父が違う子供2人を育てる“選択的シングルマザー”、笑顔で「5人産みたい」

父が違う子供2人を育てる“選択的シングルマザー”、笑顔で「5人産みたい」

昨年末に第2子を無事出産した大塚紗弓さん。今回は精子提供を受けての妊娠でした。

こんにちは、恋愛ジャーナリストのおおしまりえです。

◆選択的シングルマザーという生き方

 子を持ちたいと思う女性であれば、多くの方が自分の年齢と出産時期の目算を立てたことがあるのではないでしょうか。とはいえ「この歳で産みたい!」と思っても、パートナーがいなければ、そして結婚をしていなければ難しいものです。

 そんな状況を跳ね飛ばし、選択的シングルマザーとして2人の子の育児に向き合っているのが、札幌で子育て支援の会社を経営している大塚紗弓さんです(選択的シングルマザー=計画的に、結婚しない妊娠・出産を選ぶシングルマザー)。

 現在、3歳と昨年末に生まれた子の3人で暮らしている大塚さん。2人の父親はそれぞれ異なり、そしてどちらも認知をしてもらっていないそうです。柔軟を通り越して「そんな事出来るの?」とびっくりしながら話を聞くと、想像していた以上の覚悟を感じることとなりました。

◆彼氏に結婚願望なし。それでも諦められない子育て願望

 大塚さんがシングルマザーを選んだのは、当時付き合っていた彼氏がキッカケだったといいます。

「31歳の時、付き合っていた彼と将来について話したら、結婚願望が全く無いことがわかりました。でもその事実が分かった時に、私は結婚がしたいんじゃなく、妊娠・出産がしたいことに気づいたんです。その後も彼のことは嫌いになれないし、彼の子どもなら欲しいと思い、話し合って子作りに協力してもらいました」(大塚さん。以下同)

 彼は子作りには協力的ではなかったものの、なんと1回のトライで妊娠した大塚さん。彼からは認知してもらわず養育費ももらっていないということで、現在は彼が関わりたい範囲での関係を継続しているといいます。

「出産は実家のサポートを受けおこないました。母親教室も母と出席しましたし、立ち会いも母がしてくれて、気兼ねなく出産出来たのはよかったですね。ただ出生届けは彼が出してくれました。認知しなくていいとは言ったけれど、抱いてみたら可愛く思ったりするのかなーって、その時は思いましたね」

 現在は、父親と子どもがたまに顔を合わせることがあるそうですが、今後も認知や入籍といった法律を介した関係は考えていないという大塚さん。筆者が感じたのは、「なんて自分を信じて進む強さのある女性なんだ」という尊敬の念です。とはいえ、心配の声が無かったわけでもないといいます。

「出産前は子どもがいるわけじゃないので、周りからは不安や心配の声が多かったです。でも産んでしまうと、サポートしてくれる方も多くありがたかったです。産んでからの方が、心配を行動に変えてくれるといいますか。

 また出産までは実家に3ヶ月ほど滞在しましたが、毎日色んな人が来てくれたんです。物理的なサポートだけでなく、とてもにぎやかに過ごすことができて、産後うつとは無縁の生活を送れました」

◆第二子は海外で精子提供を受ける予定だった

 経済的な自立が必須とはいえ、かなり自分らしい出産と子育てを第一子で経験した大塚さん。そして気持ちは第二子へと向かいます。

「私の目標は、40歳までに5人の子を持つことなんです。それは養子縁組や里親制度を利用しても良いのですが、シングルマザーではこういった制度は難しいことが多いです。前々から『子を育てたいから結婚するって、何か違うんじゃないかな』って思っていましたから、第二子は精子提供を受けて妊娠することを考えました」

 具体的には、スペインに渡り精子提供を受けることを計画していた大塚さん。ちなみに相手に求める条件は、1番は見た目、そして2番が知性(学歴やIQ等)だったそうです。

「見た目は絶対変えられないし、こだわった方が良いと思いました。元々はスペインに行き、第二子以降はハーフの子をと考えていましたが、コロナでそれが叶わなくなってしまいました」

 海外での精子提供を計画している最中、新型コロナウイルスにより、海外渡航が制限されてしまった大塚さん。1年2年と待つことも考えたものの、時間を無駄にしたくないという気持ちから、国内での精子提供者探しをスタートさせました。

◆そして第二子妊娠へ……

「探し方は凄く地道で、周りの人に『第二子欲しいんだけど、誰か精子提供してくれる人いないかな』ってひたすら声をかけました。もちろんその時も、顔と知性の基準は明確に伝えていました」

 なんとも地道な探し方ですがそうした努力の甲斐もあり、2020年に仕事関係で知り合った男性から精子提供を受けることとなります。この時はシリンジ提供(※)ではなく性交渉での提供。そしてなんと第二子も1回で妊娠し、2020年末に出産を果たします。

(※)精液を容器に入れ、女性自らがシリンジ(注射器)で膣内に入れる方法。

「第二子は第一子の父親とは異なる関係性でしたので、事前に認知や関わり方については話し合いをして決めてあります。私の希望は認知も養育費もいらないし、子育てにも中途半端に関わってほしくないというもので、現在それが叶っています」

 ちなみにこのような関係性で子を授かると、ゆくゆくは遺産や親権の問題で揉める可能性はないのかと疑問が浮かびます。しかし、そういった請求権のカギとなる認知は、本来子の持つ権利です。父親の死後3年以内に認知を求める「死後認知」や、父親が拒否しても子が認知を希望する場合は「強制認知」の申立ても出来るそう。つまり、今の時点では母親の判断で父親から認知されていなくとも、ゆくゆくは子供側の意思で状況を変えていけるのです。

◆選択的シングルマザーになって感じたこと

 第一子・第二子と、自分の理想に近い形で出産と育児を行う大塚さん。前回インタビューの際にも感じましたが、選択的シングルマザーってバイタリティが凄い!

 とにかく明るく、楽しそうに(もちろん大変なこともあると思いますが)子育てについて語る大塚さんですが、選択的シングルマザーとしてのデメリットについて聞きました。

「やっぱり愛と物理的な人手についてはデメリットを感じます。パートナーがいないため、パートナーシップでの愛というものを子どもたちは知りません。

 また子育ては人手があった方がいいし、育児や仕事で抱えた負担を共有できる方がいたらいいなって思う時はあります。でも、それが『=結婚したい』とはなりませんが」

◆「私は幸せ」と言えるメンタルが大切

 選択的シングルマザーには育児を希望通りに出来るメリットがありますが、経済的なパワーも必要です。しかし、それと同じくらい大切なものがあるといいます。

「選択的シングルマザーという生き方について、周りの目を気にされる方もいると思います。こういった問題には結果で見せていくしかないと覚悟を持っています。正直、直接的には言わないまでも、そういう空気を感じる時はあります。でも『それでも私は幸せだ』って言えるメンタルを私が持ち続けることで、子どもにも自然とそれは伝わります。

 選択的シングルマザーは経済的な自立が何より大事と言われていますが、それと同じくらい、外圧を突っぱね、『どれだけ幸せに生きるか』という覚悟も大事。私は今もこれからも、大切にしていきたいです」

 日本においては、まだまだウェルカムではない選択的シングルマザーという生き方。大塚さんの話からは強さをより感じ、今後彼女がどういう選択をしていくのか、同じ女性としても、興味と応援したい気持ちが(なんて言うと偉そうですが)湧くのでした。

【話を聞いた人】

Pegaris合同会社 代表 大塚 紗弓さん

1986年生まれ。子ども専門の言語聴覚士として子育て支援事業の会社を設立。今年は妊娠前から子育てママまで集える女性のためのケアハウスを札幌で設立予定。特技は少ない荷物で子連れ出張に行くこと。

<取材・文・イラスト/おおしまりえ>

【おおしまりえ】

水商売やプロ雀士、素人モデルなどで、のべ1万人以上の男性を接客。現在は雑食系恋愛ジャーナリストとして年間100本以上恋愛コラムを執筆中。Twitter:@utena0518

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