SNS時代に注目「映える廃線」3選 渓谷 竹林 100年前のトンネル… 歩いて実感 鉄道の記憶

SNS時代に注目「映える廃線」3選 渓谷 竹林 100年前のトンネル… 歩いて実感 鉄道の記憶

福知山線の旧線にあるトンネル跡(画像:写真AC)。

廃線跡がハイキングコースとして整備され、中にはフォトジェニックな景観を活かしたトレッキングツアーなどが開催される場所があります。鉄道ファンのみならず、SNS映えの名所として国内外から注目されるスポットを紹介します。

多くのファンに押されて開放された廃線跡とは

 移動手段としての役目を終えて廃線となった鉄道。線路やトンネルなど、残存する鉄道設備を地域活性化に繋げようとする試みは各地で見られます。

 例えば、探検気分を味わえるハイキングコースとして開放したり、フォトジェニックな景観を活かしたトレッキングツアーを開催したりといった活用法です。今回はレジャースポットに変身した廃線跡を西日本で3か所紹介します。

旧国鉄 福知山線

 兵庫県西宮市〜宝塚市のJR福知山線には、新線への切り替えで廃止された線路施設が現存しています。場所は生瀬〜武田尾間。旧国鉄時代、切り替え前の線路は武庫川の渓谷沿いを通っていましたが、1986(昭和61)年の複線電化に伴い廃止されました。2021年現在は廃線跡を利用したハイキングコースとなっています。

 約4.7kmある廃線跡は、安全面などの懸念から長いあいだ立ち入り禁止でしたが、開放を求めるファンの声を受け、JR西日本が西宮市と協力し安全対策工事を実施。2016(平成28)年、自己責任を原則として一般開放されました。

 特徴は、ハイキングコース内に6つのトンネルや3つの橋などの遺構が当時とほとんど変わらぬ姿で残っていることです。そして、武庫川渓谷の自然豊かな風景が歩く人々を楽しませてくれます。春には山桜、秋には美しい紅葉など四季折々の景色を満喫でき、都会の喧騒を忘れてのんびりした一時を過ごすのもよいかもしれません。

 コースは比較的平坦ですが、道中に照明やお手洗い、売店などはありません。特に、約300mある「北山第一トンネル」などのトンネル内は、昼間でも自分の足下も見えないほどの暗闇となります。懐中電灯は必需品なので忘れずに準備し、安全に楽しみたいところです。

竹林と廃線のフォトジェニックな景観

 鳥取県の廃線跡をトレッキングするツアーは、竹林と廃線が融合されたフォトジェニックな景観としても知られています。

旧国鉄 倉吉線

 倉吉線は1912(明治45)年、上井駅(現・倉吉駅〈鳥取県倉吉市〉)と市街地にあった旧倉吉駅(後の打吹駅〈同〉)を結ぶ倉吉軽便線として開業したのが始まりです。しかし時代が下るにつれ、バスやマイカーの普及などで利用者が低迷、1985(昭和60)年に全線が廃線になりました。

 廃線後も一部区間でレールや駅ホーム、トンネルが残され、それらが「廃線跡トレッキングコース」として再整備、ガイド付きのトレッキングツアーが開催されています。レールの上を歩きながら大山や蒜山三座を背景に広がる農村を抜け、通常は閉鎖されている「山守トンネル」をたどれます。

 途中には、竹林を抜けるエリアがあり、その中をレールが延びる風景が「SNS映えする」などと現代ならではの注目を集めています。もともとツアーは2007(平成19)年、団体客を対象にスタートしましたが、2015(平成27)年からは個人でも参加できる「オープンデー」を年に1度開催。その後SNSブームもあって個人で訪れる人が増加したため、2021年現在は毎月の定期開催となっています。

明治時代、たった9年間だけ存在した線路をたどる

 奈良は東大寺の大仏にちなむ通称「大仏鉄道(大仏線)」も、その廃線跡を散策できます。明治時代、たった9年間だけ存在した路線です。

 路線は1898(明治31)年、加茂〜大仏間8.8kmが開通。大仏駅は現在の奈良駅北1.1kmの場所に仮設されました。当時5大私鉄の1つとされた関西鉄道が、名古屋方面から大阪へ進出すべく建設したルートの一部で、翌年に大仏駅から奈良駅まで延伸しています

 しかし、1907(明治40)年に加茂駅(京都府木津川市)から木津駅(同)を経て奈良駅へ至る平坦なルート(現在のJR関西本線)が開通すると、急坂の難所を抱えていた大仏経由のルートは廃線になりました。この旧線9.9kmが大仏鉄道と呼ばれています。

 現在、レール跡は残っていませんが、一部の橋脚やトンネルなどはほとんどそのままの姿を留めています。近年、遺構を巡る散策ルートが整備され、鉄道ファンだけでなく観光客も訪れるハイキングコースとなっています。

 大仏鉄道の代表的な遺構の1つが「梶ヶ谷隧道」。線路の築堤を造る際、農道と水路を通すために作られた隧道です。保存状態は極めて良く、壁は煉瓦、側壁は御影石、天井部分はアーチ形と見応えがあります。また、大仏駅跡を記念する公園「大佛鐵道記念公園」には機関車の動輪モニュメントと説明碑があり、地域の憩いの場にもなっています。

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 以上、廃線跡を3か所紹介しました。残されたレールや橋、トンネルなどを実際に巡りながら、自然の中でかつての姿に思いを馳せてみるのもよいかもしれません。

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