停電で地下鉄ストップ でも「動かせます」 暗闇の線路歩かず避難可能にする東京メトロ

停電で地下鉄ストップ でも「動かせます」 暗闇の線路歩かず避難可能にする東京メトロ

異常時想定訓練の様子。停電時は電車を降りて線路を歩くことになるが、非常用バッテリーにより最寄り駅まで列車走行が可能に(画像:東京メトロ)。

地震などで停電すると電車は止まります。乗客は線路を歩いて駅まで避難することになりますが、東京メトロは停電しても列車が最寄り駅まで走れるよう非常用バッテリーの設置を進めています。

銀座線は全40編成にバッテリー搭載

 大地震などで停電すると、電気で走る電車は止まります。こうなった場合、安全の確認後、乗客は電車から降りて最寄りの駅や線路沿いの道路まで歩いて移動することになります。

 しかし東京メトロの場合、線路は暗く足元の悪いトンネル区間が大半。歩いての避難にも危険がともないます。そこで同社は、停電で止まった列車が最寄り駅まで自力で走れるよう、2種類の非常用バッテリーの導入を進めています。

 銀座線や丸ノ内線では「非常用車上バッテリー」の搭載が進んでいます。車両の床下に設置するタイプのバッテリーです。平常時は電力供給源の第三軌条(サードレール)などから充電していますが、非常時はこのバッテリーから電力を供給し列車を駅まで走らせます。

 銀座線は1000系電車全40編成で搭載が完了。丸ノ内線は2019年の新型2000系電車の導入にあわせて搭載が始まり、2021年2月末現在、31編成で搭載が完了。2023年度中には全52編成で搭載が完了する計画です。

 一方、銀座線・丸ノ内線以外の路線では他社と直通運転を行っています。複数事業者の様々な車両が走るこれらの路線では、全車両に非常用車上バッテリーを搭載するのは困難です。そこで、「車上搭載」とは異なる方法でバッテリー走行をさせる対策が進んでいます。

停電時は「地上バッテリー」で走らせる

「車上搭載」が難しい路線で採用されているのが、「非常用地上バッテリー」です。文字通り車上ではなく「地上」に設置するこのバッテリーは、都心から少し離れた4か所の変電所にあります。東西線に電力供給する葛西変電所と行徳変電所、日比谷線の千住変電所、千代田線の綾瀬変電所です。2016年から2017年にかけて設置されました。

 この4か所には共通点があります。それは「電力を供給する区間に長い橋がある」ことです。それぞれ受け持ちの区間には、荒川や隅田川、江戸川を渡る橋があります。

 停電により列車が長い橋の上で止まってしまうと、通常の区間よりさらに足元が悪く危険な橋上の線路を歩いて避難することになります。こうなることを避けるため葛西・行徳・千住・綾瀬の4か所が選ばれたのです。

 変電所に設置された非常用地上バッテリーは、平時は列車の減速時に生まれる回生電力を蓄えつつ、加速する列車をアシストして省電力化に貢献。非常時は架線(線路の電線)に電力を供給し、橋上や駅間で止まってしまった列車が最寄り駅まで自力走行できるようにします。

 なお、非常時を想定したバッテリー自走システムは、2020年7月に営業運転を開始した東海道新幹線の新型車両N700Sにも搭載されています。

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