ヒューマン・データ・ラボラトリによる、機能性ディスペプシア(胃弱)の治療経験のある全国の医師350名を対象とした「胃の不調に関する調査(2019年)」より

◆東洋医学の観点から見る「胃弱」とは…

 胃弱の改善に運動や食生活の改善が大切なことが分かったところで、次は食生活の改善にフォーカス。そこで、村田先生のお話の中にもでてきた「漢方や薬膳」のプロである薬剤師の山口りりこさんに話を聞きました。少々ハードルが高そうなイメージがある漢方・薬膳ですが、「漢方も薬膳も、体にいい野菜を食べることくらい気楽に捉えてほしい」と言います。

「まず、東洋医学で『胃弱』は、ストレスやお酒などの刺激物によって胃に熱がこもる『胃熱』が原因の一つだと言われています。外食の増える年末年始は、胃の熱をとる鎮静効果のある食材をとることをすすめています」(山口さん、以下同)

 具体的に、漢方の観点から胃の熱をとるためのオススメの食材を聞いてみると、「ヨーグルト・豆腐・豆乳・貝類・大根」とすぐ手に入りそうなものばかり。「さらに言うなら、ヨーグルトは無糖で酸っぱいものが好ましいです。酸っぱさが気になるようでしたら、はちみつを入れればいいので」とのこと。

 普段の食事をいきなり変えることが難しければ、ハンバーグを食べるときはおろしハンバーグにするなど、普段食べているものに、前述の食材を足すだけでも効果はあるのだとか。これなら、ストレスにはならなさそうです。

◆冬に注目、“発酵×漢方”で胃に優しくおいしい「薬膳胃弱鍋」とは

 山口さんご自身が漢方に魅了されたことからプロデュースした、「薬膳レストランKampo’s (カンポーズ、東京都港区)」では「薬膳鍋」が人気なのだとか。この冬は「薬膳胃弱鍋」も登場しています(2020年2月末まで)。

「冬は気を貯める場所である『腎(泌尿・生殖器系など生命エネルギーに影響する器官)』が弱りやすい時だと、漢方では考えられています。そこで冬限定の『薬膳胃弱鍋』は、健康志向の高まりから大人気の発酵食品を入れた『発酵鍋』と『漢方』を組み合わせました。胃腸にやさしい発酵食品で、腎を養い自然治癒力を高めること(≒エイジングケア)が期待できるんです」(山口さん)

 胃弱対策に、生姜や山椒といった生薬やスパイスを使った辛味噌スープと、魚介出汁にヨーグルトを加えた2色のダブル発酵スープが目を引きます。

「少しパンチが効いた辛味噌と、ヨーグルトが胃腸を元気にしてくれますし、ナツメやクコの実などのスーパーフードも満載ですよ」

 薬膳と聞くと、あまり馴染みもなく苦そうなイメージもあったのですが、実際に食べてみると、ほんのり酸味があり、甘くおいしく、香りも芳香でした。食欲をかきたて、具材を優しく引き立てるスープのバランスが絶妙で、お箸が止まらずペロリと間食。腎を強くすることで、冷えにくい体、老化防止、免疫力向上も期待できるそうです。

◆手羽元があれば、自宅でも簡単「薬膳胃弱鍋」

 そんないいこと尽くしで胃にも優しい薬膳を「自宅でも取り入れたい」という人のために、簡単にできるレシピを山口さんに聞いてみました。

「昆布、貝、海藻類でとった出汁で作る鍋が簡単ですよ。そこに豆乳を入れて、手羽元を入れて煮出してください。老化予防、美肌、美髪のために、骨のついた手羽元は効果があります。そこに、旬のお野菜を入れれば、もう完成です」

 実際に作ってみましたが、本当にパパっと簡単に優しい味のする鍋ができてしまいました!

 みなさんの胃の具合はいかがでしょうか。年末にむけて胃の働きを良くすためにも、胃弱鍋や体に良い食材を積極的にとっていきたいですよね。

<文/瀧戸詠未>

<村田洋子先生 プロフィール>

ムラタクリニック院長。東京女子医科大学を卒業後、同大学の消化器外科に入局し、内視鏡検査を中心にスキルを磨く。「ムラタクリニック」を2003年に開業。消化器内視鏡を中心に診療を続ける。

<山口りりこさん プロフィール>

薬剤師、国際中医師、薬膳師。星薬科大学を卒業後、薬日本堂に入社。漢方や薬膳に魅了され、黒龍江中医薬大学日本校・遼寧中医薬大学日本校にて国際中医師・国際薬膳師を取得。より身近に漢方や薬膳を伝えるべく2015年に薬膳鍋「kampo’s」をプロデュース。他にも飲食店に併設した漢方薬店の運営や商品監修などを手掛ける。

【瀧戸詠未】

ライター/編集者。趣味は食べ歩き・飲み歩き。

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