セクハラ疑惑まみれの大手下着ブランド、有名モデルが告発した幹部達のやり口とは?

セクハラ疑惑まみれの大手下着ブランド、有名モデルが告発した幹部達のやり口とは?

「世界で最も美しい女性」に選ばれたベラ・ハディッド

 米国発の有名下着ブランド「ヴィクトリアズ・シークレット」のセクハラ体質が、複数のモデルや元従業員によって告発され、波紋を呼んでいます。

◆「お前を生かすも殺すも俺次第!」のとんでも発言

 ヴィクトリアズ・シークレットといえば、 ハデなファッションショーが有名。セクシーな下着姿に羽を付けてランウェイを歩く美人モデルは、通称「エンジェル」と呼ばれます。

 これまで、ジゼル・ブンチェン、ハイディ・クルム、ミランダ・カー、カーリー・クロス、アドリアナ・リマなど、スーパースターを数多く輩出していることから、エンジェルに憧れる若手モデルは多く、本格的な日本進出をしていないにも関わらず、日本女性の間でも認知度の高いブランドです。

 ところが、『ザ・ニューヨークタイムズ The New York Times』(以下NYT)によると、その社風は「セクハラ上等」「多様性NG」の超前時代的なものだったのだとか。幹部男性二人のやりたい放題ぶりが、関係者への取材で報じられています。

 まず名前が挙がったのは、ヴィクトリアズ・シークレットの親会社Lブランズで、ショーのキャスティングデレクターを勤めていた元幹部のエド・ラゼック氏。

「#MeToo」運動や、ありのままの体型を受け入れようとする「ボディポジティブ・ムーブメント」の波が欧米に吹き荒れていた2018年、「プラスサイズやトランスジェンダーのモデルを採用するつもりはない」とコメントし、、時代遅れで差別的だとして散々バッシングを受けていた人物です。

 モデルや元従業員が『NYT』に語ったところによれば、ラゼック氏の、安い時代劇に登場する悪代官のような所業はそれだけではなかったそう。

 あるモデルは「俺にはパワーがある。お前を生かすも殺すも俺次第」と言われたと語り、他のモデルは彼がベラ・ハディッドの着替えを眺めながら、「パンティなんか履くな」と叫んだのを聞いたとか。

 また、ラゼック氏のニューヨークにある自宅での夕食に誘われ、断り続けたところ、ヴィクトリアズ・シークレットから仕事が来なくなったと訴えたモデルもおり、「オーディション中にモデルにキス」「携帯番号を教えることを強要」「膝の上に座るよう指図する」など、多くのセクハラ目撃証言が掲載されました。

 こうした氏の行為は人事部に何度も報告されたそうですが、これまでは何の対応も取られず、むしろ「無視され、厳罰を与えられた」「ハラスメントは日常的なこととして処理された」「まるでみんな洗脳されているみたいだった」と語る従業員も。

 ラザック氏は2019年にLブランズを辞職しているものの、セクハラ・パワハラ疑惑については全面否定を貫いています。

◆100人以上のモデルが陳情書。今年のショーの行方は?

 もうひとりの疑惑の人物が、LブランズのCEOのレスリー・ウェクスナー氏です。

『NYT』によると、あるミーティングで従業員が「ボディポジティブ・ムーブメント」について言及したところ、「太るために美容整形に行く人間はいない」と返答したというウェクスナー氏。未成年売春斡旋の罪で起訴され、公判前に自殺したジェフリー・エプスタイン被告の顧客だったという噂が、まことしやかに囁かれています。

『ザ・ロサンゼルスタイムズ The Los Angeles Times』によると、2019年8月、この腐りきった社風に対して、クリスティー・ターリントン・バーンズやエディ・キャンベルを含む100人以上のモデルたちが、セクハラや性的暴行からモデルを守るよう求める公開文書をヴィクトリアズ・シークレットに提出。

 しかし、度重なるスキャンダル、落ち込む売上の影響を受けて、同年11月にはこれまで開催されるたびにトップニュースになってきた絢爛豪華なVSFS(ヴィクトリアズ・シークレット・ファッション・ショー)までキャンセルされてしまいました。

 今年に入り『ザ・ウォールストリート・ジャーナル The Wall Street Journal』は、Lブランズが現在、傘下のヴィクトリアズ・シークレットの株式売却を検討中で、ウェクスナー氏も代表を辞任する意向であると報道。どうやら本気でブランドの立て直しを図っているようだ、と書いています。

 先日、パリコレモデルの小椚(おくぬぎ)ちはる(27)が、日本人としては初めて同ブランドのキャンペーンモデルに選ばれたことが話題になりました。

 キャンペーンに起用されたモデルは、VSFSにも出演する傾向が高かったということですから、しっかりブランドの立て直してもらって、今年、いや来年くらいには、日本人モデルがヴィクトリアズ・シークレットのランウェイを歩く姿を見せてもらいたいですね。

Sources:「The New York Times」「The Angeles Times」「The Wall Street Journal」

<文/橘エコ>

【橘エコ】

アメリカ在住のアラフォー。 出版社勤務を経て、2004年に渡米。ゴシップ情報やアメリカ現地の様子を定点観測してはその実情を発信中。

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