自衛隊車両だからこそ! 車内になければ困る絶対必要な「ラック」とは

自衛隊車両だからこそ! 車内になければ困る絶対必要な「ラック」とは

民生用のブルドーザーを転用した「中型ドーザ」。赤丸で囲った治具が銃架で、市販車にはないもの(柘植優介撮影)。

自衛隊トラックの装備品のなかには、警察車両や消防車両といった官用車にはまず取り付けられることのない部品があります。それは常日頃から銃を扱う自衛隊ならではといえるものです。

意外と知られていない自衛隊特有の車載具

 災害派遣や訓練などでも見かける自衛隊のトラックは、その多くが専用モデルですが、コストの問題から、市販モデルのコンポーネントを流用していたり、部品の共用化を図ったりしている場合が多々あります。
 
 しかし、市販車には絶対に用いられない部品も中にはあります。その筆頭が小銃取り付け具(ガンラック)ではないでしょうか。

 小銃取り付け具は自衛隊では「銃架(じゅうが)」と呼ばれ、その名のとおり小銃を固定するための部品(治具)です。とはいえ、射撃に用いるのではなく、運転時などに邪魔にならないよう置いておく棚(ラック)を指します。

 自衛隊の主力小銃である89式小銃は全長916mm(固定銃床式)、重量は弾倉抜きで3.5kgあります。足元に転がしておくと邪魔ですし、そもそも敵の不意打ちなどで急きょ射撃するようになった時に手に取りにくいのです。

 小銃を“スマート”に置くことができ、かつ必要な時は瞬時に手に取れる、そういう用途のため、陸上自衛隊の車両には必ずといってよいほどラックが取り付けられおり、それは各部隊に配備されている民生用重機についても同様です。

民生品そのままの重機にもしっかり用意

 陸上自衛隊車両の標準装備といえる「銃架」ですが、その取り付け位置は車種ごとに異なっています。

 基本的には運転席および助手席から手の届く範囲にあるものの、市販のSUVに近しいサイズの1/2tトラックの場合はドアの内側にクリップ形状で設置されています。

 これに対して、「ジープ」の愛称で呼ばれていた前のタイプである73式小型トラックの場合は、ドアなどないため運転席や助手席の脇に、縦置き式の金属ラックが設置されており、そこに小銃を固定するようになっていました。

 一方、「大トラ」「3トン半」と呼ばれる3 1/2tトラックや、「中トラ」「1トン半」と呼ばれる1 1/2tトラックの場合は、運転席や助手席の座面裏に立てて置くようになっています。

 また、ブルドーザーや油圧ショベル、グレーダーなどの市販重機を転用した装備も、自衛隊に納入するにあたっては、銃架が増設されたうえで引き渡されています。

 重機や建機は、一見すると塗装が変わったぐらいにしか思えないものの、案外、自衛隊専用の改造が施されていることは多く、銃架はその一例です。そういった部分に着目し、あえて違う部分を探してみるのも、面白いかもしれません。

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