大災害でも生きのびる練習「古新聞の防災グッズ」と「3秒ルール」

大災害でも生きのびる練習「古新聞の防災グッズ」と「3秒ルール」

防災セミナーでの辻直美さん

「ここに来るまでのあいだ、避難経路確認しました? はい、全員死にまーす!」

 満面の笑顔で、ドキリとするセリフを言い放ったのは『レスキューナースが教える プチプラ防災』の著者である、辻直美さん。その言葉に、参加者がハッとする。

 2020年1月12日、啓林堂書店・奈良店で開催された出版記念イベントでのワンシーンです。

 辻さんは国際災害レスキューナースとして、国内外のさまざまな災害現場を経験。さらに辻さん自身も、阪神・淡路大震災、大阪北部地震で2 度被災しています。辻さんは全国で、これまで災害現場で得た知識と体験をもとに、お金をかけずにすぐできる“生き延びる知恵”を紹介する防災セミナーを開催しているのです(1/31日・夜には東京・下北沢でもセミナー予定)。

◆生きのびるために大切なこと

――災害が起きたとき、どうすれば生き延びられる?

辻さん(以下、辻)「何かあったとき、どっちに逃げるのか決めておくことが大事です。人と違う方向に逃げるのは勇気がいります。『自分だけは大丈夫』という災害心理も働きます。でも、そこで素早く判断し、行動できるかどうかで明暗が分かれます」

 著書の『レスキューナースが教える プチプラ防災』でも紹介されていますが、辻さんは「初めて訪れる場所では必ず非常口を確認し、『今ここで発災したら、非常口までどうやって逃げるか』を瞬時に考える」と言います。

 過去に2回の大震災を経験し、さらにレスキューナースとして被災地で活動する中で、自然と身についた習慣だとか。

辻「何もないときに考えておくからこそ、いざというとき適切な行動がとれます。“3秒で決める”が基本です。災害時は、決断の連続です。不安でも、地震がなくても決めていかなくてはいけない。被災地では『どんどん判断しないと、ひとりぼっちになってしまうと感じた』という話を繰り返し聞きました」

 それにしても「3秒で決断」はハードルが高すぎるのでは……と不安に思ったみなさん、大丈夫です。

 今回のイベントでは、この決断力を身につけられる練習方法も伝授されました。

◆日頃から「3秒で決断」を練習する

辻「自販機でどの飲み物を買うか、3秒で決めてください。自販機の前に立ってから『何にしようかな……』と迷うのはやめる! 決められない人はまず『お茶とコーヒー、ジュースのどれにするか』と選択肢を絞る。日頃から練習していると決断のスピードはどんどん上がっていきます」

 慣れてきたら、食事の注文を3秒で決めよう!と辻さんは提案。さらに、「Aランチを注文したあとで、やっぱりBランチが良かったかな」と、後戻りしないことも重要だそう。

辻「注文した後で『ねえ、それおいしい? ひとくちちょうだい』はやらない。それは“戻る”という行為なんです。災害時には“戻る”は禁物。せっかく難を逃れたのに、戻ることで亡くなる人がたくさんいます。普段からAランチを注文したら、Aランチを楽しむ! 決めたらもう迷わないことが大切です」

 さらに、この日のイベントでは「新聞」の活用法を紹介。

◆@落下物から頭を守る

 突然の地震!そんなときは手近にある新聞や雑誌、バッグを頭の上に掲げ、落下物の衝撃を少しでも軽減する。頭から10cmほど離し、手首は90度にキープ、そして脇をしっかり締めるのがコツ。

 2人1組になり、「片方が新聞紙を丸めて叩く、もう一方が新聞紙を使って頭を守る」を実際にやってみると、正しい姿勢/間違った姿勢は一目瞭然。イベント会場ではお互いポカスカたたき合いながら、大盛り上がり!

◆A防寒グッズにする

 そのまま体に巻き付けるより、くしゃくしゃにしたほうが圧倒的に暖かくなる。揉んだりねじったりして繊維をやわらかくした上で体に巻き付け、レスキューシート(100均でも購入可能)やアルミホイル、レジ袋で覆うとポカポカ。朝刊サイズ1枚あれば、スカーフにもなるし、レッグウォーマー、腹巻きにも。

◆Bストレス解消

「つらい」「苦しい」「どうして私ばっかり……!」などの“ブラックな気持ち”を新聞紙にすべて書き出し、ビリビリにちぎる。ちぎった新聞紙はビニール製のゴミ袋に詰め、きっちり結べばボールの完成。ドッジボールやバレーボールとして遊べば、ストレス解消に。これは、レスキューナースが被災者に教えるストレス解消法だそうです。

◆C新聞足袋

 災害が起きたときに足元の安全を確保するには、室内に革製の丈夫なスニーカーを置いておくのがベストですが、心理的に抵抗があるという人も多数。そんなとき、次善の策として役に立つのが「新聞足袋」。強度を上げるためにスリッパや靴の上から履くことも可能。「慣れれば数分で作れるようになります」(辻さん)

 さらに、新聞紙はくしゃくしゃに丸めた後、水で濡らして乾かし、練炭代わりにもなります。また、着火剤にもなり、「災害用トイレ」にも使えて……と、さまざまな場面で大活躍。

辻「新聞はできれば、普段から持ち歩くことをおすすめします。歩き、ちょっと肌寒いなというときに“新聞スカーフ”や“新聞腹巻き”を試してみてください。その経験が、いざというとき、あなたをピンチから救ってくれます」

 冷え込みがまだまだ厳しい今の時期だからこそ、試しやすい新聞アレンジ。「3秒決断!トレーニング」とあわせて、ぜひお試しあれ。

【辻直美さんプロフィール】

国際災害レスキューナース。看護師として活動中に阪神・淡路大震災を経験。実家が全壊したのを機に災害医療に目覚める。看護師歴28年、災害レスキューナースとしては25年活躍。1/31(金)20時〜、東京・下北沢「B&B」でイベント「スープからはじめる防災クッキング入門」を開催する

<文/女子SPA!編集部>

【女子SPA!編集部】

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