秋ドラマ名作ベスト3。木村拓哉、高畑充希らの演技力が光った今クール

秋ドラマ名作ベスト3。木村拓哉、高畑充希らの演技力が光った今クール

(※画像:グランメゾン東京Instagramより)

 2019年10月クールのドラマがすべて最終回を迎えました。そこで、今クールも僭越ながら、わたくしドラマウォッチャーの中村裕一がベスト3を選ばせていただきました。みなさんの評価はいかがでしょうか?

◆第3位 『G線上のあなたと私』松下由樹が脇役を好演

 まず第3位は、波瑠主演『G線上のあなたと私』(TBS系)。

 バイオリン教室で知り合った也映子(波瑠)と理人(中川大志)が繰り広げる、くっつくのかくっつかないのか、まさにG線上とも言える二人の微妙にたゆたう関係性が綴られた本作。

 その恋愛模様もさることながら、印象に残った登場人物が松下由樹演じる幸恵でした。

 介護が必要になってもわがまま放題の義母・由実子(夏樹陽子)と、事なかれ主義で頼りにならない夫・弘章(小木博明)に挟まれ、家に居場所がない彼女。そんな息苦しい日々を過ごす彼女が仲間との音楽によって救われる姿に感情移入した人は多かったのではないでしょうか。

 松下といえば、今井美樹演じる姉から婚約者を略奪する『想い出にかわるまで』(’90年)や、観月ありさとのコンビが抜群だった『ナースのお仕事』シリーズ(’96年〜’14年)など、さまざまなキャラクターを器用にこなし、いまやドラマに欠くことのできない存在。作品を引き締める名バイプレイヤーとして、これからも息の長い活躍をしてほしい女優の一人です。

◆第2位『同期のサクラ』 高畑充希の演技がリアルかつ不思議な存在感

 続いて第2位は、高畑充希主演『同期のサクラ』(日本テレビ系)。

 脚本は遊川和彦。『女王の教室』『家政婦のミタ』『ハケン占い師アタル』といった、近年の遊川作品の特徴とも言えるクールな主人公・北野サクラと、同期入社した4人(橋本愛、新田真剣佑、竜星涼、岡山天音)との10年に渡る交流を描いたこの作品。

 故郷である離島に橋をかけたいという大きな夢を抱き、建設会社に就職したサクラ。その愚直さゆえに、周囲との摩擦や衝突は日常茶飯事。

 しかし、第1話で初めて画面に登場した彼女は、なんと病院のベッドの上でした。理由は後から明らかになるのですが、子どもを助けようとしてバイクとぶつかり、そのまま頭を強く打ち昏睡状態に陥っていたのです。

 物語はそこから10年前にさかのぼり、1話ごとにサクラと同僚たちの姿を追いながら現在の時系列へと進んでいくという、ややトリッキーな構成。第9話でようやくサクラは昏睡状態から目覚めますが、変わらず自分を貫き、理想のために最後まで力強く歩いていきます。

 目的のために決してあきらめずまっすぐに進む、どこかターミネーター的な凄みすら漂わせるサクラ。そんな突拍子もないキャラクターに生命を吹き込み、リアルかつ不思議な存在感を与えた高畑の演技が「私には夢があります!」というセリフとともに非常に心に残りました。

◆第1位 『グランメゾン東京』これぞテレビドラマ!これぞ木村拓哉!

 堂々の1位に輝いたのは、木村拓哉主演『グランメゾン東京』(TBS系)。

 性格には多少クセがあるものの、料理で人を説得する力を持つ型破りなシェフ・尾花夏樹(木村)が、同じくシェフの早見倫子(鈴木京香)と出会い、かの有名なミシュランの三ツ星を目指して仲間とともに突き進む姿を描いた本作。

 当初は木村がこれまで出演したほとんどのドラマのように、完全無欠のヒーロー然とした主人公像が描かれていくと思っていました。しかし、尾花は過去のある事件がきっかけで、仲間だけでなく世界の料理界からつまはじきにされてしまったという、泥まみれの超どん底からのスタートをきります。

 再起をかけた三ツ星へのチャレンジではサポート役に回りつつも、要所要所でピリッとスパイスを効かせ、仲間たちの“持ち味”を引き立てることに徹した尾花。その姿が、俳優として円熟味を増し、次のステージへと突入した木村自身の現在の立場と重なるようで、とても印象的でした。

 とはいえ、第9話のラストで平古祥平(玉森裕太)が見送った引っ越し業者のトラックと入れ違いで、ハーレーにまたがって颯爽と登場した尾花。おもむろにバイクを止め、アップで「1回しか言わねえぞ、祥平、グランメゾンに来い!」と力強く言い放ったシーンは、これぞテレビドラマ! これぞ木村拓哉! と唸(うな)らせる、カタルシスあふれる名シーンだったと思います。

 今クールはドラマのテーマというよりも、それぞれの俳優の魅力に引き込まれる作品が多かったのではないでしょうか。記念すべきオリンピックイヤーとなる2020年、どんなドラマと出会えるか楽しみにして待ちたいと思います!

<文/中村裕一>

【中村裕一】

Twitter⇒@Yuichitter

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