山手線だけじゃない鉄道の「環状線」どこにある? 行先案内もさまざま 惜しい例も

山手線だけじゃない鉄道の「環状線」どこにある? 行先案内もさまざま 惜しい例も

日本唯一の環状運転を行う名古屋市営地下鉄名城線(画像:名古屋市交通局)。

日本には山手線や大阪環状線のほかに、都市内を一周する鉄道路線がいくつかあります。それらの「行先案内」は、どう表されるのでしょうか。実は、いくつかのパターンが見られます。

ぐるぐる周る回る「だけ」じゃない?環状線いろいろ

 鉄道において、山手線のような環状路線が国内にはいくつかあります。

 環状運転には、ターミナル駅の設備や列車の折り返し作業が不要といったメリットがあります。しかし、環状線は大都市を中心にいくつか見られるものの、日本においては、さほど多くないといえるでしょう。

 今回は、山手線や大阪環状線以外の様々な環状線や、それに類する路線を紹介します。

名古屋市営地下鉄名城線

 日本の地下鉄で唯一、全線が環状になっており、かつ「環状運転」を行っているのが名古屋市営地下鉄名城線です。

 名城線はもともと名古屋市営地下鉄2号線として、名古屋港〜大曽根間でいったん全通しました。金山〜新瑞橋間は4号線という別路線で、こちらが支線の扱いでしたが、2004(平成16)年に名古屋大学〜新瑞橋間が開業したのを機に、栄〜大曽根〜金山〜栄と一周する現在の名城線が成立。同時に環状運転が開始され、金山〜名古屋港間は「名港線」の名称で支線扱いになりました。

 日中は基本的にぐるぐる回り続けますが、ラッシュ時の後に車庫への入庫を兼ねたナゴヤドーム前矢田止まりや大曽根止まりがあるほか、名港線から乗り入れた列車が名城線を一周し、大曽根止まりになるといった運用もあります。

ディズニーリゾートライン

 日本のモノレールで唯一の環状運転が行われているのが、舞浜リゾートラインが運営するディズニーリゾートラインです。

 2001(平成13)年、東京ディズニーシーの開園に合わせて開業。JR京葉線の舞浜駅と、ディズニーリゾートの各テーマパークやホテルエリアを連絡しています。

 1周5.0km、全線が単線です。このため双方向ではなく、反時計回りで6両編成の列車が4〜13分間隔で運行されています。なお自動運転が行われており、運転士は乗務しません。

 この路線は、ディズニーリゾート利用者を主な対象として作られましたが、全線が園外の公道上を走っており、休園日も運行が行われます。

路面電車や「惜しくも環状ではない」路線も

 比較的小回りが利く路面電車が、環状運転を行っている例もあります。また、経路の一部がループではなく棒状のため、惜しくも環状線とは言えない路線もあります。

札幌市の路面電車

 札幌市交通事業振興公社が運営する路面電車は、札幌市街地の南西部を1周60分弱で環状運転しています。ラッシュ時や早朝深夜以外は基本的にグルグル周り続け、すすきのをはじめ、夜景が有名な藻岩山の山麓や中央区役所など広くカバーしています。

 かつて札幌市の四方へ路線網が張り巡らされていた札幌市電ですが、地下鉄の開業とともに、ほとんどが廃止。残ったすすきの〜西4丁目間は「C」の字状で、折り返し運転が行われていました。2015(平成27)年にすすきの〜狸小路〜西4丁目間が開業し、ループ路線になるとともに環状運転が始まりました。

 路面電車は、かつての大都市では当たり前に見られたもので、京都や大阪、名古屋、函館、仙台、横浜といった都市で市電の環状運転が行われていましたが、モータリゼーションの進展とともに廃止されていきました。

富山地鉄市内電車

 富山地鉄の市内電車は、富山市街地から富山大学前・南富山駅前・岩瀬浜へ向かう路線、そして市内をループ状に結ぶ路線があります。そのループ線を走る3系統の環状線は、富山駅を発着し、国際会議場や大手モールを経由して、再び富山駅に到着。日中は30分間隔で、基本的に周回を続けます。

 環状運転ですが、経路は富山駅付近で数十mほど棒線となるので、厳密に言うと環状線ではなく、惜しくも「しゃもじ状」といえます。

 このような「しゃもじ状」の路線は国内に多く、山万ユーカリが丘線や伊予鉄の市内電車、神戸のポートライナーの一部系統が挙げられます。

環状運転の「行先」どう表現する?

 環状運転をする電車には明確な「終点」がありません。このため、行先表示には様々な表現が見られます。

 山手線では「外回り/内回り」という“回り方”の表現のほか、駅の案内放送や英語表記など「新宿・渋谷・品川方面」といった行先に類する表現が組み合わされています。

 大阪環状線ではかつて乗り場の番号を使わず「外回り線/内回り線」という表記が使われていましたが、2000年代後半に順次「〇番線」といった一般的なものに変更。また駅の行先案内などでは、環状運転の列車については「環状」と表示されていたものの、2019年に山手線と同じ「京橋・鶴橋方面」といった表記に変更されました。しかし車両の方向幕では、新型車両である323系電車のLED表示でも「大阪環状線」の表記は残っています。

 札幌市電は「外回り循環/内回り循環」という表記で、英語では「Outer loop/Inner loop」となっています。

 特異なのが名古屋市営地下鉄名城線で、国内唯一の「右回り/左回り」という表記が使われ、車内でも「この電車は、栄・大曽根方面、名城線右回りです」といった表現で放送されます。なお、英語表記は「Clockwise(時計回り)/Counterclockwise(反時計回り)」となっています。

 最後にディズニーリゾートラインの場合ですが、一方向に回り続けているため、駅の案内板にも車両にも「行先表示」そのものがありません。

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