アメリカの若者「親との同居」が急増…選択せざるを得ないインフレ事情をニューヨークZ世代が明かす

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AIざっくり要約

  • Z世代のアメリカの若者がインフレで生活費が高騰する中、親と同居する人が2,300万人に上り過去最高となった。
  • ラボメンバーは親と同居するメリットとして食費や家賃の節約、食事の提供を挙げたが、独立する機会が減少している現状も述べた。
  • シェリーは経済状況の厳しさが若者の暮らし方や働き方を変えており、その点を引き続き伝えていきたいと結んだ。

実験的な機能のため、正確性を欠く可能性があります。記事本文と併せてご確認ください。

Cartoonがパーソナリティを務めるinterfmで放送中のラジオ番組「sensor」(毎週金曜19:00-22:00放送)。番組コーナー「NY Future Lab」では、これからの時代の主役となる「Z世代」と「ミレニアル世代」にフォーカス。アメリカの若者たちが普段何を考え、何に影響を受け、どのような性質や特徴があるのかなどについて、Z世代・ミレニアル世代評論家のシェリーめぐみが座談会形式で彼ら、彼女らの本音を引き出していきます。

今回のテーマは、「Z世代はなぜ親との同居を選ぶ?」。「NY Future Lab」のメンバーが、アメリカの若者がなぜ親と同居するのかを考えました。

※写真はイメージです


◆親と暮らすアメリカの若者が増えている?

前回の放送では、インフレによる住居費と食費の高騰で、食べ物さえ節約するアメリカのZ世代の話を聞きました。こうした厳しい状況のなか、アメリカの若者が選んでいるのは「親との同居」です。

世界の最新金融情報を届けるブルームバーグ・ニュースの調査によると、アメリカの18歳から29歳の45パーセントにあたる約2,300万人が家族と同居。過去80年間で最高の数字で、そのうちの6割は過去2年間に親元に戻ったと答えています。

ラボのZ世代6名のうち、親と同居しているのはミクア、シャンシャン、メアリー、ヒカルの4人です。ミクアとシャンシャンは医大生。働き始めたメアリーと夫のヒカルは、ともにメアリーの親の家に住んでいます。

まずは、親と暮らすことで得ていると感じるメリットを聞きました。

シャンシャン:母が食事を作ってくれるのがありがたい。食費を節約できるし、その代わり家賃には少しだけ貢献している。特にありがたいのが、昼食代を節約できること。私はアルバイトをしているから街でお昼を食べることがあるけれど、一食が20ドル(約3,000円)もする。さらには移動にも交通費としてお金がかかるから、家にいることで節約できて本当に感謝している。

ミクア:母は家族みんなのために食事を作ってくれるので、お金を使う必要がないのが嬉しい。母が作る料理はおいしいし、本当に助かっている。

メアリー:結婚してもなぜ親と一緒に住んでいるかというと、家賃を払いたくないから。銀行にお金を貯めたい。しかも、正直洗脳されているかもしれないけど、家を借りるのではなく、買いたいんだよね。

ノエ:でも、家を購入するには多くの手数料がかかるよ。住宅ローンを支払わなければならないし、維持するのも大変でしょう? たとえば、10年後にその地域が洪水に見舞われて引っ越ししたい場合、家を売らなければならない。賃貸ならいつでも引っ越せるよ。

メアリー:もちろん、賃貸のほうが簡単なのはわかっている。でも、私は自分のお金が何かしらの意味を持ってほしい。家賃のように他の誰かのポケットに収まるだけでは嫌なんだよね。だから、頭金を貯めようと思っている。でも、正直に言うと実際にお金をどれだけ節約できているのかどうか、わからないんだけどね。

ケンジュ:賃貸料の代わりに家を買えば、売るときにお金を取り戻せるので、実際には節約していると言えるのかもしれないね。でも、多くの人が親と住んでいる主な理由は、生活費が上がっているのに収入がその生活費の増加に追いついていないことだよ。

だからお金を貯めなきゃというプレッシャーが大きくなって、家族と一緒に住むんだと思うな。僕は一人暮らしだけど、正直に言うと、事情が許せば親と住んでお金を貯めるほうがいいと思っているよ。

親と暮らす大きな理由として、生活費の節約と答えるラボメンバーたち。ほかにも、忙しい生活のなかで親が料理、掃除などの家事をしてくれることが助かるとも話していました。

日本と違い、アメリカでは成人すると親元を離れて独立するのが当たり前で、二世帯住宅の文化もありませんでした。生活費が上がっているのに収入が追い付かないとケンジュが話すように、やむなく親との暮らしを選択せざるを得ない若者たちが増加している現状があります。

(左から)ミクア、シェリー、ヒカル、ノエ、シャンシャン、メアリー/©NY-Future-Lab


◆学業とアルバイトの両立が難しい時代になった

かつて、アメリカ人は親と同居する成人を“失敗者”と見下す傾向がありました。1990年代には、日本の若者が親と同居することを「パラサイト」と呼ぶメディア記事も登場しています。

学生の立場ではアルバイトという選択もありますが、ラボメンバーはどのような考えを持っているのでしょうか?

ミクア:私もアルバイトができたらいいのにとは思っている。以前、学校と仕事を両立しようと頑張ったけど、スケジュールだけでなく、体力的にも大変すぎた。仕事をして医学の勉強をして、さらにボランティア活動をするのはつらい。それが、仕事がうまくいかなかった理由なんだよね。もし仕事をするとしても、パートタイムしかできない。それが、多くの人が親と同居する理由だと思う。

みんなが特権的な家庭の出身とは限らないしね。私と同じ医学プログラムに通っている学生のなかには、キャンパス近くのアパートに住んでいる人もいる。私の母は「あり得ない。どうやって家賃を払っているの?」と驚くけれど、彼らの親はお金持ちで、医者になるための投資として家賃を払っているんだよね。

メアリー:以前は夏のアルバイトをすれば、大学の授業料を支払うことができた時代もあったんだよ。今ではそれも不可能になってしまったよね。

シェリー:だから、親と同居しているのは、決して失敗ではないということだよね。

メアリー:失敗とは言えないと思う。

ノエ:もちろん、困難な状況から出発して成功を収めた人々もいるよ。でも、それはごく一部の人々に過ぎないんだ。多くの人は、単に「一生懸命働けばいい」と言う。だけど、実際には特権的な家庭から出ている人は、親が家賃を支払ったり、大学入試のために家庭教師を雇ったりしている。そうやってハーバード大学に入学させたりするのは、白人がほとんどだからね。単に一生懸命働けば成功できるわけではないよ。

ケンジュ:これからの人生の計画を考える場合、前の世代に比べてはるかに困難になっている。だから、「もし、まだ両親と一緒に住んでいるなら、あなたは失敗だ」と言う権利はないよ。

かつて、アメリカでは夏にアルバイトをしながら学費や家賃を払って大学を卒業する時代がありました。Z世代評論家のシェリーは「今は学費から生活費まであらゆるものが値上がりしています。アルバイトをしていても、またはルームメイトがいても大変だから親との同居を選ぶんです。それしか選択肢がない人も少なくないと思う」と分析します。

アメリカでは学費の値上がりも大きく、1970年代に比べて今の学費は20倍以上に値上がりしています。新卒の平均年収は5万6,000ドルと、額面では1970年代の8倍ですが、インフレ率を考えると価値はむしろ下がっています。

日本では20代の独身者の約6割が親と同居しています。世界的なインフレの広がりによって、物価上昇や値上げが続く昨今。Z世代の将来設計はますます困難を極めていくでしょう。そうしたなか、親との同居は対策の1つと言えます。

ラボメンバーの話し合いはこのあとも過熱しました。シェリーは「厳しい経済状況は彼らの暮らし方だけじゃなく、職業観から働き方までも変えているんですよ。その辺りを引き続きお伝えしたいと思います」と最後を締めくくりました。

<番組概要>
番組名:sensor
放送エリア:interfm
放送日時:毎週金曜19:00-22:00放送
出演:Cartoon、シェリーめぐみ
番組Webサイト: https://www.interfm.co.jp/sensor/
特設サイト:https://ny-future-lab.com/

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