家族がインフルエンザにかかったら…家庭内感染の防ぎかたを医師にきく

インフルエンザ家庭内感染の防ぎ方を医師が解説 「患者を部屋に隔離し湿度を上げる」

記事まとめ

  • インフルエンザの家庭内感染の防ぎ方を池袋大谷クリニック院長の大谷義夫先生が解説
  • 患者を部屋に隔離し、部屋の湿度を50〜60度に保つことが有効だという
  • タミフルなどのインフルエンザ薬を予防で内服するのは高リスクとのこと

家族がインフルエンザにかかったら…家庭内感染の防ぎかたを医師にきく

家族がインフルエンザにかかったら…家庭内感染の防ぎかたを医師にきく

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 全国的に大流行となっているインフルエンザ。飛沫や接触によって感染するため、学校や職場といった人が多く集まる場所だけでなく、家庭内でも注意が必要です。

 とはいえ、家は生活の場なだけに、思わぬところからうつってしまうことも。そこで、正しい家庭内感染の予防策について、女子SPA!編集部スタッフの1人が家族の看病中に実際におこなった事例や、よく聞くウワサをもとに、『止まらない咳を治す!』『絶対に休めない医師がやっている最強の体調管理』など数々の著書で知られる、池袋大谷クリニック院長の大谷義夫先生に伺いました。

◆よくある家庭内感染予防策、効果のほどは?

――次に挙げる方法がインフルエンザの家庭内感染予防に有効かどうか教えてください。

Q1 患者を部屋に隔離して、加湿器で湿度を上げる

大谷義夫先生(以下、大谷)「患者さんを隔離するのは正解です。ただ、お子様の場合は様態の急変や異常行動の心配があるので、大人が傍で見ているようにしてくださいね。部屋の湿度を上げるのも、ウィルスを排除する線毛の活動をよくして喉の免疫を上げるので有効です。湿度は50〜60度を保ってください」

Q2 患者との接触は最小限にしつつ、会話したり患者の部屋に入ったりするたびに、手洗い、うがい、アルコール消毒を徹底

大谷「インフルエンザは飛沫や接触で感染するので、患者さんとの接触回数が少ないほど感染リスクは低くなりますね。ドアノブや手すりなどにウィルスがついていることも考えられるため、接触のたびに手洗いやアルコール消毒をするのも効果的です。

 手洗いは、手のひら、手の甲、指や爪のあいだから手首まで、30秒ほどかけて泡でしっかり洗います。手を拭くタオルは繊維にウィルスが付着している可能性もあるので、家族で共用しないでください。いちばんいいのは使い捨てのペーパータオルです。

 アルコール消毒は、15秒ほどかけて、手全体にしっかりと擦り込んでください。石鹸での手洗いより効果が高いというデータが出ているので、普段はアルコールでこまめに消毒し、患者さんの痰などが着いたときは石鹸で洗うというふうに、上手に使い分けるといいかもしれませんね。

 なお、うがいはインフルエンザ予防に関しての有効性が証明できなかったとしてエビデンスから消えたので、推奨はされなくなっています。一方で、風邪の予防には水うがいが有効と示す論文がでておりますので、外出後のうがいは行った方がいいと考えております」

Q3 患者の触ったドアノブや家具、スイッチなどはエタノールで拭いて殺菌

大谷「これも患者さんが触るつどやったほうがいいですね。インフルエンザウィルスは、衣服などの繊維や紙に付着した場合は8時間ほど、金属やプラスチックなどでは約24〜48時間生存すると言われていて、患者さんが触ってからしばらく経っていても感染するリスクがありますから」

Q4 以前大谷先生に教わったマスクの使い方を徹底。患者も家族もマスクを二重で着用し、まめに交換する

大谷「顔の大きさに合ったサイズのマスクを使い、隙間ができないように装着する。一度外したマスクは再利用しない。マスクの表面に触れないように外して捨てる。マスクを外したあとは手を洗う。という方法ですね。正しく使用しないと効果がないので、この方法は守っていただけたらと思います。

 患者さんがマスクをするのは大前提ですが、家庭という環境下で感染率を下げるためには、ご家族もマスクをするべきです。ただ、2重にしても意味がないので、正しく装着できていれば1枚で十分です」

◆インフルエンザ薬の予防内服は高リスク

――患者の使った食器や衣類などは、家族の物と一緒に洗ってはいけないというウワサは本当ですか?

大谷「これはウワサでしかありませんね。インフルエンザウィルスは経口感染しませんし、洗えば落ちるので、患者さんの使った食器や衣類を一緒に洗ってもうつる心配はありません」

――受験生や妊婦さんなどは、感染予防のために病院でタミフルを処方してもらえるというウワサもあります。予防のためにインフルエンザ薬を飲んでもいいのでしょうか?

大谷「受験生には絶対にダメです!

 日本臨床内科医会発行のインフルエンザ診療マニュアルや薬の添付文書にも、予防内服としての使用は『原則として、インフルエンザウイルス感染症を発症している患者の同居家族又は共同生活者である下記の者を対象とする。 (1)高齢者(65歳以上)(2)慢性心疾患患者(3)代謝性疾患患者(糖尿病等) (4)腎機能障害患者』と明記されています。

 もちろん、患者さんが処方された薬を、患者さん以外の家族が勝手に飲むのもいけませんよ」

――なぜ健康な人が予防内服してはいけないのでしょうか?

大谷「予防内服は発症率を下げますが、完全に防げるわけではありません。みんなが予防で飲んで耐性ウィルスが蔓延したら、それこそ大変な事態になってしまいます。インフルエンザは正しく治療すれば治る病気です。自分のためにも、日本のみなさんの命を守るためにも、インフルエンザ薬を予防目的で安易に服用しないでください」 

(※「産婦人科 診療ガイドライン ―産科編 2014― 日本産婦人科医会」には、「インフルエンザ患者と濃厚接触した妊婦・授乳婦へ抗インフルエンザウイルス薬予防投与は利益が不利益を上回る可能性があると説明する(尋ねられたら)」と記載されています。妊婦は医師と個別に相談する必要があります)

 家族が発症すると、戦々恐々とする私たち。毎日多くの患者さんと接する先生は、どのような予防をしているのでしょうか? 今回お話を聞きながらそんな疑問が湧いたので、次回は「大谷先生医流インフルエンザ予防法」について伺ってみようと思います!

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 ところで、インフルエンザのような高熱はなく、微熱すらないのに、地味に長引く咳に悩んでいる方もいるのでは? そんな方は大谷先生監修の書籍の中に答えがあるかも。実は、長引く咳にはあらゆる原因があります。早期に自分の咳の本当の原因を知り、それに合った正しい対処法とセルフケアをして、咳の悩みから解放されましょう。

<取材・文/千葉こころ>

【千葉こころ】

ビールと映画とMr.Childrenをこよなく愛し、何事も楽しむことをモットーに徒然滑走中。恋愛や不倫に関する取材ではいつしか真剣相談になっていることも多い、人生経験だけは豊富なアラフォーフリーライター。

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