まるで肉!ベジミートが大進化、ハンバーガーにカツ重まで
2021年02月17日 08時02分 女子SPA!

ベジタリアンブッチャーの「ダブルチーズバーガー」
ベジミートが世界中で注目を集めるなか、日本でも扱うお店が増え始めた。しかし、「食べた気がしない」と敬遠する肉食男女も多いはず。そんな読者にこそ味わってほしい!
◆話題のサスティナブルフードの味は?肉好きも唸るベジミート
コロナ禍でライフスタイルを見直す動きが広まるなか、健康や地球の未来を考慮して、食生活を改善した人も少なくないだろう。
そんななか、国連が掲げるSDGs(持続可能な開発目標)の広がりを背景に、ベジミート(代替肉)への注目度が増している。人口増加による食料不足、畜産による温室効果ガスの排出問題などを解決する可能性を秘めた食品として、大きな期待が寄せられているのだ。
しかし、おいしくなければ意味がない。今回は、開発技術も味も進化し続ける代替肉業界において、肉好きも納得するベジミートを出す店を紹介しよう。
◆ドッシリとした満足感があり、牛100%のパティを食べているような感覚
1軒目は近年、増加中のベジタリアンも楽しめるハンバーガー店のなかでも、未来を見据えたコンセプトを明確に打ち出している東京・池袋にある「ベジタリアンブッチャー」だ。
「プラントベース(植物由来)、サスティナブル、ヘルシー&パフォームベターをコンセプトとして、昨年8月にオープンしました。店名にベジタリアンとありますが、菜食主義の方をターゲットにしたわけではないんです。地球環境を考えたライフスタイルをかっこいいと思う若者にこそ、利用していただきたい」(代表取締役社長・村谷幸彦さん)
メニューは大豆タンパクなどを使用した「プラントベースドミート」パティのハンバーガーのほか、チキンナゲットやフィッシュアンドチップスなど種類豊富。さらに低糖質ティラミスや豆乳きな粉アイスといったスイーツも揃うという充実ぶり。
今回トライしたのは分厚いパティが2枚も入ったダブルチーズバーガー。さっそく一口。食感は完全に肉のそれと変わらない。そして何よりも驚くべきはその味だ。ベジミートとは思えないほどのドッシリとした満足感があり、牛100%のパティを食べているような感覚に陥るのだ。
また、本物の牛肉だったら確実に胸焼けしそうだが、こちらの場合、満腹感は満たされるものの胃は重くならないのだ。
料金割引やドリンクバー無料などの特典付きサブスクプランも用意するなど、今の時代に即したサービスも目新しい。
▼ベジタリアンブッチャーの「ダブルチーズバーガー」
大豆タンパクがベースのパティ2枚にチーズも2枚。ボリュームがあり満足度は最強。ビーフに近い味わいがあるが、使用する調味料はすべて植物性。選べるつけ合わせとセットで1480円(税別)
◆目指すは菜食でなく食のダイバーシティ
2軒目は、ヴィーガンのための世界的情報サイト「ハッピーカウ」で2万軒中1位を獲得したという東京・自由が丘の「菜道」。
「店をオープンするにあたって、意識したのはインバウンドです。どんな人種や宗教のお客さんが海外から来ても対応できる、フードダイバーシティを成立させたいと思いました。ヴィーガンじゃない方もおいしく食べられる料理を提供することで、誰もが同じテーブルで食事できる店にしたかった」(チーフシェフ・楠本勝三さん)
メニューに並ぶのは焼き鳥やコロッケ、麻婆豆腐、ラーメン、カツ重などなど。まさに私たちが居酒屋や定食屋で口にしている、馴染みのあるものばかり。
使用するベジミートの材料は“企業秘密”で、主流の大豆ミートではない野菜が原料。しかもメニューごとに使う野菜は替えているという。
まずはカツ重。サクサクした衣に包まれているのは豚肉としか思えないジューシーなベジミートが。特製のソースともよく絡み、五穀米もどんどん進む。平らげたときの満足感は本物のトンカツに匹敵するほどで驚くばかり。
◆ヴィーガン認証を受けたビールで乾杯
次はこんがりと焼き目のついた焼き鳥を頬張る。そのプリッとした弾力は鶏肉そのもの。
野菜から作られた肉の旨味に甘辛いタレと七味の香りが加わって、たまらず口がビールを欲してしまう。そんなときは我慢せず、ヴィーガン認証を受けたビールで乾杯しよう。
先入観でベジミートを避けていた肉好きの方にこそ、ぜひ味わっていただきたい逸品だ。
▼菜道の「カツ重」
衣はカリッ、肉の部分はしっとり、絶妙な揚げ加減のカツが食欲をそそる。特製ソースと相まって完成度が高い。これはもう肉と呼びたい! ご飯が五穀米なのもうれしいポイント。1300円(税別)
◆食品ロスを減らすフードシェアリング
SDGsでも目標12で解決することを提唱している食品ロス問題(食べられるのに廃棄される食品)。
現在、食品製造業では過剰生産防止や賞味期限延長などが検討されている。
一方、外食産業でも新たな試みが。今回取材したベジタリアンブッチャーでは、余った食材を客が無償で持ち帰りできる専用の冷蔵庫を設置。食のサスティナブルを目指している。
今後、日本でも広まるか。
<取材・文/吉田けい 撮影/土居麻紀子>