女性看護師が嘆くトンデモ患者たち「殴られるなんて日常茶飯事」

女性看護師が嘆くトンデモ患者たち「殴られるなんて日常茶飯事」

写真はイメージです(以下同)

 理不尽な要求を押し通そうとする客「モンスター客」や「カスハラ(カスタマーハラスメント)」という言葉がニュースやSNSで話題になっています。

「カスタマーだったら来なくなるだけだからラク。正直、患者は切りたくても切れないんですよ」と嘆くのは医療現場で働く人達です。

 彼女達を悩ませるのは、医師や看護師に対して理不尽なクレーム等を要求する患者「モンスターペイシェント」。騒ぐ、暴れる、殴られるは当たり前、モンスター患者に頭を悩ませる医療従事者に取材しました。

◆暴力はしょっちゅう。セクハラも

 まず話を聞いたのは、東京郊外の総合病院に勤務する看護師のMさん(38歳)。勤務歴15年のベテラン看護師のMさん、「長く勤めているとモンスターペイシェントも慣れてくる」と言いますが、困っていることは常にあるといいます。

「正直、暴力を受けるのはしょっちゅうですね。特に多いのは薬を出せと要求してくる患者で、この前も睡眠薬を出せと言われたのですが『それなら再検査が必要ですね』と断ったらスリッパで殴られました。点滴中とかで手が使えない患者だと蹴られたり噛み付かれることもあります。

 でも、もっと理不尽なのはセクハラをしてくる患者です。若い看護師には担当させないのですが、『お尻を拭いてくれ』と要求してきてズボンを脱いで局部を見せられたり。断ったらグーで太ももを思いっきり殴られました。そういうセクハラ患者は男性看護師に下の世話をさせると、すぐに大人しくなりますけれど」

◆脱走して駅前で暴れた人も

 だが、「殴られるだけならまだマシ」と話すMさん。最も対応が困難なのは精神疾患により暴れたり騒いでしまう患者だといいます。

「精神疾患の患者だと暴れることもあります。この前も『薬が足りない』と大暴れした患者がいたんです。病院に置いてある防犯用の刺又を持って暴れていて、私もそれで殴られました。最終的に男性看護師がその刺又を奪い返して押さえつけて、どうにか薬を飲ませて落ち着かせました。

 他には、私はその現場にはいなかったのですが、ご飯を食べる・食べないで看護師と揉めた患者が脱走して駅前で大暴れしていたそうです。病院の悪口をあることないこと叫んでいたそうで、警察まで出てくる騒ぎになっていたそうです。警察も手に負えないので、看護師が安定剤を注射して連れ戻したと言っていましたね……」

◆あの手この手で医療費を踏み倒す

 やはり、大変なのは入院患者なのか……と思いきや、外来患者の中にも「モンスター」は多いといいます。話してくれたのは都内の内科クリニックでパートとして勤めるKさん(32歳)。

「クリニックで割と多いのは最近、問題にもなっている医療費の踏み倒しですね。『薬が効かなかったから金は払わない』と難癖をつけたり、中には『いま手持ちがない』と言ってそのまま来なくなる人も。

 未払い患者には電話や督促状で対応するのですが、中には引っ越して住所が変わるギリギリ前に踏み倒してそのまま姿をくらますという悪質なものもあります。どうしても本人と連絡がつかなくなったら実家や家族に連絡して振り込んでもらいますが……」

◆小児科では親がモンスター化

 また、小児科も併設しているというKさんのクリニックでは患者の親がモンスター化することもあるといいます。

「冬になるとインフルで来院してくるお子さんが多いのですが、診断が出ているのに『明日から旅行なので、明日までに熱を下げる薬もらえないですか』と無理な要求をしてくる親とか。インフルの子供を連れ回すなんて絶対にやめるようにお願いしますけれど……。

 他には『子供が薬を苦いと言って飲まなかった、薬を変えてほしい』というクレームをつけてくる親も。子供用の薬なんて限られているんだから、自分達で服薬ゼリーとか使ってどうにかして飲ませてくれ……という感じですね」

 週刊朝日と医師のコミュニティサイト「MedPeer」運営会社が、現役医師526人を対象に行った「モンスターペイシェントに関する調査(2016年8月)」によると、「暴言や無理難題などの対応に苦慮する患者の診察経験がありますか」の問いに対して、勤務医の53%が「はい」と回答しています。

 病気やケガのときにいつもより気持ちに余裕をなくしたり、気が立ってしまうものです。理不尽な要求を病院に求めていないか、改めて考え直す必要があるのかもしれません。

―シリーズ・モンスター客図鑑―

<文/結城>

【結城】

男女観察ライター。鋭い視点で世の男女を観察し、 夫婦問題からイタい火遊びまで、幅広いエピソードを華麗に紡いでいく。Twitter:@yuki55writer

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