全国「2021年度事業スタートの新道路」 首都圏・近畿圏の2大プロジェクト始動

全国「2021年度事業スタートの新道路」 首都圏・近畿圏の2大プロジェクト始動

外環道の千葉区間でランプだけすでに準備されている北千葉JCTに、北千葉道路が接続する(中島洋平撮影)。

2021年度も、多くの道路整備事業が国の認可を経て始動します。今回は首都圏と近畿圏の都市部で2大プロジェクトが始動するほか、地方の高速道路もさらに整備が推進されます。

首都圏と近畿圏で2大プロジェクト始動

 2021年度も、多くの道路整備事業が国の認可を経て始動します。今回は高速道路(高速自動車国道、自動車専用道路)を中心に、新規事業として採択される主なものを紹介します。

北千葉道路「市川・松戸」

・区間:千葉県市川市〜同
・延長:3.5km
・全体事業費:約1900億円

 外環道と成田空港を最短で結ぶルートとして計画されている北千葉道路は、北総線および成田スカイアクセス線に沿う鎌ケ谷市から成田市にかけての29.5kmが開通済みで、そこから成田空港付近までの3.7km区間も建設が進められていますが、都市化が進んだ鎌ケ谷市以西が事業化されていませんでした。今回事業化されたのはその一部、外環道「北千葉JCT」から市川市大町までの区間です。

 建設されるのは、自動車専用部1.9kmと、一般部3.5km。うち専用部は有料道路となる見込みで、国分川の段丘や住宅地などを貫通することから、約1.1kmのトンネル区間が設けられます。一般部は地上に4車線道路が構築されます。

 この未開通区間の都市計画決定は昭和40年代に済んでおり、千葉県は、残る未事業化区間である市川市〜船橋市の11.5kmについても早期事業化を要望しています。

名神湾岸連絡線

・区間:兵庫県西宮市〜同
・延長:2.7km
・全体事業費:約1050億円

 名神高速を終点の西宮ICから海側へ延伸させ、阪神高速5号湾岸線に連絡させる事業です。並行する阪神高速3号神戸線と国道43号に集中している交通を、湾岸線に分散させる目的があるほか、兵庫県は「関西3空港(神戸、伊丹、関空)の一体運用、阪神港等の物流拠点へのアクセス改善に資する」としています。

 現状で、名神の西宮料金所を利用する商用車の約6割が港湾地域を発着地とする交通であるものの、その多くが渋滞している阪神高速3号神戸線を利用せざるを得ず、物流の速達性や定時性が課題であったそう。名神湾岸連絡線の事業評価書では、このような物流における整備メリットが主に挙げられています。

札幌のど真ん中に地下トンネル

 地方においても、事業化されていなかった区間のプロジェクトが動き出します。

国道5号「創成川通」

・区間:札幌市東区〜中央区
・延長:4.8km
・全体事業費:約1200億円

 札樽道の札幌北IC付近から南へ、札幌駅を経て都心部に至る創成川通(国道5号)に地下トンネルの別線を通す事業です。既存道路の混雑を解消し、札幌都心部と高速道路のアクセス性を高める目的で、2030年に予定されている北海道新幹線の札幌延伸を見据えています。

旭川紋別自動車道「遠軽上湧別道路」

・区間:北海道遠軽町〜湧別町
・延長:13.8km
・全体事業費:約300億円

 2019年に道央道の比布JCTから遠軽ICまで、およそ100kmの区間が全通した旭川紋別道。遠軽からさらに北の上湧別IC(仮称)までの区間も事業化されます。計画上の終点であり、ホタテの漁獲量で全国トップクラスのオホーツク海沿いの紋別まで、一歩近づきます。

新庄酒田道路「戸沢立川道路」

・区間:山形県戸沢村〜庄内町
・延長:5.8km
・全体事業費:約220億円

 新庄酒田道路は山形県新庄市から日本海沿いの酒田市に至る計画の約50kmの道路で、鉄道の陸羽西線に並行します。今回の戸沢立川道路は6つ目の事業化区間です。現道である国道47号が狭く、急カーブがあるなど脆弱な一方、酒田港から内陸へ向かう貨物車の8割が同国道を通っていることから、そのバイパスが必要とされています。

石巻新庄道路「石巻河南道路」

・区間:宮城県石巻市〜同
・延長:7.8km
・全体事業費:約210億円

 石巻市から内陸へ、秋田県を目指す国道108号のバイパスのひとつです。石巻市と山形県新庄市を結ぶ石巻新庄道路の構想があり、その一部になる見込みです。宮城県によると、石巻市では東日本大震災以降に工業団地や市街地が沿岸部から内陸部へ移転したため、沿線地域の人口・従業者数が増加し、交通需要は震災前の約3割増になっているそうです。

延びるぞ山陰道! 中部〜西日本

 中部から西日本にかけても新道路が事業化されます。

西知多道路「長浦〜日長」

・区間:愛知県知多市〜同
・延長:1.6km
・全体事業費:約300億円

 西知多道路は伊勢湾道と名二環、名古屋高速が接続する東海JCTから、知多半島の西海岸沿いを常滑市までつなげる計画の道路で、整備することで半島の中央部を貫く知多半島道路とともに、名古屋方面と中部空港を結ぶ道路をダブルネットワーク化する狙いがあります。

 名古屋寄りの区間は、既存の西知多産業道路の自動車専用部を拡幅、常滑寄りの区間は自動車専用道を新設する形で事業が進められていますが、その両区間をつなぐ区間が今回、事業化されました。鉄道や鉄塔などのインフラが近接しており、施工にあたっては高度な技術が求められるとされています。

山陰自動車道「益田・田万川道路」「大井・萩道路」

●益田・田万川道路
・区間:島根県益田市〜山口県萩市
・延長:7.1km
・全体事業費:約370億円

・●大井・萩道路
・区間:山口県萩市〜同
・延長:11.1km
・全体事業費:約660億円

 鳥取市から山口県下関市まで日本海側を結ぶ山陰道のうち、未事業化区間の多い山口県内で新たに2区間が事業化されます。萩市の旧須佐町、旧田万川町には高次医療機関がなく、島根県益田市の病院への搬送が年270件ほどあることから、脆弱な現道である国道191号に代わり速達性と確実性を向上させる道路が必要とされています。

熊本天草幹線道路「宇土三角道路」

・区間:熊本県宇土市〜宇城市
・延長:13.5km
・全体事業費:約750億円

 熊本天草幹線道路は熊本県の宇土半島から天草諸島をつないで天草市に至る計画延長約70kmの道路です。今回の事業化により、宇土半島側は全線事業化となります。周辺は集中豪雨による土砂災害や路面冠水が頻発し、現道である国道57号の通行止めで天草地域への道路が寸断し孤立する事象が、過去15年で3回発生していることから、代替路が求められています。

九州横断自動車道延岡線(九州中央自動車道)「高千穂雲海橋道路」

・区間:宮崎県高千穂町〜日之影町
・延長:13.5km
・全体事業費:約750億円

 九州中央部を東西につなぐ計画の九州中央道のうちの1区間が事業化。これにより熊本県山都町(旧蘇陽町)から宮崎県五ヶ瀬町、高千穂町を経て日之影町までの区間が全て事業化されました。

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