バスの運転席後部にある「急停車にご注意」ランプ いまではほとんど見られないワケ

バスの運転席後部にある「急停車にご注意」ランプ いまではほとんど見られないワケ

数を減らしつつある「急停車にご注意」の表示灯(乗りものニュース編集部撮影)。

運転席後ろに設置されている「急停車にご注意」などと書かれた表示灯が、最近数を減らしています。LCDディスプレイなどに置き換わる中、存在意義はどう変化しているのでしょうか。

方向指示器や降車ボタンと連動するものも

 少し前の路線バスの車内には、運転席背後の仕切りの上に「急停車にご注意」や「つぎ止まります」といった表示灯があるのを目にした方も多いでしょう。

「急停車にご注意」は車両のブレーキに連動して点灯し、方向指示器と連動して「左」「右」の部分が点滅する機種もありました。同様に「つぎ止まります」は、降車ボタンと連動して点灯していました。

 これらが最近、姿を消しつつあります。LCD(液晶ディスプレイ表示器)に置き換わった場合もあれば、何も設置されず仕切り板だけがあることも。なぜ「急停車にご注意」といった機器は新たに設置されなくなったのでしょうか。

「停車注意灯」という名称でこれらの機器を生産するレシップの広報は、「新規発注数はここ10年から20年で、かなり少なくなっています」と話します。

 代わりに導入が増えているLCD表示器では、常時から「急停車する場合がありますのでご注意ください」という主旨の注意喚起を行う表示オプションがあります。しかし、古くからある「ブレーキと連動して注意喚起を行う」というものは、LCD表示器での実装事例は「あまりない」とのこと。

 その理由については、先述のLCD表示器や車内放送での常時の啓発が普及したことに加え、同じくレシップの広報によると「この製品が販売開始された1970年頃に比べ、道路の路面状況が向上していること、バス業界全体で車内事故に対する意識が高まったこともあるかもしれません」とのことです。

「つぎ止まります」の表示灯が減った背景については、「降車ボタンは元々ブザーが鳴るだけだったため、耳の不自由なお客様は次のバス停に止まるかどうかが分かりませんでした。そのため、ボタンが押されると点灯する表示灯が設置されていましたが、1973年頃から降車ボタンそのものが光るようになったため、少なくなっていきました」(レシップ広報)ということだそうです。

バス事業者の考えは

 バス事業者側は「急停車にご注意」の表示灯が減る背景をどう見ているのでしょうか。

 都内を中心に路線バスを運行するバス事業者の広報は「運転席裏の表示灯は、停車中も含め急ブレーキ以外の場合も点灯すること、点灯した時点で既に急停車の衝撃が起こっていることから、注意喚起としては決定的なものではありません」と話します。また、近年のバスの車内は昔に比べて手すりが多いこともあり、「後部のお客様には表示灯が見えない」という問題も。

 同広報は「より車内全体に注意喚起できる方法として、『急停車する場合がありますから手すりにおつかまりください』と音声放送を行っているほか、最前部のLCD表示器でも同様の内容を表示し、常に安全なご乗車をお願いしています」とのこと。

「急停車にご注意」の表示灯が減ったのは、技術の進歩に伴い、より効果的に注意喚起を行える機器が開発され、役割がそれらに引き継がれていったというのが一番の理由かもしれません。

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