北朝鮮の電車「主体号」 先頭車はまるで日本の「こだま型」 さらに謎の電車も

北朝鮮の電車「主体号」 先頭車はまるで日本の「こだま型」 さらに謎の電車も

回送で平壌駅に進入する「主体号」を連続して撮影したカット。画面左側が平壌駅(2001年、伊藤真悟撮影)。

客車列車が中心の北朝鮮にも電車が存在します。そのひとつが「主体号」と呼ばれる電車です。先頭部はボンネットタイプで、どことなく日本の181系や485系のボンネット型車両に似ています。

1本だけ製造された「主体号」

 北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)では、旅客列車は地下鉄や路面電車を除いて客車列車が中心です。そのようななか、1976(昭和51)年頃に「主体(チュチェ)号」と呼ばれる電車が登場しました。正確な登場年は不明ですが、同年9月14日に北朝鮮郵政出版社が発行した切手には「主体号」が絵柄となっています。

「主体号」は4両編成で先頭部はボンネットスタイル、1本だけ製造された電車です。登場当初は運転台部分こそブルーの塗装ですが、車体全体はクリームと赤帯の塗装で、日本の181系特急形電車や485系特急形電車などの「こだま型」を連想させる姿となっています。

 北朝鮮の鉄道は電化方式が直流3000Vですが、「主体号」は直流3000Vと交流2万5000V(60Hz)の2電源対応車になっているとのことです。韓国の鉄道が交流2万5000V(60Hz)のため、韓国への乗り入れも視野に入れていたのではないかと言われています。

「主体号」は何度か塗装が変わっていますが、2001(平成13)年時点では車体上部がブルー、下部がグリーンのツートンカラーを基調に窓の上下に黄色いラインが入っています。さらに前頭部には白地に赤帯もあります。科学者専用の通勤列車として首都・平壌と平壌直轄市の「山店(ペサンジョム)の間で1日1往復運転されていました。

 登場当初は4両編成だったものが、2001年時点では5両編成に。中間車のうち2両は客用扉が車端部ではなく車体の中心寄りの配置です。パンタグラフは「山店側から2両目の屋根上に1基搭載されています。

 当然のことですが、一般の人や海外からの観光客は「主体号」に乗車することはできません。そのため、車内がどのようになっているかは今もって不明です。

経歴不明な外吊り式扉の電車

 北朝鮮にはもうひとつ謎の電車が存在します。首都・平壌近郊には「鉄道省革命事績館」という、日本で言えば鉄道博物館のような施設があります。その「鉄道省革命事績館」の展示資料でその電車が写真で展示されていました。

 先頭部はボンネットではなくて前面2枚窓。客用扉は日本のキハ35系ディーゼルカーと同様に外吊り式です。6両編成で、そのうち2両にパンタグラフが搭載されています。

 この電車に関しては車内と運転台の写真も展示されており、その写真を見ると座席は背もたれが前後に移動する転換式クロスシートのようです。しかし、いつ頃製造されたのか、どの路線で運転されたのかといった情報は得られず謎となっています。もしかしたら試作電車だったのかもしれません。

 ちなみに北朝鮮では、第三軌条方式の平壌地下鉄で使用した車両を改造し、パンタグラフを搭載して平壌近郊で運転されている例もあります。

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