目が見えない保護猫つむぎさん。「障害も含めて愛おしいんです」

目が見えない保護猫つむぎさん。「障害も含めて愛おしいんです」

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【〇〇さん家の猫がかわいすぎる Vol.5】

 猫の譲渡活動が盛んになっても、障害を持つ猫は飼い主さんが見つかりにくいのが現状。しかし、障害猫の中には持っている障害も含め、惜しみなく愛されている猫ちゃんもいます。ピノワルド工房(@pinowald)さん宅で暮らすつむぎさん(三毛猫/2歳)もそのひとり。

 つむぎさんは生後数週間の頃、カラスらしき生き物に両目を突かれ、かろうじて右目が光を感じられる状態で保護された子。

 当時、ちょうど猫を飼いたいと思っていたピノワルド工房さんは市内の保護猫団体による里親募集サイトで、偶然つむぎちゃんを発見。ご夫婦ともに一目惚れしたため、すぐにメールで問い合わせ、譲渡会で出会い、おうちに迎えました。

◆「この子で本当にいいの?」と言われた。けど……

 目が見えないつむぎさんは一般的には「障害猫」として認識されるため、保護猫団体に問い合わせをした時、「この子で本当にいいのでしょうか……」と言われたそうですが、ピノワルド工房さんは引き取る際に葛藤などは全く抱かなかったと言います。「私たち夫婦は共に障がい者福祉の仕事に携わっているせいか、全盲の子だからどうこうという意識はありませんでした。逆に愛おしいなと思って。」

 そう打ち明けるピノワルド工房さんは障害も含め、つむぎさんを愛しています。「目に障害がある猫、足に障害がある猫、病気がある猫……世の中にはたくさん障害のある猫がいると思いますが、人間のパラリンピックのアスリート選手のように、障害があっても他のことで優れた能力があるのではないかと思っています。」

 現につむぎさんは空間把握能力が優れており、物や壁に頭をぶつけたりすることはなく、飼い主さんの指でじゃれることも。

◆嗅覚もすごいので、猫カフェでの浮気はすぐにバレる

 L字の階段をダッシュしたり車の音を聞きつけて玄関まで迎えに来てくれたりもするそうで、キャットタワーへ登るのもお手のものです。

「嗅覚もすごいかも。猫カフェでの浮気はすぐにバレますし、ご飯を手にした瞬間に駆け出してくる察知能力にも感心させられます。」

 毎日感動と楽しさを与えてくれるつむぎさんは、ピノワルド工房さんにとって大切な家族の一員。

「私たち夫婦は不妊治療でも子宝には恵まれませんでしたが、自分の子どものようにかわいい子に巡り合えたと感じています。」

◆大切な家族が快適に暮らせる配慮を

 穏やかなつむぎさんは太ももの上で、自分の左足を吸ってフミフミする甘えん坊。

 その反面、持ち前の好奇心を活かして時々ハッスルすることも。そんなつむぎさんがより快適に暮らせるよう、ピノワルド工房さんは様々な配慮を行っています。

 例えば、キャットタワーの段差は間隔を狭くし、一番上は手が届く高さに。新しい場所への登り方・降り方を教える時は、手で音を鳴らして誘導。すると、つむぎさんは1日で完璧に記憶。

「自分で冒険しながら空間の把握をしているので、頭がいいなと感じます。部屋のレイアウトを変えても、すぐに順応してくれるんです。」

◆お外が大好きなつむぎちゃん

 つむぎさんは外に出るのが好きなため、天気の良い日は大家さんの許可を得て、アパートの敷地内を散歩。

 四方を網で囲みウッドデッキが設置されたベランダも、つむぎさんにとってお気に入りの場所です。

◆同居の猫ちゃんとも仲良く追いかけっこ

 また、同居猫のいとちゃんとはほどよい距離感を保ちながら、絆を深めている様子。

「最初の頃はビックリしたのか威嚇を繰り返していましたが、慣れてくるといとちゃんのお尻をなめたり毛繕いをしたりしていました。今では仲良く追いかけっこをする日々。時には喧嘩もしますが怪我はなく、どちらかが手を止めるとそこで終了します。」

 なお、つむぎさんはいとちゃんが新しい段ボールの中に入ったり新しい棚の上に乗るなど、新しくやったことは聞き耳を立て把握し、その日の夜にこっそり真似をするお茶目さも持ち合わせているよう。

◆目が見えないこともひとつの個性

「つむぎさんは目が見えませんが毎日新しい活動をし、我が家に楽しいひと時を与えてくれる大切な家族。人間も生きていれば障害になるかも知れませんし、猫も生きていれば障害になるかも知れません。何も変化のない生き物はないのだから、目が見えないことをひとつの個性として受け止めています。」

 ピノワルド工房さんはこれから障害を持つ猫を迎えたいと考えている方や、愛猫が障害を抱えたら……と悩んでいる方にこんなメッセージを贈っています。

「大事なのは、その猫自身を愛せるかどうかなのだと思います。つむぎさんももしかしたら今後、大きな病気や障害を抱えることがあるかも知れませんが、そうなっても家族生活を楽しみたいです。」

 猫を迎えたことで自分自身も救われたというピノワルド工房さん。

 その惜しみない愛を感じつつ、つむぎさんは障害猫としてではなく、「つむぎさん」として、これからも猫生を満喫していくことでしょう。

<文/愛玩動物飼養管理士・古川諭香>

【古川諭香】

愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:@yunc24291

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